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運命をオーロラのように思えたら

BUMP OF CHICKEN"aurora arc"を買って聴いた。発売からひと月ほど経ってからのこと。


初め聴いたとき、悲しくなって涙が出た。
"アリア"の「僕らの間にはさよならが 出会った時から育っていた」という歌詞に引っかかってしまった。そのあとに続く"話がしたいよ"にも。


今いる職場で出会った男性に運命を感じた。
"aurora arc"を聴いたとき、彼とのことかもしれないと感じた。全体的に希望と歓びに溢れたアルバムで、ぴったりとは思った。
信じたい曲はあった。けれど信じたくない曲もあった。そもそも彼とのことを歌ってるんだと信じるも信じないも自由ではあるのだけど。

彼を初めて見たとき、彼との間に何かあるんだろうなと感じると同時に、それは一時的なものなんだろうとも感じていた。
社員さんの異動の多い職場である。
そんな予感を、いま、打ち消したくて仕方なくなっている。


あの日の些細なため息は ざわめきに飲まれ 迷子になったよ
名前を呼んでくれただけで 君と僕だけの 世界になったよ

 僕らの間にはさよならが 出会った時から育っていた

♪BUMP OF CHICKEN アリア


いままでにもたくさんの出会いがあった。どの出会いも新しい自分を見つけるための大切な出会いだった。
でもいずれも最初の予感が外れることはなく、あとからどんなに永く一緒にいたいと望んでも無惨に別れは訪れた。

私は、出会ったときの予感を取り消す方法を知らない。できるならそれを知りたいけれど、知っていたところでどうにかなるものなのかわからない。それだけ予感というものは逆らうことのできないものと捉えている。

出会いには意味があり、役目が終わったら別れるということなら私は知っている。今までの別れもそうだった。そう信じて送り出したり送り出されたりしてきた。そして記憶だけ残して少しずつ想いだけを忘れてきた。
そんな出会いがずっと繰り返されていくのだろうと半ば絶望して、もう期待なんてしないつもりだったのに。


彼と昔話をした。話せば話すほど似たとこばかり。おんなじ時期におんなじようなこと経験したり思ったりしてて、他人とは思えなかった。
いてほしいときに、呼んでもいないのにいてくれた。ほとんど知らないうちから素直になれた。おんなじタイミングでおんなじようなことして、おんなじこと思ってた。
すぐに二人だけの世界が生まれた。

"aurora arc"に収録されてる曲で歌ってることが、二人の間でたくさん存在した。
そして、"aurora arc"では一度二人は離れている。"話がしたいよ"では「どうやったって戻れないのは一緒だよ」とまで歌っている。

いつかは離れるという予感を抱いたのは本当のことだ。けれどいまはその予感を抱いてしまった自分を悔しく思う。そんな予感など抱かなければこんなに不安になることはなかったかもしれないのに。どうしてそう思ってしまったんだろう…。


ただ、終わりを感じることで今の瞬間を自分の力で生きることができるという効力はあると思う。運命なんてものに流されずに自分で人生を動かしていく…。スピッツのマサムネさんが話してたっけ、「運命に逆らいたい」って。
今までが苦しすぎたせいで、すべて運命のせいにしてきた。だからなんとかやってこれた。
でももうそれではいけないってことなのかな。もしくは運命を自分で築く権利が与えられたのかな。

振り返れば、子供の頃のほうがなにかに逆らって生きていた。親・学校・しきたり、なにもかもに。でもいまはやめてしまった。自分のできる範囲でやれることをやっているだけ。運命に乗っかっているだけ。再び同じ職に就いたのもきっとそうだ。そうすると彼と出会ったのも運命だ。そして別れるかもしれないという予感も運命だ、今のままだと…。


彼に対する私の役目を、なんとなくわかりはじめている。だからこそ怖い。役目を終えたとき彼は私の前から旅立ってしまうんじゃないかと。それはとても喜ばしいことだけれど、もうこんな引き裂かれるような思いをするような出会いと別れを繰り返すばかりなのには疲れてしまった。そして叶うかもわからない願いを叶えるための努力に手を出す気力もなくなった。だからといって予感通りに進んでしまうのももう嫌だ。

いっそ"シリウス"で歌ってるみたいに、あくまで"誰かのストーリー"に乗っかっているだけで、私たちのストーリーを別で描いてよいのなら…。
頭の中に響いた予感は悪魔の企みによる囁きで、私たちは見えない敵に操作されてるだけなのだ。そもそも別れの予感は、異動の多い職場であることからくる諦めからきた頭で考えた不安だったのだ。私はそう書き換えたい。


初めて"aurora arc"を聴いた日は、ただただ不安に襲われ涙した。同時に、彼をずっと探していた人なのかもしれないと深く感じた。夜中に思い出しては何度も泣いた。朝目覚めるとひどくお腹が空いた。
けれど彼は、そんなの知らないと言わんばかりに、私の不安をかき消すようにいつもと変わらず想いをつないでくれた。包んでくれた。なんにも話していないのに。まるで隣で聴いていたみたいに。「大丈夫だよ」って、言葉のない慰めをたくさんくれた。
それがまた不安になる。こんなにくれる人に出会ったのは初めてだった。てっきり魔法にかかっているだけなんじゃないかって。"記念撮影"で歌ってるように「終わる魔法の中」にいるだけなのかもしれない。彼だって人間なのだから、気持ちが変わることもあるだろう。魔法にかかっているだけならなおさらだ。そう、魔法にかかっているだけなら…。

いっそ不安に思っていることのほうが魔法で、真に望んでいることのほうが本当ならいい。そしてあくまで"aurora arc"はそのことに気づかせるための踏み台のようなものであるなら、聴いた意味があると思う。
美しいオーロラが冷たい大気から生まれるように、輝く希望は真っ暗い絶望から生まれるように、心の深いところで抱え続けてきた不安を見つめることで本当の望みを見つける…。

それは、運命に逆らうということ。運命を変えるということ。自分で運命を切り開くということ。
運命の流れに従っていれば、勝手に行き着くところへ行けるとばかり思っていた。そしてある程度のところまでは行けるのだけど、いつまでたっても望むものに手が届くことはなかった。"望遠のマーチ"でいう「どれだけ待ったって 誰も迎えにこないじゃない」だ。望むものに迎えにきてほしいのにいつまでもこないのなら、自分から迎えにいけばいいんだ。予感なんて覆して反対のことをしてやればいいんだ。運命なんて気にしなければいい。流れに乗っかってきたと言ったって、そこには確実に自分の意思も働いてる。自分で運命を創ってきたんだ。


そう意識を変えたらこんどは、彼のまっすぐな優しさを素直に受け入れられるようになった。もしかしたら彼が、私の"別れの予感を取り消したい"という望みを叶えてくれるのかもしれない。一人では変えられなかったものも、彼がいれば変えられるかもしれない。今まで私は一人でなんとかしようとしすぎていた。周りに理解されるはずない、理解されなくてもいいとずっと思ってきた。だから他人の優しさを素直に受け取るのが苦手だった。みんな表面上だけ合わせてるんだと思ってきた。親さえ、自分の子供だからという責任だけで、本当はしぶしぶ世話を焼いてくれているのだと思っていた。愛されてないんだと感じて、反抗してはもっともっとと愛情を欲しがっていた。
でも彼は違う。求めなくてもどんどんくれる。そうすることが喜びと言わんばかりに。だから私も素直に愛情を返すことができた。理解できないことはもちろんあるけれど、それさえも包みこんでくれる。親だって、あれだけ反抗して迷惑かけたのに今もいろいろ助けてくれる。帰ればご飯を出してくれる。ずっといるのだ。彼もきっとずっといてくれる。私が愛されることを恐れなければ。要は愛情を受け取るのが下手だっただけなんだ。


君と会った時 僕の今日までが意味を貰ったよ

♪BUMP OF CHICKEN 新世界


そんな思いをへて、3〜4回と聴くと"aurora arc"の印象は変わった。
"aurora arc"の意味は、"aurora"=オーロラと"arc"=弧で、"オーロラでできた虹"だと私は思う。
虹は、日本では一般には7色あると捉えられている。7という数字に対しては、ツインレイ・ツインフレーム・ツインソウルの7人のことだと私は捉えた。その7人のかけた虹が今いる私へ伸びて導いてくれた。"月虹"と"アンサー"の歌詞には「虹」が出てくる。この2つの歌詞は、片割れの声が聞こえはじめてから、見つけるまでの自分を歌っているように思う。私がツインレイもどきと出逢ってテレパシーが始まったときが"月虹"、いまそばにいる彼を見つけてからが"アンサー"。極めつけに"新世界"では出逢えた喜びをかつてないくらい弾けるように歌ってる。

もし彼がその人なら私のもとからいなくなったりしないはず。だからこそ苦しい思いをするのは試練で、逃げなければ乗り越えられる。本当は不安になる必要なんてないんだ。
たとえ彼がそうでなくとも、いてほしいならいてほしいとそれだけを望めばいい。不安に運命を書き換えさせられるくらいなら頭で想像したことぜんぶ否定してでも自分の気持ちや彼から感じたものを信じたらいいんだ。自分を信じないで不安ばかり信じたら不安のほうが叶ってしまう…。
私はいまきっと彼のもとでそれを学んでいるんだろう。


そろそろ歌詞の内容をどれも真に受けるのは卒業なのかもしれない。すべてがいつも自分のことを歌っているとは限らない。そのことを今強く感じている。
運命は用意されているかもしれない。でも自分で描き変えてもいいんだ。自分が好まなければ受け入れなくていい。
でもいつも運命に逆らおうとすると邪魔が入るから怖くなる。本当は誰も邪魔も禁止もしていないはずなのにそう感じるのは、自分で自分を変化させることを怖いと感じるからだ。誰かに止めてほしいと密かに望んでいて、たまたま起きた出来事に対して邪魔されたって感じるだけだ。他の人じゃどうなったって責任とれない。未知の自分が新しくあらわれても、自分で面倒をみなきゃならない。きっとその重責がこわいんだ。
それでも自分を押し殺して苦しいままでいるより、なりたい叶えたい自分になるほうがずっとずっと楽で楽しい。だから頭で「こうなるかもしれない」と考えることから離れていく必要があるんだ。その試練がいま訪れている。


ちなみに"aurora  arc"のなかでは"Aurora"と"リボン"が好き。

彼と出逢ってから、今こそやるべきことと再び向き合えるときだと強く感じた。将来の夢が似通っているせいだろう。そんな私に"Aurora"の歌詞は強く響いた。

解き放て あなたの声で 光る羽根与えた思いを
その足が向かうべき先へ そうしなきゃ見えなかった未来へ
諦めなかった事を 誰よりも知っているのは
羽ばたいた言葉のひとつひとつ 必ず届きますように

♪BUMP OF CHICKEN Aurora

スピッツのマサムネさんのラジオでもBUMP OF CHICKEN特集でかけてくれてた。いい加減進みなさいと言われているみたいに。


ポケットに勇気が ガラス玉ひとつ分
それぞれ持っている ガラス玉ひとつ分
並べても同じ数 あの日から
始まりから

 ここはどこなんだろうね
どこに行くんだろうね
誰一人わかっていないけど
側にいる事を選んで 今側にいるから
迷子じゃないんだ

♪BUMP OF CHICKEN リボン

"リボン"と"カルマ"の歌詞にはガラス玉が出てくるけれど、このガラス玉は魂のことで、どちらもツインのことを歌っていると思っている。
これを聴いて初めて、今そばにいてくれている彼がその人なのではないかと私は思った。
ツインを探すのはもうやめたつもりでいたのに、けっきょくはずっと探しているのか…。


ちなみに"aurora arc"が発売になって約ひと月後、東京スカパラダイスオーケストラ"リボン feat.桜井和寿 (Mr.Children)"が発売になった。

"リボン"。

しあわせよ、こんにちは。そばにいて
一緒にいないと 消えそうだから
もう二度と離さないよ
ここがパラダイス

 僕が 出来る プレゼントは
君の 未来を 包む
大きな 愛を 贈ること
ふたりで リボンを 結ぼう

♪東京スカパラダイスオーケストラ リボン feat.桜井和寿 (Mr.Children)

この歌詞の内容が彼からの言葉ならいいのに。

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ともねこ
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