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2025年2月16日から20日ぐらいの日記
20日は関西えんげき大賞の授賞式だった。サファリ・Pの「悪童日記」に優秀賞を授けていただいた。実は2年前も同じくサファリ・Pに対して優秀賞をいただき、ちょうどインフルエンザにかかってしまったので授賞式を欠席してサファリ・Pの康介さんにお任せしたのだが、今回も月曜の夜から調子を崩し、前日まで熱を出していたのでヒヤヒヤした。というか、健康管理にはまあまあ自信があるので悔しかった。いや、ちょっと無理してたから賢い体がブレーキかけてくれたんだな。
朝起きたらやっと立っていてもしんどくない状態に復活していた。なんとか参加できてよかった。阪急で恵美須町まで行って歩く。若い頃は駅から遠いなと思っていた一心寺シアター倶楽までの道のりが、とても楽しい。暮れなずむ空にひっそりと佇む一心寺が美しかった。
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授賞式はとてもとても緊張した。今回は、康介さんに加え、達矢さん、ヤス子さんもいてくれるのに、それでも緊張した。(サファリ・Pの人といると、私は呼吸が安定することを実証済み)
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この「関西えんげき大賞」という賞は、なんと九鬼葉子さんという評論家の私設の賞なのである。九鬼葉子さんといえば私がまだ20代前半だった頃、恨みと自己憐憫で書き殴った台本を「私これがいい!」と(本当にこんな言い方で)選んでくださって、なぜか最終選考に残り、なぜかOMS戯曲賞の大賞を受賞してしまった時の恩人だ。今なら私はあの時の私を応援できるけど、九鬼葉子さんはあの頃からずっと、私を含める関西の演劇人たちの創作に伴走してくださっている。
そのことを思うと受賞をお知らせをもらった時からもうずっと感動していて、昨日の授賞式のスピーチでは喋れなくなってしまった。ちなみにあの後帰宅してベッドの中でもまた泣いてしまって、今もこれを書きながら泣いてしまう。情緒を心配してくださる方もおられるかもしれないが、これは自己憐憫とは対極にある癒しというか浄化の涙のようなもので、対極にあるから現象として同じことが起きる、のかもしれないし違うかもしれない。適当なので信じないでね。
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金子さんは今回の式のプレゼンター
とりあえず寄付しようと思ったけど持ち合わせがなかったので、ウェブ上で、と思うけど、その場所もサイトにはなかった。問い合わせてみることにする。
最優秀作品とと観客賞をW受賞されたのはコトリ会議さんでした。この作品は私も観ていて、いつもツイートしない観劇の感想をツイートしてしまうぐらいには面白かったので、納得だし、何より、ひっそりやってました、という山本さんの言葉が本当にそうだなと感じられて、コトリ会議の受賞を嬉しく思えた。評価されることは嬉しいことだけど、ご自身のペースでこれからも書き続けてほしい。演劇は何よりその作る過程こそが生きることを支えてくれるし、観客との交信こそがそのゴールで、それ以外は複利だから。そんなこと、とっくに知ってるコトリ会議だろうし、そんなこと知ってるから九鬼さんはこの賞を創設されたのだ。
そして私は、そんなことを最近、体感できる連続で、感動しているのだ。
さて、先週の日曜はとうとう、ビリヤニを作った。いつか作ろういつか作ろうと思ってなかなか作れずにいたのだが、ご近所さん同士でお食事会をすることになり、やっと作る気になった。バスティマティライスに、ヨーグルト、鶏肉、ピーマン、トマト、生姜、ニンニクとスパイスを入れて混ぜ合わせて炊飯器で炊くだけ。
スパイスは、パウダーはターメリック、クミン、コリアンダー、チリペッパー、ブラックペッパー。ホールではシナモン、カルダモン、クローブ、八角、ローリエ、クミンシードを入れた。フライドオニオンも作った。
その間にトッピングのコリアンダーとトマトを用意して、ライタも作った。ちゃんとお店の味がした。嬉しい。(夜に思い立ち、朝、突然、閉まっている楽天堂さんに足りないスパイスを売ってもらった・・・)材料さえあれば、どっちかというと即席のご飯レベルに簡単なので、すごくおすすめ。
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持ち寄るとご馳走会となった。
この時に、橋本さんに、ダーニングを習う。ずっと自分流でやってた靴下の穴の修理を、とうとうプロに教えてもらう。これは・・・止まらない・・・もはや瞑想。これをやってると子供のそばで、子供の話を聞きながら無になれる。なんということでしょう。やっぱり自分流だと、どこで玉留めをするの?とか色々と?となっていたことが、プロによって一気に解決される。針を買い直す。違うかもと思いながら絹糸をこうてしまう。良いものを大切にする、みたいなことにも憧れていたが、それ以前に、ただ針で指先で、同じ作業を黙々とすることの、身体への影響が想像以上にすごい。
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なんだかその流れで、初めて自分が作った歌を手書きで楽譜にしてみた。
ずっと楽譜が苦手だったんだけど、いつも作曲してくださる増田さんのやり方を頭に浮かべて、真似してみた。歌詞を見ると頭にメロディが浮かぶまでは一緒なので、そのメロディをまずは何度もピアノ(ピアノは藤原大介さんにもらった)で弾いてみる。何度も弾いているうちに、朧げだった部分がクリアになっていく。さらに細部を詰めていこうとするも、ピアノだけでは明らかにならない部分を、もう一度歌ってみる。すると突然、明らかになる。その繰り返しで歌と指が馴染んできたら、それを楽譜に書き取っていく。
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本当に、小学校4年までしかピアノを習ってないのと、それも母親に怒鳴られながら練習していた記憶しかないので、楽譜の作法の何一つ全く覚えていない。残ったのはこの私の鍵盤を辿る指遣いだけなのだ。なのでネットで音符の種類を探しながら書く。自分の歌っていた歌が、3/4拍子だったと気づいたらちょっと、脳内ホルモンが出た。嬉しかった。