目は口以上にものをいう。「トゥーンリンク」
ただいまゼルダハイになっており、こうなったら日常全てが「ゼルダ」になってしまうコケです。定期的に起こるこれはもはや発作に近く、どーにもこーにも頭の中がトライフォース一色。でね、やっぱりこの海に帰ってきてしまうのです。
発売前から話題になりっぱなしだった「ゼルダの伝説 風のタクト」
当時からゲームは「リアル志向」になり、CGがんっがんの頭身上がりまくりのキャラクターがゲーム内を占めていた時代。やんやそれに比例するようにゲームも難しくなり、敷居が上がっていって、ゲーム離れも加速していった悲しき時です。
なぜ「ゼルダ」という看板タイトルが時代の波に乗らず、ましてや反対方向に舵取りしたのか。少なくとも前作の「ムジュラの仮面」が大好評を得ていたにもかかわらず、トゥーンレンダリングで描かれたアニメ寄りの子供向けに「ゼルダ」を世に出したのか。ライバル会社が凄まじい快進撃を見せ、ついに迷走してしまったのか?なんてやたらに叫ばれていました。
そのあまりの不評っぷりは今ではすっかり市民権を得た今は信じられませんが、そのほとんどの反応が
「トゥーンリンク」の表情の怖さにありました。
今でこそ「猫目リンク」などと愛されている「トゥーンリンク」ですが、このギョロッとした目つきがとにかくとっつきにくみたいでした。
心の内の全部を見透かされているようなそんな目力があったのです。なので、僕の当時の周りでは誰一人として「買わない」「キモい」と否定派しかいません。
そんな中、完全アウェイな状態で、オレンジ色のゲームキューブ本体丸ごとと同時にソフトを買ってきたのが僕です。当時のお仕事もちょうどお休みで。
発売前のテレビCMを見てから、これ買わない理由がない!と自転車を走らせ開店前のゲーム屋に並び、当日入ったばかりのアルバイト代の7割を使い心からやりたかったゲームが「風のタクト」です。そして忘れかけていた冒険心を根こそぎ思い出させてくれたのが、トゥーンリンクでした。
どこまでも広がる広い海。
海と空以外何もない世界。
タクトを振って自分で行き先を決め、風だけがリンクを運んでくれる。
何者も、ほとんど人もいない世界で
さらわれた妹のアリルを助けるためだけに
二つ返事で「世界を救う」といってしまうリンクの勇ましさ。
海賊船に乗り込みおばぁちゃんに見送られる時の
リンクの情けない顔と寂しさも「リンクの目」が痛いほど伝えてくる。
勝てないとわかっていてもガノンに歯向かう時の心情も
人々の悩みを聞いているときに腰に手を当て偉そうにしている態度も
物語中にも重たい空気になる場面でも彼は笑ってすまし、かといって何も言わずに去ってしまったりおばあちゃんが心配して倒れてしまってもケロッと帰ってきたりするのが許されるのも、全部リンクが何も言わずに訴えてくるから。
それをこれでもか、と表していたのが
「リンクの目」です。
ゲームシステム的にも、「目がデカい」ことが活かされていて
ダンジョンなどで怪しいところがあるとリンクはなんかそっち見てるんですね。
詰まってしまったとき見落としていたギミックなんかがありますと
ついつい周りが見えなくなり目の前の問題にしか意識が向かないのですが、
それを「ほれほれ、あっちあっち」と目で促してくれるんですよ!
これもう最高でして!
プレイヤーはあくまでリンクを操作しているからリンクなのですが、作中はリンクはリンクで、プレイヤーはプレイヤーで、リンクが立ち止まればプレイヤーも止まり、プレイヤーが行きつまればリンクも行きつまる。当たり前ですが。
しかしリンクが目でプレイヤーに訴えることで「プレイヤーと一緒に」冒険している感が素晴らしくて!冒険に行きつまっても、リンクはそこじゃないよ〜、と。あれ何かな〜?と。さりげないやさしさ、とでもいうんですかね。いうのではなくチラッと添えてくれるんです。いやこの子、モテるわ〜って思いますもん。でもリンクはリンクの存在感があって、一度見たら忘れない圧がある。
トゥーンリンクの力を一番感じたエピソードがあります。
「ムジュラの仮面3D 発売記念コンサート」というのがありまして、ゼルダ音楽をオーケストラで聴けるというなんとも贅を極めた催し物に出かけたときです。
会場中ゼルダファンに埋め尽くされた観客席の端っこに席をとった僕らは、あちこちから聞こえるゼルダ愛に包まれておりました。みんながみんなゼルダが大好きで、ほぼ全員ゼルダファン。僕もどのシリーズが聴けるのかワクワクが止まらないのだけど、実は「ムジュラ」をプレイしたことがなかったので、ムジュラ中心だったらついていけないかも、と不安でした。
でもそのとき後ろの席から「あたしゲーム知らないから」「ごめんね、おばあちゃん、付き合わせちゃって」といかにも孫に付き合ってきただけだから、ゼルダを知らない、ましてやゲームも知らないという方もここにくるんだなぁと思い、知っているほうがやっぱり楽しめるのではないか?ムジュラやっとくべきだった!と後悔もしていました。
オーケストラが開演し演奏が始まると
「次の楽曲で1部は最後です」と告げられ、歴代シリーズをたっくさん聴き、もう半分終わってしまう悲しみと同時にまだシリーズあったっけ?と思えるくらいのボリュームで演奏があったのでここでムジュラか!?と不安になった時!
聞こえるんですよ!あのオープニングの笛の音が!!
「締めに風タク!!!!」もうそれだけで生きていてよかった!!しかもオーケストラの大音量で生演奏で…!!もし帰りに何かあっても十分幸せな終わり方ができる!ありがとう!!しか出てこねーわけですよ。風タク信者としては!
演奏もさることながら映像も素晴らしくて、
ちょー大画面であのトゥーンリンクがたっくさんずっとずっと笑っているんです!
名シーンだけじゃなくて、腰に手を当てているとこや
魚男にエサ撒いているところ、サルベージしてお宝引き上げる時や不安がってる顔マスターソードを抜いた時の神々しい顏が大画面で、オーケストラで。
でも、ゲームやってなきゃわからない感動です。
リンクのあどけない表情で手を振るシーンと同時に演奏も終わり、汗だくの指揮者の方のあいさつとともに一部が終わり小休憩が入りました。いっせいに聞こえるぐしぐしと泣いている声。感動しすぎて声にならない声が会場中に響き渡る中、後ろのおばあちゃんの声が聞こえてきます。
「すっごいよかったぁぁー!!きてよかったぁ!連れてきてくれてありがとう、ありがとう!」とずっとお孫さんに感謝していました。
「最後の!最後のあれ!!あれが本当にゲームなの!?家にあるの!?」といたく気になったご様子。
演奏ももちろんですが、風タクリンクは、ゲームを知らなくても人を感動させるなにかがある。人にとって忘れられない大事なものが、あの目に宿っている。
ついでにトイレに行った時も、女子も男子も全員風タクの話題で持ちきり。後ろの方も、あれからプレイなされたかどうかはわかりませんが、少なくとも僕は「HD化」されて間もない時だったので、寝ないでプレイしましたよ。
トゥーンリンクの目力とゼルダの伝説 風のタクト」の作品のもつ
底力にとことん驚かれた1日でした。
こういう冒険がずっとずっとしたかった。もしあのとき「風のタクト」に出会えなければゲームは辞めていたと思います。だからほんとに「風タクだけは僕が語りたい!!」って強く思うのです。いつになるのかはわかりませんが。
まぁでもその時が来れば風がはこんでくれますよね。
風の導くまま、気の向くまま。
明日は明日の風がふくよね。
僕はその風に帆を張って、流れるようにゲームしていたいのです。
時々新作ラッシュという乱気流が発生して
大嵐に飲み込まれますけどね。
今回のお話はおしまいです。
最後まで読んでくださりありがとうございます。
コケでした〜。
プレイしたことがある人もないひとも!WiiUお持ちなら絶対オススメ!
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