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『ババヤガの夜』を読んで。
2020年の秋、初めて「文芸誌」を買った。
最近よく聞いているPodcast「真夜中の読書会〜おしゃべりな図書室〜」でお薦めされていたからだ。
その中でも特に『ババヤガの夜』が面白かった。
全く違う人生を行きながらも惹かれ合った2人の行き着く先。
「惹かれ合う」というのは表現が違ったかもしれない。
周りの大人たちの自分勝手な行いのしわ寄せに立ち向かうには
一緒に息をいそめるしか選択肢がなくて、
その結果2人は、人としての形を変え、馴染んで、
1つの「何」かになった。
そんな感じだった。
その関係性が「何」なのか、
誰もわからない。
暴力は力だ。
現代社会ではネガティブな印象で語られることが多いけど、
2人が、特に尚子が、
少しでも運命から遠ざかることができたのは
依子の暴力の才のおかげだ。
この小説は、読み終わった後、
後味がない。
2人の人生は、「あった」のか「なかった」のか。
不思議な、
魅力的な作品でした。