アキのエッセイNo.20ー在宅復帰がベストな選択なのか?
こんばんは、アキです。
以前、書いたNo.3の記事でも「在宅介護は完全正義か?」というタイトルで、在宅介護についての考えを記載しましたが
今回も似たような感じの記事になりますが、お付き合い下さると幸いです。
No.3の記事が気になる方は以下に記載しますので、お読みいただけると嬉しいです。
さて、本題に入りますが、私はとある老人介護保健施設の清掃のパートとして勤務しております。そこで作業していた時に、相談員さんとケアマネージャーさんがこのような話をしていました。
「せっかくAさん、在宅復帰できるようにリハビリ受けて、動けるようになったのに、家族が拒否して特養(特別擁護老人施設)行きになるなんてね」
「動けるようになったから、家にいられたら余計に嫌だなんてね」
というような話をして、そのAさんのご家族様を非難しているような感じで、Aさんに対し同情されるような様子でお話しされていました。
確かに、在宅復帰を目指してリハビリ受けたのに、ご家族様がそれを拒否するという状況は、一見すればひどい話です。
ですが私は、そのように感じませんでした。むしろ、そのご家族様は「賢明な判断」をされたと感心しました。
私もひどい人でしょうか?おそらくそうかもしれません。
ですが、私としては「ご家族様がご自分の率直な意思を把握して、その上で『家で看ることは出来ない』と判断されたのだ」と受け取りました。
在宅復帰されるにしても、完全自立の生活はほぼあり得ないでしょうから、ご家族様の介助や見守りなどが必要になってきます。そのご家族様の協力を得るには、ご家族様の時間的余裕や人員的余裕、介護のスキルや知識などが必要になりますが、ここで見落としてはならないのが
ご家族様の「理解」と、協力における「同意」です。
まず、対象者様の状態や介護度、必要な対応に対する「理解」は必須ですよね。上記のAさんのご家族様も理解はされていたのだと思います。だからこそ、在宅復帰への協力の「同意」が出来なかったのでしょう。
家族が障害を負った家族を世話するのは当たり前でしょうか?
では、家族が皆、日中働いている状況下で「常時見守り、トイレなどの介助が必須」な対象者を看ることは可能でしょうか?
例えば、誰かが休みを取りつつ、通所やショートステイを利用しながら看るという選択をしたとしても、施設の都合で通所、ショートステイが休みになったときの対応が必ず出来るという保証はありますか?常時見守るということに、あなたはストレスを生じさせることなくたえることが出来ますか?
Aさんは「動けるようになった」らしいですが、そうなることで生じるリスク(転倒、骨折など)に対し万全の対策が出来るという自信をご家族様は抱けなかったのだと思います。
Aさんのご家族様は、「家族として世話をすることの責任を感じて、それを全うすることが出来ないと判断したため」に、在宅復帰を拒否されたのだと私は感じています。
介護には「理解」と同様に「同意」が必須だと私は考えています。
仮に、対象者様の状態をよく理解されないまま在宅復帰を承諾し、ご家族様が受け入れてしまった場合、どうなっていたでしょうか?
上記の例に挙げたようなトラブルやリスクが生じますよね。
ですから私は、Aさんのご家族様は本当に賢明な判断をされたと感じております。ただ感情的になって「無理だ」と判断したのではなく、世話をすることの「責任」を感じて、それを果たすことが出来ないと感じたために決断されたのだと私は思うのです。
相談員さんやケアマネージャーさんの考えも分かります。ただ、「動けるようになったから在宅復帰をすべき」と、ゴールを狭めるのはどうかと思います。また、「在宅復帰を拒否するご家族様を非難し、拒否された対象者様に同情する」のも違う気がします。
先ほども述べたように、中途半端な理解で在宅復帰を叶え、その一家の介護状況が逼迫し、家族関係が悪化するような経過を辿ったとしたら、どう責任を取るつもりなのでしょうか?
そのような未来を辿るよりも、ご家族様と対象者様がお互いに安心して生活できるようなゴールを目指すべきと私は考えます。そのために「施設入所」が必要であればそれを選択していただくべきと私は考えます。そして、時間があるときにご家族様が面会し、定期的に対象者様が外泊するというスタイルでも良いと思うのです。
家族だからこそ一緒にいなければならない。きちんと世話しなければならない。自宅に帰ってもらわないと対象者様もご家族様も幸せになれない。というような考えに縛られてはならないと思います。
その考えにとらわれて選択を誤れば、上記のような地獄が待っています。
担当の対象者様ご一家が幸せに生活できる最適解は何か?考えを狭めず、固定観念にとらわれずに支援できるような作業療法士になりたいと私は思います。
お読み下さりありがとうございました!
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