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ハンモックキャンプの話
スペインから帰って暫く、粛々と就活をしていました。ご縁があったので漸く身辺が落ち着きました。1月から仕事を開始して現在12月も半ば。もう少しで1年が経とうとしています。以前よりも自分の時間が作れるので、勉強をしたり、大掃除をしたり、料理をしたりと案外自由気まま。もちろん趣味のキャンプやツーリングもまったりとやっています。
つい先日も1年ぶりとなる第3回ソロキャンプフェスタに参加してきました。
・レッツハンモックキャンプ!
場所は昨年と同じ、長瀞キャンプヴィレッジさん。
こちらのキャンプ場は、管理棟を降りて左側が開けたサイト。右側が森の中のサイトになっています。チェックインしたら好きな区画に車(またはバイク)を進めてテントを設営するスタイルです。今回は右の森のサイトが会場。
この日12月7日は気温が結構下がった日でした。本当はバイクで行こうかと思っていたのですが、冬用のシュラフとアンダーキルトが嵩張るので車にしました。
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冬キャンプに必須のアイテム。
ハンモックの上に張っている紐がリッジライン。設置しておくと同じ角度でハンモックを張ることができます。
さて、ハンモックキャンプです。
文字通りハンモックでキャンプをするスタイルです。ざっくりした方法と、冬にペラペラの一枚布のベッドでキャンプがどうして可能なのかを説明していきたいと思います。
まずはハンモックを吊す方法。
(ハンモック素人の私でもできるスタンダードなやり方を)
必要物品:ハンモック、デイジーチェーン(ハンモックベルト)
必要物品2:タープ、シュラフ、アンダーキルト(ハンモック用シュラフ・秋冬春に使用)
①木を見つけます。
ハンモックの大きさに寄りますが、5~7mくらいの間隔が良いです。
②デイジチェーンを木に掛けます。
デイジーチェーンをぐるっと木に回して輪っかになっている先端に通すだけでOK。
輪がいっぱいついているロープのことです。
③ハンモックの先についているカラビナ(もしくはフック)を片方のデイジーチェーンのいい感じの輪っかに掛けます。
④もう片方も掛けて終了。
基本はこれだけ。
デイジーチェーンのかけ方やハンモックを吊す角度なんかにもコツがあるのですが、それはまた今度。足側が高めの方が寝やすいです。ハンモック自体、特別なロープワークは特に必要はなくて、慣れれば5分くらいで吊せます。
リッジライン(水平ライン)という紐が一本あれば、ハンモックのカラビナからカラビナに渡して角度を調整することができますが、またそれも別の機会に。
・アンダーキルトとは
ただ、前述の装備だけだと冬場はとても眠れません。冬用のシュラフをハンモックの中で使用したとしても、背部から冷気が容赦なく襲ってきます。
そこで登場するのがアンダーキルトというハンモック用の装備です。四角いダウンで、ハンモックの下側を覆うように吊して(キルトの両サイドに大体吊す用の紐がついているので、それをハンモックのカラビナに掛けて調節します)、上からシュラフを掛ければ(オーバーキルトというものもあるけれど、私は冬用シュラフを開いて使用)あら不思議。全く寒くなくなります。
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キルトでハンモックを包んでいます。
シュラフを選ぶ時に、快適温度・下限温度・限界使用温度というものを見ながら選ぶのですが、このシュラフの温度……つまり保温力はロフトに依存します。ロフトとは、かさ高。膨らみのことを表した言葉です。シュラフは化繊や、良いお値段のするものだとダウンを使って膨らませています。ロフトの別の言い方はダウン製品でよく使うフィルパワー。1オンス(約28.4g)のダウンがどのくらい膨らむかを表しています。例えば冬用シュラフの750FPは、1オンスで750立方インチ(1立方インチ=2.54㎝立方)の体積に膨らみます。ばっふばふのふっかふかですね。
で、ハンモックの話に戻ります。
ばふばふふっかふかの冬用シュラフを使ったとしても寒いわけ。理由は、背中側の羽毛・または化繊綿が体重で潰れてしまうから。
ふかふかの羽毛は、体温で暖まった空気を逃がしません。ふっかふかな程暖かい空気をしっかり内包してくれます。しかし、背中で羽毛を潰してしまうとどんなにFPが高くても空気の入る余地がなくなります。なので上ばかり暖かくて下は冷凍庫みたいにひえひえに。
その欠点を補うのがアンダーキルトです。
ハンモックの下に設置することで体重で潰れる心配がなくなります。なので、キルトはふかふかのロフトを維持したまま体温をキープしてくれるのです。体重をハンモックが受け止めてるので、どんなに動いてもふかふかのまま。
アンダーキルトもシーズンによってロフト違いのものが出ているので、気温に合わせて使用します。
他にも真冬に快適に寝られる方法はいくつかあって、例えばマットをハンモックの中に設置するなんていうのも一つの手です。DDハンモック等、ハンモックの種類によってはマットを入れるポケットのあるものもあります。私も試してみましたが寝相が悪くてマットが飛び出したのでアンダーキルトを使用しています。
・タープを張ろう
次に屋根を作ります。
タープを張る場合はロープワークがちょっとだけ必要です。
面倒くさいな、という人向けにTTTM(TICKET TO THE MOON)のタープを紹介しておきますね。
これはカラビナを引っかけて木に吊るして、ロープを調整するだけなのでめちゃくちゃ簡単に張れるタープです。ただ、小さめなので雨の日はもう少し大きなタープにした方が良さそうです。
手持ちのタープで張る場合の方法をざっくり書いておきます。
(私はTTTMを愛用していて蚊帳付きタープを使う時以外あまりやらないのですが)
必要物品:パラコード(パラシュート用の強い紐/木の間に張る用)、タープ、必要ならタープ用のガイロープ数本、小枝×2、輪っかにしたパラコード×2(または×4とカラビナ)、ポール
①パラコードを木に掛ける
ハンモックの上。デイジーチェーンの上に掛けていきます。
片方は舫い結び(輪を作る結び方。テントのガイロープを結ぶときによくやる)でもよし、自在でもよし。最悪引き解け結びでも大丈夫でした(タープが軽い場合)。
パラコードはこんな感じ。
色々な色があります。色々な長さで売られています。好きな長さに切ったら端をライターで炙ってほつれ予防してください。
②もう片方のパラコードをトラッカーズヒッチで木に掛ける。
トラッカーズヒッチは強くテンションを掛けたいときに結ぶ方法です。
ぎゅぎゅっと結んで下準備はOK。
③プルージックでタープを固定
輪っかにしたパラコードでプルージックを作ります。木と木の間に張ったパラコードにくるくる2回巻き付けてきゅっとするだけ。
結び目を持つと、位置を移動できる結び方です。タープの両端のループに木の枝を差し込んでプルージックのパラコードに絡めて引っ張ると良い感じにテンションを掛けられます。木の枝を使わない場合、もう2つパラコードで輪っかを作ってタープに通し、カラビナでプルージックに引っかければOK。より簡単で楽な方法を探して固定しましょうね!
④タープ正面を跳ね上げる
ポールを使って跳ね上げ。ガイロープは風の強い日は2本あると安定します。後ろは地面が近ければそのままペグを打ってもよし。近くないならガイロープを舫い結びで結んでペグ打ちしましょう。
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これで屋根が完成しました。
ロープワークについてちらっと書きましたが、ハンモック用の道具を見てみると、簡単に木にタープを掛けられる道具が案外あるので、好きなものを使ってみてください!
POLLOGEARさんのお店にはダッチウェアというメーカーの軽量便利グッズが……。ロープワーク使わなくてもぎゅぎゅっとタープを張れるものもあるみたい。
・第3回ソロキャンプフェスタ
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昨年もハンモックで参加したソロキャンプフェスタ。おかげでハンモック屋さんと知り合えた場でもあります。今年もそのハンモック屋さん、POLLOGEARさんが出展していました。夏場にハンモック講習会を開催してくださって、快適な張り方を教えてくださった先生でもあります。
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他にも13COFFEEさんがホットチョコを売っていたり、夜には抽選会があったりと、楽しい時間を過ごせました。
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ホットチョコで身体がぽかぽか。
普段ソロでキャンプをするのであまり賑やかな場所は好まないのですが、このイベント、すごく居心地が良い。魅力はお互いソロの時間を大事にしているところ。勿論交流することもありますが、基本はやっぱりソロ。
それにアーリーチェックインで11:00から次の日の12:00までゆっくり、通常よりもお得に過ごすことができるのです。
第2回で出会った方ともまた再開できました。
ちょこちょこ話したり、周りのソロ装備を見て楽しんだりしつつしっかり自分のキャンプもやってきました。
今回は車なので、ハンモックの軽装備+テーブル等は重装備の混合スタイルです。車はぼんぼん積めてしまうので楽ですね。
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焚き火台はA4くん。ゆるキャン△でおなじみB6くんよりも大きな焚き火台です。買っちった! してからかれこれ8年? 優秀な子です。ハンモックなので椅子は必要なかった(ハンモックに座れば良いので)のですが、今回はあぐらチェアも持って行きました。たき火までの距離が近くなって暖かいのです。
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シチューの下準備をして、デザート用のアップルパイを作ったところで抽選会。
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チェックインの時に引いたくじはなんと「1番」。
幸先が良いなあと思っていたらタオルとステッカーが当たりました。うれしい!
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昨年知り会えた方の仲立ちもあって抽選会のあとオーナーさんと話す機会がありました。
素敵な女性の方でした。長瀞オートキャンプ場(キャンプヴィレッジさんではない方)が来年50周年であることを教えてくださいました。それにキャンプ場の口コミや動画撮影についてのお話も伺いました。ネットって良くも悪くも言いやすい。良い情報ならいいのだけれど、それだけじゃないのが困りもの。にしても、何か言う場合はそこに人がいるのだと意識していたいものです。
珈琲を飲み、シチューを食べて更けていく夜。
たき火が赤々と燃えて暖かです。今年の夏はゲリラ豪雨や雷、そして暑くて暑くてとてもキャンプどころじゃなかった。それがやっと落ち着いてようやくやってきたキャンプの季節。
澄んだ空気を震わせる電車の音が空に反響して聞こえてきます。
荒川を挟んで対岸を走る車両の明かり。毎回銀河鉄道みたいだなぁと思うのです。
好きな道具に囲まれて、好きな時に食べ、寝る。
ちょっと不自由だけど、何より自由な時間。
それを楽しむ仲間がぐるっと集まって、各々の時間をまったりと過ごしている。互いに干渉せず、でもあったかな冬キャンプイベントでした。
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また来年も楽しくキャンプができますように!