アドリアン・ヴィラール・ロハス
本作品は、フランスのフォンダシオン・ルイ・ヴィトンのコミッション作品である。
一度しか行っていないが、フランク・ゲーリー設計のガラスの船のような外観と、見応えのある現代アートのコレクションが大変面白い美術館であった。パリ市内から少し離れているが、現代アートのファンであれば、ぜひ訪れてほしい美術館である。
今回の作品は、そんな美術館のテラスのような場所にある巨大な作品だ。
Where the Slaves Live (2014)
大きな貯水槽のようなところに、石や植物、そしてテニスシューズなどの人工物が層となっている。
人工物が植物の生命力に押され、一体化しているような印象を覚える。といっても、大袈裟に退廃的な感じではなく、ちょっと劣化したプランターに草がぼうぼうと生えているのを連想させるような感じだ。陽の光を燦々と浴びているためか、暗い雰囲気はない。
タイトルは「奴隷が生きる場所」となるだろうか。ここでいう「奴隷」は何の奴隷だろうか。
植物にとりこまれた人工物か、人工物の持ち主なのか。いずれにせよ、私からみると、この奴隷は肉体的・精神的に辛い奴隷には思えない。
作者のロハスはアルゼンチン生まれで、プロジェクトごとに制作チームと旅をしているらしい。
この作品が初見で、インスタなどで他の作品をみたが、幻想的で哲学的なものを感じられた。