![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/157868841/rectangle_large_type_2_8ae57e3e028e0c89013b1447f6fbe80d.png?width=1200)
ひとりごと「60秒間の相合傘」
小雨だからと傘を持たずに出かけた
秋の夕刻は肌寒くて
駅までの数分が途方もなく長く感じ
小走りも虚しくあと少しの交差点で赤信号
冷たい強風と大粒になった雨が髪を濡らす
外国人のようにパーカーのフードを
すいっとかぶってみてもただの気休め
いっそびしょ濡れになってやろうと
フードを落とすために顎を上げた視界へ
かぶさってきた大きなコウモリ
「信号が青になるまでどうぞ」
「嫌でなければ駅までどうぞ」
控えめな優しさに断る理由も見つからなくて
それから60秒間の相合傘はコマ送りの長さ
フランス映画なら恋愛が始まるシチュエーション
されどここは日本の独立国家なにわ大阪
面白いことにしか興味がないから
「雨女のくせに横着をするアホやねん」
自分のダメさを開示して笑いを誘うだけ
お礼を言って改札を抜けたらさようなら
それでも60秒間の相合傘は記憶に刻まれ
幸せなできごとの余韻は続いている
親切を拒否されることもある時代なのに
勇気を出してくれてありがとう
飴ちゃんをあげられなくてごめんね
いいなと思ったら応援しよう!
![猫田ミロク](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/75777647/profile_9d2fd6f55001dbcb02ad573e9d76f2a2.jpg?width=600&crop=1:1,smart)