浪人生はメンタルコントロールが大変。
土曜日の朝。浪人生らしくいつも通り机に向かっている私に母は言った。
「今日の模試お休みしてネットカフェ行かん?」
その一言に私は泣いてしまった。
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というのも
実はこの二週間ほど精神状態があまりよろしくなく、自分の中の希死念慮がぶくぶくと膨らんでいくのを感じていた。
気を逸らそうと机に向かうも一時間程しか続かない集中力。でもこの不安を逃がすために、毎日家から三分でたどり着いてしまう有料自習室に引きこもって心に鞭打ち勉強する。
それでもふとした瞬間にやっぱり死にたくて死にたくて仕方がなくなってしまう。あまりに未来の見えない浪人生活。
自宅はマンションの高層階。
こういう精神状態のときは何をしでかすか分からない。だから自暴自棄になってるところに理性が顔を出した瞬間を見計らってに家に帰る。
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過去に一度どん底まで落ちてしまったことがある。もう戻りたくないと思うのに引き寄せられている気がするのはなんだろう。
朝が来たら絶望で涙が出る。
自己制御できない自分に困惑して涙が出る。
消えたいのに消えられない自分に涙が出る。
満足に勉強できない自分に失望して涙が出る。
ずっと泣いていた。
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少し落ち着いているときには、
自分の現状を冷静に見つめて
``あぁ、このままじゃいけない''
と思うのに。どうしていいかわからなかった。
どうしていいか分からない、というのは嘘かも。
一回勉強から離れて思いっきり気分転換でもなんでもすればいい。浪人生の数日のお休みくらい、なんてことはないのだから。
と、心の中では思っていた。
けれど追い詰められている私は勉強にすがりつくしかない。
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そして土曜日の朝。
家族には自分の不安を悟られたくなくて元気に振る舞うか、つらすぎるときには遅くまで自習室に引きこもって顔を見せないようにしていた。
泣き虫な私だけど絶対に家族の前では泣かない。
でもきっと母は気づいていたんだと思う。
そして半ば強引に家から連れ出され、ネカフェで大好きな漫画をありったけ読み、5日ぶりにご飯を口にし、カラオケで大声を出して、そして思いっきり泣いて、私の心は少し落ち着いた。
2週間苦しみ倒したのに、たった1日で憑き物が落ちたかのように元気になった。夜も眠れるし、集中力も絶好調。
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私の中には私が作ったたくさんのハードルがある。本当は要らないのかも知れないけれど、どんどん増やしてしまう。それを母は飛び越えるでもなく、全部なぎ倒していった。
母にはあまり相談事をするタイプではないのだけれど、もう少し話してみてもいいかな。と認識を改めた次第。
あと半年、多分何度か同じような状態に陥るだろうけれど、うまく生きていきたいなぁ。