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母と娘の夏の思い出

この夏、期間限定の水泳教室に娘が通う事に。

娘は昔旅行先のプールで溺れるという過去があり、泳ぐ事が苦手である。
(私のせいでもあるのだが…)

泳ぐ事が苦手なだけで、プールの時間は好きらしい。

溺れた時の旅行も、楽しかった思い出がプールだった。
嫌いじゃないが、苦手だからか力が入り浮かないので、焦ってさらに沈んでいく。

筋肉質な彼女は、余計に沈むんだろうなぁと、脂肪が浮き輪代わりになる私は思う。

そんな私も昔はプールの時間が大嫌いだった。
上手く泳げないし、シャワーは寒いし、自由時間は短いし、苦しいし、疲れるし…。

でも、20代の大人になってから運動しようと始めた水泳で、昔は全然泳げなかったのに、泳ぐ楽しさを知った事があり、大人になれば泳げるさ!
くらいな気持ちで、泳げない娘をそこまで気にしてなかった。

ところが、今年になって「泳げるようになりたい!」と言うではないか。

スイミングスクールに行かすほど、時間的にも金銭的にも余裕がなく、子供の習い事から来る、人間関係もノーサンキューな私はどうしようか悩んだ。

でも、習いたいと言う気持ちは尊重したい、そんな時に夏休みの間だけ行われる期間限定の水泳教室を見つけた。
これだ!!!と思った私はすぐに連絡。

先着順だったので、受付時間チンで電話して定員に入り、娘も楽しみにしていた。

初日から、娘は楽しそうに水泳に通いだし、私は初日の開会式以外は送迎のみで構わないので、とても気楽に通わす事が出来た。

そして、通うようになり「私、泳げるようになったよ!」と言うではないか!!!

たった数日でそんなにまで上達するのか⁉️すごいぞ!水泳教室。
やっぱり指導がいいと伸びるのが早いんだ!と思い、ウキウキしながら、娘にはナイショで少し見学してみたところ、全然泳げてない…。
泳げて5メートルくらい。
しかも、ゴーグルしてるのに水から出ると、しきりに顔を手のひらでゴシゴシ拭いている。
何でだ?不思議である。

えっ⁇どう言う事⁉️最初とあんまり変わらなくない⁉️

うちの子供たちは、かなり自己肯定感が高い。
少ししか出来なくても「出来る」と言える鋼の心を持っている。

後残り2日ほどで泳げるのか⁇と言う不安も抱きながら、最後の日を迎える。

「最後だから、見に行くね!」と伝えると、嬉しそうに出かけた娘。
なぜそんな自信あり気なんだ…。

あんまり期待はせずに、それでも娘の勇姿をみようと時間を見計らってプールに向かう。
ちょうど最後の何メートル泳げるかのテスト中で、娘はまだだった。

娘と数人、お腹に浮けるように補助してくれる浮き具を付けていた。
あっ…それ付けて泳ぐんだ…。
とその時は思った。嫌な親である。

いざ、娘の番かと思いきや、娘はどんどん順番を譲っていく。
あれ…もしかして、ひよってる⁇
緊張で、泳げないとかないよね?大丈夫⁇

いよいよ、並んでいる最後尾になったところで、水に入る娘。
私の心臓もバクバクだ。
なんなら変わって私が泳ぎたいくらいだ。
そして、先生のGOサインと共に泳ぎ出す。
息継ぎをするたびに先生が声をかける。
男の子の多いクラスだが、真ん中近くまで泳いだところで、男の子たちも先生と共に息継ぎしている娘に声をかけてくれる。
なんとも感動だ!!ありがとう少年たち!!!

5メートルしか泳げなかった子が、10メートルを超えて泳いでいる。
不恰好ではあるが、頑張っているのは分かる。
25メートル行くんじゃないかと思って期待し始めた頃、20メートルに差し掛かり、娘は泳ぐのをやめた。

記録は20メートル。

あともう少しなのに!!!そこまで来たら、泳ぎ切るでしょ!!と思う私。のちに聞くと、息継ぎはしてるものの、めちゃくちゃ苦しくて、鼻に水も入り、断念したそうだ。
そんなにも頑張ってるのに、本当に嫌な母である。

しかしながら、先生もコーチも喜んでくれている。
そうなのだ、そもそも5メートルくらいしか泳げない子だったのだ。

多分以前にも見学していたであろう、誰かのお爺様が、
「あの子5メートルくらいしか泳げなかったのに20メートルいったよ!」
と言っているのが聞こえた。
うちの子の成長を見て下さってありがとうございます!!!
と声をかけたかったけれど、そんな勇気は私にはない。

少しガッカリした自分は最低だ。
上の観覧席なので、娘にそんな自分を見られる事がなくて良かったと心から思う。

終わった娘に、達成感はあった?と聞くと笑顔でうん!と言ったので、それで十分かなと思った。

余談だが、前回話した私が心を打たれた子がいると言ったんだけど、基本泳げない子がこのお教室に参加しているのだが、1人150メートル泳いだ子がいた。
先生が途中で止めに入ったんだけど、それがなければもっと泳いでいたかもしれない。

キレイなフォームとは言い難いけれど、自分が今出来る全ての事を投じて、ただひたすらに泳ぐ少年を見て、これでいいんだよ!と思った。
今この時に全力で挑んでいる、それがとっても素敵で眩しかった。

感動と共に、私って歳老いたなぁ…と思う自分もいて、何とも言えない複雑な気持ちになったのは言うまでもない。
感動だけしとけばいいものを、こんな余計な事を考えちゃうのが私なのだ。

兎にも角にも、水泳教室を終えたと同時に、夏も終わったような気になった私と、泳げる事に自信をつけた娘は、帰りにアイスを食って思い思いの心模様で、空を見つめて帰路についたのだった。

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マリノスケ
サポートしてもらえるとは思っていませんが、もし変わった方がサポートしてみようかと思って頂けるのなら、こんな嬉しい事はございません!!でも、とりあえず、一度考え直してみて、それでもなお!って方は、ぜひ!!本当にありがとうございます!!!