無料ChatGPTサービスのススメ
ChatGPT APIの料金が安すぎてヤバいので無料ChatGPTサービス作れるんじゃね? ということを昨日ツイートしたら、そこそこ反響がありました。
なのでまだ精査・整理はできていないものの、考えたことをざっと書き出してみることにしました。これによって多くの人が無料ChatGPTサービスを作るようになることを願っています。
ちなみに僕は普段「マシュマロ」とか「アプリ☆メーカー」とかのサービスを運営していて、ここに書いてあるようなことを四六時中考えています。Clubhouseの登場の時もこんなことを考えたり。
実は今回気付いたことは秘密にしておいてアプリ☆メーカーにChatGPTを搭載することも検討しました。ですが現在の弊社のリソースではスタートダッシュを決めることができそうにないので、これを読んだあなたに託します。
それにChatGPT APIを使ったサービスの世界が広がって手堅い手法がいくつも確立されたほうが、今後弊社サービスにChatGPTを組み込むことになった場合にも楽になるんじゃないかと期待しています。
現在の状況
まずは現在の状況を確認しましょう。
2023/03/10現在では、多くの人にとって本家ChatGPTは取っ付きづらいものです。そのため、手軽なChatGPTサービスをリリースすると初動で大幅なブーストがかかり、一気にユーザー数が増えます。一気に数十万規模のユーザー数になった「AIチャットくん」が好例です。
しかしまだまだ手軽なChatGPTサービスは少なく、ChatGPTに触れたことのない人のほうが圧倒的に多いです。そのため、初動でブーストがかかる状態もまだ維持されているでしょう。
また、多くの人がChatGPTに触れたことがないということは、ChatGPTの感動もまだ味わったことがないということです。そのため、本家ChatGPTより劣るものだとしても、それなりに「すごい」と感じてもらえると思われます。
ChatGPTの特性
ChatGPTはとにかくテキスト生成能力が高いです。そのため、テキストを生成することがコアにあるサービスと相性がいいです。そういったサービスも様々な種類がありますが、Twitterで人気のエンタメ系と言えば、診断系でしょう。
診断系サービスがどういうものかというと、「診断メーカー」や弊社がやってる「アプリ☆メーカー」等です。あれは極端に言ってしまえば、ユーザーが予期しないテキストをあの手この手で生成するだけのサービスです。そしてその「あの手この手」を一手に引き受けてくれる存在こそが、ChatGPTです。
しかしながら、診断系は無料で使ってもらってバイラルに拡散させることが肝です。そのため、「無料でサービスを成立させられるか」こそが重要なポイントになります。
無料でサービスを成立させる方法
無料でChatGPTサービスを成立させる方法は、基本的には「広告売上>APIコスト」を実現することです。サーバー代もありますから、「広告売上≧APIコスト」じゃだめです。広告売上がAPIコストを常に上回っている必要があります。
例外として稼げるサービスに誘導するという方法もあります。たとえば「ChatGPT エンジニアキャリアまとめ」がそうですね(ハッシュタグ検索でどんな風に使われているか確認できます)。しかし普通は選択できない方法なので割愛します。
「広告売上>APIコスト」にすればいいだけなので、とてもシンプルなことです。しかし広告売上というものはさほど高くないものです。また、ChatGPTのAPI料金もうっかりすると跳ね上がるものです。そのため、双方において工夫が必要です。
広告売上の工夫
普通は広告を貼るとしたら、AdSenseのバナー広告を貼る感じになるでしょう。そうなるとeCPM(1000インプレッションあたりの売上)は数十円くらいだと思います。雑に50円前後と見ておきましょう。しかしそれでは心もとないので、工夫が必要になります。
複数個所に貼ったり、掲載位置を工夫したり、自動広告を導入したりすれば、ページ全体ではeCPM100円を超えることも可能かもしれません。1PVあたり0.1円の計算になります。そこまでいけるとちょっと安心です。
また、オーバーレイ広告やインステ広告を使えると心強いです。オーバーレイ広告は、画面下部に張り付きで表示されるうざいやつです。インステ広告というのはインタースティシャル広告のことで、全画面に出るうざいやつです。うざいのですが、ユーザーのアクションを阻害するのではなく、何らかの待ち時間で出るならばさほど邪魔になりません。まぁないに越したことはないのですが、診断系は「出力結果を待つ」というタイミングが発生するので、インステ広告を自然に出すことが可能です。
特にインステ広告はうざいだけあって収益性が高く、eCPM100円~200円くらいにはなります。景気や広告の種類によってはさらに上を狙えるかもしれません。ただし、AdSenseではサービス側が自由にコントロールできるオーバーレイ広告やインステ広告を使えないので、AdSense以外のアドネットワークと契約する必要があります。AdSense以外の広告はちょっと面倒ではあるので、サービスがバズり、アドネットワークを増やす価値が明確になってから導入するといいでしょう。
これらを加味して、広告売上に関しては以下のような肌感でいいんじゃないかと思います。
AdSenseだけで適当にやるなら1PVあたり0.05円
AdSenseだけでちょっと工夫するなら0.1円
外部のアドネットワークを導入するなら0.15円
外部のアドネットワークを導入して本気で工夫するなら0.2円
そのため、APIコストはこのあたりの金額と比較して、いかに小さく済ますかが重要になってきます。
APIコストの工夫
ChatGPTのAPI料金は、1000トークンあたり0.002ドルです。1ドル136円のレートで日本円に換算すると0.27円程度です。
1回使用するたびに1PV発生する仕様だと想定した場合、広告で本気出して1PV0.2円に持っていっても、コスト0.27円のほうが高くなってしまいます。そのため、これを低くする工夫が必要です。
トークンは、プロンプト+出力結果でカウントされます。日本語だと1文字あたり、ひらがなカタカナで1トークン、漢字なら1〜3トークンになります。標準的な漢字割合の文章だと、1000トークンでだいたい600~700字になります。
また、AIとのやりとりを繰り返す場合、過去のやり取りごと再度入力する必要があるので、どんどん使用トークン数が肥大化します。そのため、単発のやり取りでないと無料化は厳しいでしょう。
診断系は出力したらそれで終わりですので、そもそも単発のやり取りが基本です。なので問題はいかに字数を減らすかです。
考えてみたところ、以下の方法で200トークン程度に圧縮することができました。
プロンプトの入力を50字までに制限
出力の最大トークン数を100に制限
これは非常に厳しい制限なのでサービスとして実現するのは非常に難しいのですが、診断系のフォーマットなら可能でした。具体的な仕様は後述します。
このようにもし200トークン程度に抑えられればコストは0.054円にまで下がります。そこまで下げられたら、AdSenseで最適化するだけでも利益が出る可能性が見えてきます。つまり、無料でもちゃんとChatGPTサービスが成立するということです。
200トークン程度に圧縮する方法は、上記以外にもたくさんあるはずです。ということは様々な無料ChatGPTサービスが出てくる余地があるということです。ワクワクしますね。
仕様サンプル
無料で成立するサービス仕様のざっくりとしたサンプルです。自由に使ってください。これを参考にした場合は報告してもらえると嬉しいです!
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