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【読書会報告】プラトン『饗宴』朗読読書会 #8
こんにちは、『猫の泉 読書会』主宰の「みわみわ」です。
プラトン『饗宴』朗読読書会 第8回目のご報告です。
7月10日の朝、総勢二名で、第八章から朗読しました。交代で音読して、感想や気になることを話し合いました。以下、話題になったことについて、メモ書きです。
■前回のふりかえりなど
アガトンの演説に、ソクラテスがツッコミを入れていて、その容赦のなさが衝撃的でした。
これをわれわれは「ソクラテスのちゃぶ台返し」「ソクラテスの壁ドン」と名付けました。
ちゃぶ台返しをしたソクラテスは、自分の話をはじめます。
その回想シーンで、新キャラ・ディオティマちゃん(敬称です!)の登場です!
古代ギリシアの哲学は男だけの世界かよ! って寂しがっていた読書会の女性陣は、ソクラテスの師匠筋に女性もいると分かって、とても喜んでおります…。
■第八章ソクラテスの話
〇ソクラテスの師匠・ディオティマ登場!
・マンティネイアからやってきた賢者ディオティマ
・紀元前430年のアテネでの疫病の大流行を十年間食い止めたのは、ディオティマの疫病予防の儀式だった! 当時
→アテネに広まっていた疫病とは?
→ディオティマが儀式と称して行った予防方法は何だったのか?(現代同様、手洗いとうがいだろうか?)
・哲学者が医者になる?
→哲学者はギリシア語で「知を愛する人」だから、きっと予防医学も仕事に含められるのでは?
〇間にある別の何か・・二元論の否定(ディオティマ)
・「旗色を示せ!」とは、多数を一網打尽に配下に置きたいときの言葉(ステップ志向
?)
・プロセスの種類
・ステップ志向:全体を見てからやることを決めて一直線に
・ウェブ志向:考えながらゴールに行きつく
・アガトンはステップ志向?
アガトンが、ソクラテスの問いに「ハイハイ」と答えてしまっていたのは、(ソクラテスの気迫に呑まれたというだけではなくて、)アガトンがステップ志向的で、一直線に決まるその道筋が喜びだったから?
・「ソクラテスの壁ドン」は、まだまだ手加減だった!
ディオティマとソクラテスの会話を知ると、「ソクラテスの壁ドン」は厳しいようでいて、実は、かなりアガトンに手加減していたと判る。
・食い下がれる議論の豊かさ
→食い下がる相手にわかりやすく説明できるディオティマも立派だが、言われたことをうのみにしないプラトンも立派!
→ソクラテスは哲学者で、アガトンは詩人。専門が違うし、議論するときの格も違う。とはいうものの、ハイハイと答えるだけで食い下がらないアガトンに、ソクラテスは何を思っただろうか。
→うのみにして「壁ドン」されていたときのアガトンの本心を聞いてみたい。
★賢さと愚かさの間にあるものとは?
思っていることはただしいのに、きちんと説明できない状態
〇白黒の間であるグレーゾーンに着目する考え方
・エロスもまた、美醜の間にあるなにか。美でないなら神でない。
・精霊(ダイモン)とは、神と人間の間の通訳者。要供物。
・ギリシアの神殿は、日本でいうと神社に似ているのかもしれない。現在、一神教が残っているのは、世界中で、ヒンズー教と神道だけ。『逆転の世界史 3巻』(井沢元彦/小学館)
〇ギリシアの神殿は、いわゆるお悩み相談所のデータベースだったのでは?
〇エロスの母は貧乏神だった!?
〇ソクラテスの話はプラトンが記録、ディオティマの話は?
〇ディオティマの描かれ方。
・老婆、知恵ある女。
・翻訳で女性の語り言葉の語尾は要注意(むやみにへりくだっているように感じる)
幸い、饗宴でのディオティマの語り方は威厳があって安心する。
■その他
〇いつかやりたい、ホントの饗宴
横になって飲み食いしながらZOOM越しにみんなでうだうだ喋る『饗宴』
〇処女懐妊と右脇下(真紅に咲き誇るアソーカの樹=無憂樹・むゆうじゅ→沙羅双樹の白い花)
〇「大人になってもいろいろあるから」と、大人の事情を察する子ども(不本意な時間をすごす)
〇稽古場で役者に教わることが多いと、翻訳者・松岡和子が語ったエピソード:オフィーリアがハムレットに冷たいのは★父親の指示に従っているから★(松たか子)
■本日の一冊:『饗宴』 (プラトン/中澤務(訳)/光文社古典新訳文庫)