たまには涙をみせたっていいがな
生きているんだもの。
最近職場で、「大切にしていることは何か」というテーマで話をした。
いつもご機嫌でいること、心身の健康を維持すること、感謝すること、学ぶこと、、、1分ほどの短い発表だけれども、その人らしさがうかがえる。
帰り道、ちょっとだけ派生して、「大切にしている言葉」について考えてみた。座右の銘とまでは言わないかもしれないけれど、心の指針にしているものがある。
相田みつをさんのことば。
高校生の時にこの言葉に出会って、「あぁ、これはいい。私が目指すべきはこんな人間だ」と強く思った。
以来、「将来はどんな人になりたいですか」と聞かれたときは、「眼のいろの深い人間です」なんて言ってみたり。ぎゃーっ。目と耳をふさぎたい。過去に戻ってその澄ました顔面をはったおしたい。
そんなこんなで耐えてこらえて踏ん張ってきたのだけれど、社会人になってから、こらえきれずに溢れてしまった。必死にこらえてきたはずの涙がとまらなくなって、休職した。
数か月経って、相田みつを美術館に行ったときのこと。「いのちの根」が飾られていた。「あぁ、私は耐えられなかったなぁ。」と落ち込んだ。もう、この言葉を読み返すことはないだろうなと思った。
隣には、「ぐち」という作品が飾られていた。
この言葉を読んだ瞬間、
「あぁ、泣いてもよかったんだ」
一気に涙がとまらなくなった。でもこの涙はつらいものではなくて、包み込まれた安心感から出てきた、あったかい涙だった。
今でも、この2作品をセットで、私の心の指針としている。
感情に振り回されず、ぐっとこらえる。理不尽でも、相手にぶつけるのではなくて、自分がどうすればいいのかを考えるようにする。それでも、どうにも我慢ならないことだってあるし、つらいことだってある。
そんな時は、たまにはいいんだよ、とネガティブな自分も受け入れてあげる。
相田みつをさんの作品は、
素晴らしい人間像があって、でも、わかっていてもうまくいかない自分もさらけ出していて。葛藤しながらも理想に向かってもがいていく、力強いけれども時に情けない。そんな人間らしさが言葉からも書体からも伝わってくるから、共感できるし、背中を押される。
残念ながら美術館は閉館してしまったみたいですが、本もたくさん出ているので、ぜひ読んでみてほしいです。今の自分にぴったりの言葉に、きっと出会えると思います。