【映画レビュー】祝30作目は欲張りセット!『映画クレヨンしんちゃんもののけニンジャ珍風伝』の感想
大好き、クレヨンしんちゃん映画が今年もやってきましたよ。
『映画クレヨンしんちゃんもののけニンジャ珍風伝』のざっくりとした感想
『映画クレヨンしんちゃんもののけニンジャ珍風伝』を公開から2日目の土曜日のそこそこ人が入ってる大阪・TOHOシネマズなんばのお昼の回で観てみました。
GWシーズン恒例のしんちゃん映画……と言いつつ実はこの時期の公開は3年ぶりの映画クレヨンしんちゃんシリーズ最新作。そして今作は記念すべき30作目というアニバーサリー作品。
クレヨンしんちゃんの出生にまつわるエピソードに加えて、やってそうでやってなかった忍者ネタ。さらには巨大なゴリラも出てくるようで、私の好みそうな要素もりもりで楽しみにしておりました。
監督は『オラの引越し物語』『新婚旅行ハリケーン』などしんちゃん映画では興行成績のアベレージも高い橋本昌和監督のターンです。
そんな楽しみにしていた本作を観てきた感想をざっくり一言で言うと……
頑張りすぎ!!
と言う気持ちになる映画でした。
野原家の絆を描きつつ、ウェットになりすぎない様注意を払った気配が感じられる逸品。笑いあり、涙あり、アクションあり、歌あり、風刺あり、時事ネタあり、カスカベ防衛隊あり、シロあり……って30作目ならではの無茶が漏れてる欲張りセットです。
そこまで詰め込まなくても良かったんじゃないか、と言うほどのサービスぶりで、正直ストーリーが歪になってしまっていると言えるほどでした。
一方で歪ではありながらも、“あるシーン”の見せ方がすごく良くて、懐かしい初期しんちゃんの面影を思い出す瞬間もあったりと、ぐわーっとこれまでのしんちゃの思い出がよみがえりました。歪とか言いながら3回は泣いてますよ。
そして、上映前のめちゃワクワクして居ても立っても居られなくなってるキッズが居たり、終わったあとに親に「ちょー面白かった!」って報告してる子も居たり、やっぱりしんちゃんは土日の混んでる回で観るのが好きですね。映画にあれこれ思いつつも、みんなの思い出の一日になってることが一番ですよ。
以下、ネタバレありでざっくりではない詳しい感想を書いていきます。
取り違え問題というのはあくまでフック
今回の映画が手堅いなぁ、と思わせられたのがしんちゃん達の言動がちゃんとしんちゃんらしかったところ。
予告編で描かれている通り、事件のきっかけはしんちゃんとゲストキャラの珍蔵くんの子供の取り違え問題が明らかになる話。なのですが、みさえやひろしならそんな話は信じないだろうと思っていた通り、割と冒頭でそれが嘘であることが発覚した上、終始みさえやひろしもそれを信じてはいないところに好感が持てました。
その上で、嘘をついたちよめさんにも何か事情があるのだろうと、忍者たちに連れ去られてしまったしんのすけを追いつつ珍蔵くんの面倒を見ていたり、一方のしんのすけも事態に対してお気楽に過ごしていたりと、終始“しんちゃんらしい”姿に安心して物語を楽しくみることができました。
中盤のサプライズ感動シーン
そんな中で、唯一しんちゃんらしからぬシーンが設けられているのが中盤。
お互いが家族であることは自覚しつつ、しばらく会っていない時間が続いてしまった中で、風子ちゃんが親に連れられて行ってしまったので、一人になってしまってからのシークエンスがいい。
カピカピになってるおにぎりを食べたり、一人で遊んだり、しっかりちよめさんの家に帰ってきて、お風呂も入ったり……と一見忍者の里での行動は馴染んでいるのはしんちゃんらしいたくましさなんだけど、どこか寂しい雰囲気が漂っていく……そしてそれに重ねるようにひろしとみさえがしんのすけの事を思うシーンがあり、ついにはしんのすけ視点の“夢”という形でこれまでの寂しさと思い出が爆発する。
しんちゃんのキャラを立てつつ、家族や思い出などをしんちゃん視点で見せるなんて見せ方をよくぞ思いついた、とシーン自体にもアイディアにも感服しました。
そっから、しんちゃんサイドとひろし・みさえサイドの合流へとエスカレートしていくんだけど、満を持して再会するシーンはあえてギャグを挟むところまで、まぁ見事なしんちゃんらしい外し方。
記念すべき30作目にふさわしい名シーンでした。
クライマックスは詰め込みすぎ?
残念だったのは、そんな名シーン以降の野原家合流後の展開。
それまでは話の本筋には関わってこなかった春日部防衛隊の面々が突然前線に出てきたり、金を運ぶシーンでは盆踊りミュージックがかかったり、それぞれが動物を口寄せの術ばりに召喚させる展開で(『カスカベ野生王国』オマージュ?)突如シロにスポットが当たったり……。
それぞれはもちろん歴代しんちゃん映画でも活かされてきた展開なのだけど、それをここまで唐突に叩きつけられ続けてもサービスというよりもノイズのように感じられてしまい、生きてなかったのが残念でした。
よくぞまぁここまであれこれを詰め込んで話として成立させたもんだと感動はするのですが、無理してここまでしなければ、もっと綺麗な着地を迎えたかもしれないと思うと残念でした。
結果的には、「コウジャナイ」感じの後味が出てしまう時があるしんちゃん映画……という負のあるある要素も詰め込んでしまった記念作になっていました。
まとめ
以上、感想をまとめるとこんな感じ。
昨年の『天カス学園』を始め『オトナ帝国』や『アッパレ戦国大合戦』といった作品を思い返すと、今回のドタバタした感じはしんちゃんらしいのだけど、ナンセンスなしんちゃん映画の型に対して、さらに掟破りを見せないと傑作の域には乗らないのかも......という学びなのかもしれないです。
とはいえサービス過多なのは30周年だからこそのお祭りゆえ。
深いこと考えずに「楽しかったー」と感じられる映画になっていますので、ぜひぜひたくさんの方に足を運んで欲しいです。
忍者ネタだからということで明らかに『忍たま乱太郎』みたいな3人が登場しているところとか、ぜひ探して観てみてー。
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