「関西女子のよちよち山登り 4.飯盛山」(終)
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商品が落ちてくる時間ももどかしく、登和子は自動販売機の入口に手を伸ばす。
すぐに麦茶のキャップを開け、喉を鳴らして飲んだ。飲んで飲んで、五〇〇ml入りペットボトルを一気に半分ほど空けた。
「うう、死ぬかと思った」
下山開始後、残りの飲み物をちびちび飲みながら歩いていたが、汗で出ていく量に対して摂取量が全然足りなかった。熱中症になったらどうしよう。気持ちばかりが焦った。
確か四條畷神社の休憩所に自動販売機があったはずだ。下山したらすぐに駆け込もうと決意し、しかし実際到着してみると、走り出す元気などまったく残っていなかった。
新しく買ったペットボトルをザックのサイドポケットに差す。休憩所の長いすに座ってしばらくぼうっとした。
今回は下山してすぐの場所に自動販売機があったから助かったものの、田んぼしかないような場所に下りてきていたら、一体どうなっていたのか。
頭の中で救急車のサイレンが鳴り響く。
スマホのメモ機能に、『七月は登山をする上では夏真っ盛りと認識し、飲み物を一L以上持って行かなければならない。さもなくば死ぬ可能性あり』と打ち込んだ。
国見山・交野山登山のときのトイレ問題もそうだが、実際に山に登って窮地に陥らないと、分からないことはたくさんある。
「失敗しなくなる日なんて、来るんやろか」
ぽつりとつぶやく。
そんな日は当分来ない気がする。
だからこそ、一度山でした失敗はもうしないように注意して、少しずつ成長していくしかない。おそらく、決して器用でない自分には、それしか成長に続く道はないのだ。登和子はううっとうなって目を閉じた。
(4飯盛山-終)
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