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〔ショートショート〕T高校・残り物には懺悔がある

埃だらけの床と机の掃除を終えると、勝浦が満面の笑みで言った。
「今日からここが俺たちの部室か!発明家の研究室っぽくて良いなあ!」
発明部のもう一方の部員であり、部長でもある吉野は、申し訳なさそうに頭をかく。
「いや、僕がジャンケンに負け続けたから、最後に端っこの理科準備室しか残ってなくて、ごめん。しかもここ、何か出るって噂もあるし」
「え?ホント?なら好都合!」
ますます嬉しそうに勝浦が言うので、吉野は首をかしげる。
「どういう意味だ?」
「だってほら、顧問を頼んだ桜子先生に言われただろ?ユーレイ部員でも良いから部員数を増やさないと、って。同好会改め部活動名乗ってるけどさ、あくまで仮の昇格だし。ここに『歓迎!ユーレイ部員♪』とかポスター貼るか?」
吉野はポカンとした後、プッと吹き出した。
「ま、今日はこのぐらいで帰ろう。ポスターはまた明日だ」
「おう、そうだな」
並んで部室を出る二人。また明日、と誰かの声が聞こえた気がした。
(完・407字)


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