大統領選挙後に再燃する可能性がある米国インフレ、9月CPI解説
さて、9月分のアメリカのCPI(消費者物価指数)が公表された。アメリカのインフレ動向はどうなっているのか。
米国のインフレ動向
まず、全体のインフレ率は前年同月比で2.4%となり、前月の2.6%から更に低下した。
インフレ率下落の理由
インフレ率は下がり続けている。全体のインフレ率が下がっているのは、主にエネルギー価格が下落しているからである。原油価格のチャートは次のようになっている。
直近では中東情勢の悪化などを受けて上がっているが、9月の間は原油価格は下落していた。当然ながら9月のエネルギーのインフレ率は-6.9%(以下、前月比年率)と前月の-4.0%から減速となった。来月のデータでは中東情勢の悪化の影響を受けて上昇するだろう。
金融市場で取引されているエネルギー資源や農作物などのコモディティの価格が2022年のインフレのピークから長期的に下がり続けているため、全体のインフレ率が下がってきたというのがここ2年のインフレ動向である。
原油価格をより長期のチャートで見ると次のようになっている。
コモディティ市場とインフレ率の協調的下落については以下の記事で説明している。
インフレ率が下落するからコモディティ市場が下落し、コモディティ市場が下落するからインフレ率が下落するというこのスパイラル構造は、ジョージ・ソロス氏が『ソロスの錬金術』で再帰性と呼んでいる現象である。
再帰性は何か大きなトレンドの転換がない限り長期的に続いてゆく。
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