宗教学講義2024後半 第一回分 文字掲示
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授業本体で何がおこなわれているのかを文字でも記しておきます、という趣旨で学生向けの投稿(主として毎週の課題文です)を採録します。ご参考まで(あまり改編していないので ぞんざいな表現を含みます。ご容赦を…)。
初回の課題は予告通り、トルコ文化センターの掲示物の「イスラームQ&A」を参照して回答するもの。正答/不正答があるものではないので「回答」としておく(解答ではなく)。
https://tokyocamii.org/publications/
(↑ このページにあるのでダウンロードしてください)
本学期ではイスラームの内実をクルアーンを参照しながら学ぶのであるが、受講生の多くは精確な知識の以前に何らかの夾雑物を頭に保有していて、(意図的に)歪曲されたイスラ〜ム像を保持していると推察される。この妄念を解除することから始めたい。
まずは「イスラームQ&A」(上掲)の Q(クエスチョ〜ン)を通覧して、自分が日頃からイスラ〜ムに対して抱いている疑問/疑念(とりわけ否定的なもの)に合致するものなどに関して、その答え(A)を読んでみる。
例えば、
・オスマーン帝国は他のムスリム諸国を圧迫/搾取していたのか〜
・イスラ〜ムの他の宗教に対する態度はいかに〜
・イスラ〜ムでは四人まで妻を持てるの〜
(この件に関してAを補足すると、歴史上 戦役で多くの戦死者(男)などが出るのであるが、この際に寡婦となった妻は、キリスト教ではほぼ救済がなく見捨てられたのに対して、イスラ〜ムではこれを路頭に迷わせないために家族として迎え入れる余地を残していた、のような事情を理解するとよい。戦死した兄の妻は自働的にその弟の妻になる、などである。裕福な男が多数の女性を独占した、という話ではない。)
・ジハ〜ドとはなんぞや〜
・イスラ〜ムはテロを是認するの〜
のような(キリスト教諸国にも向けられて然るべき、しかし通常は向けられることのない)問いが、なぜかイスラームだけに向けられるのであるが、これに対する本文での解答を読んでみる。
納得してもしなくてもよいので、まずは読んでみて感想を記すのが課題。
五個以上、十個程度が目標。
そのバックグラウンドで、同種の問いがなぜに ヨ〜ロッパ諸国(キリスト教諸国)には向けられないのか、という点も思案するとよい。スターリンとかヒトラーの行為に関して、その宗教的背景が問われることがないことを熟慮すべき。
※ もう一つのパンフレット(「イスラーム 正しい理解のために、上掲箇所に掲載)の方はもう一段本格的な叙述であるので、こちらを読んで何か書いてもよい(その場合には、Q&Aで回答しなくてもよい)。
授業としては、15世紀の世界を横断して、宗教的にはキリスト教の宗教改革にいたる経緯を話の根幹に据えたい。だが、デマルカシオンが手引きとなるので、これを読んでおくとよい。
次回に発出する課題は、予定ではこのデマルカシオンに関して感想を書く、ということになるはず。
(デマルカシオンに関しては wiki などでこの後を検索してください。スペイン語版で検索する場合の語は Demarcación になります。)
なお、当講義は意図的に「哲学史」とリンクさせているので、そちらも見てみると理解が立体的になる。哲学史の受講生は増やしたくないのだが、当講義に残った優良なメンバ〜は歓迎す…。
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放送大学 推薦番組
この講義(哲学史と宗教学)に関係するものとして、放送大学の以下の講座を推薦す〜
放送大学といっても公共のテレヴィジョンの放送で無料で視聴可。同組織のテレヴィジョン放送はすべて45分×15回となっておる。
以下に番組表と該当する講座のリンクを示す :
・「西洋の美学・美術史」講座説明
https://www.wakaba.ouj.ac.jp/kyoumu/syllabus/PU02060200211/display.do?taglib.html.TOKEN=null
放送大学テレヴィジョンの放送予定表(このうちの火曜に注目すり〜)
https://www.ouj.ac.jp/bangumi/year/2024-2_bangumihyo.pdf#page=4
本年度の新設講座のうちで群を抜いてよい出来になっておる。とはいえ一般の視聴者には1割も理解できないと思われる。そのためまずは録画でもしておき、いずれ見ればよい。個人的には、このままでは勿体ないので、これを観るための(理解するための)説明録画を、ネコチュ〜ブかYouTubeに掲載するような心づもり(待ちて)。(その後 全然進んでいないので春休みにでも。一月中旬から、同番組はまとめて再放送するはずなので、そのときに録画するとよいでしょう。次年度にも設置されるはずですが。)
説明 ルネサンス以前と以後とでは、自然および身体に対する見方が、キリスト教圏域の中で大きな変動を経験した。ここで生じたギリシア的なものへの接近が、その後のキリスト教の理論構成にどのように作用するのかは、きわめて難しい問題となる。だが宗教改革も、それに先立つバチカン/バティカンの変様も、無論 この動向と無縁ではない(このあたりは前期に多少は言及してある)。
このことに加えて、十八世紀において(時代的には西ヨ〜ロッパの啓蒙の時期に)、曩の〔さきの〕ルネサンスに接続するさらなる変動(身体および自然に関する理論における変動)が生じることになる。われわれが(現代人が)理解し、〈美術〉〈藝術〉〈美〉として経験するものの地平はこのときに(近代に)形成される(形成され今に至る)。(逆から言えば、それ以前の美/藝術に接近することは、そもそも地平が異なっているために、極めて困難でもある、ということになる)。
放送大学の上の講座「西洋の美学・美術史」(その八回目までの前半)で、小田部センセが扱っているのは、この近代に何が起こったのかに関する極めて詳細な分析なのである。…
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おまけに 放送大学放映テレヴィジョン番組で、見るにあたいするものを挙げておくと :
政治に関心があれば 「空間と政治」(22年度版)は推薦。原センセもよいのだが、副主任の長谷川女史センセがさらによい。日本の近代の政治空間の話である。
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