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【読書会報告】プラトン『饗宴』朗読読書会 #9
こんにちは、『猫の泉 読書会』主宰の「みわみわ」です。
プラトン『饗宴』朗読読書会 第9回目のご報告です。
7月31日の朝、総勢二名で、第八章を朗読しました。交代で音読して、感想や気になることを話し合いました。以下、話題になったことについて、メモ書きです。
■第八章ソクラテスの話
〇前々回の「ソクラテスの壁ドン」
・相手を言い負かし続けたから、ソクラテスは恨みを買って殺されてしまった。特に相手が職業ソフィストの場合、恨みは深いだろう。
・ソクラテスの歴史的評価は、釈迦、孔子、イエスに並ぶ。
しかしソクラテスは彼らほど崇め奉られていない。
・対話には二種類。
相手の気持ちを受け止めるカウンセリングタイプとソクラテスのような探究タイプ。
・ソクラテスはカウンセリング要素を含めればよかったのかも。
・関連で話題になった本
『哲学は対話する ──プラトン、フッサールの〈共通了解をつくる方法〉』(筑摩選書/西研)
https://www.amazon.co.jp/.../ref=dbs_a_def_rwt_hsch_vapi...
・ソクラテスがアガトンに対して行っている壁ドンは、かつてディオティマにされていたことだった。
〇ディオティマのエロス説
・父母の性質からたどって説明する――遺伝要素。わかりやすいけれども、現代だと差別につながる恐れもある説明のしかた
・「欠乏」から説明している
・マズローの欲求の5段階ー生理的欲求/安全の欲求/社会的欲求/承認欲求/自己実現の欲求
・欠乏対策には、目標を立てることと現状理解から
・酒の勢いで生まれたエロス
・当時の人々はよくぞ口頭だけでこれだけの論理展開をできたものだ→当時の人々は、どのような記憶術を?
・エロスとは「モチベーション」のことでは?
・数式ではなく対話で伝える作者プラトンは文学者としても一流では?
〇「両者の間にあるもの」白黒ではなくてグレーなものに注目する考え方
・エロスの性質を父と母の性質の混合で説明するディオティマ
・「エロスは知恵と愚かさの間にいる」
・自分にはなにかが賭けているとは夢にも思わぬような輩が、自分には必要ないと思っているものをほしがることなどあるまい」
→自分の無知を知っているのもグレー状態
〇古代ギリシアの知恵と愛への一種の信仰
・「知恵は最も美しいものの一つであり、エロスは美しいものを求める愛だ」
〇「幸福なものはよいものを所有しているがゆえに幸福なのだ」
・幸福とはプロセスではないか。
・良いものを良いと思う価値観は人それぞれ
・しかし良いと感じる心のしくみは、万人共通
・「良いもの」とは物質に限らず、人間関係や時間の過ごし方も含むのでは→スコレーの語源は余暇
〇ポイエーシス(創作)は音楽と詩に限らず、すべての創作のことを言う
〇エロス(愛)もポイエーシス同様で、恋愛に限らず、すべてよいものや幸福を求める欲求を指す
■その他
〇創作よりもルーティンワークが好きな人もいます
〇これまでのソクラテス研究におけるディオティマ像
・緻密な論理展開をしない人
・神がかりの巫女さん 恐山のイタコのような
・超自然的な話をする→イデア論
・モデルがいたかもしれないが、実在の人物ではない
■本日の一冊:『饗宴』 (プラトン/中澤務(訳)/光文社古典新訳文庫)