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〔詩〕天空の楽譜

十数本の電線が空を横切れば
向こうにはぐれ雲の音符が浮かぶ
きっとこれは天空の楽譜
天使たちはこの曲を歌い奏でるのだろう


地上の五線譜しか知らない私には
天使たちの歌声は届かない
どんなに美しく
清らかな歌声だとしても
カチカチに凍り付いた頑なな心は
その存在すら否定してしまう


耳を澄ませてみても
届くのは気怠い街の喧騒
行き交う車は不穏をはらみながら
平和で安全な仮面をかぶっている
それでも


ふと口遊みたくなる天空のメロディ
それは遠い過去の記憶か
遠い未来に行き着く場所か
もしくは
決して届かない憧れか
今の私には分からないけれど


読めない楽譜を見つめ
声にならない思いに手を伸ばす
掴めないならそれでいい
でも
そこにある何かを忘れたりしない


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