5月15日に観返したくなるレバノンの難民キャンプを描いたアニメ映画『ザ・タワー』の感想
5月15日。
本日はアラビア語で“災厄”を意味するナクバの日です。
......と、いってもなんだそりゃって人の方が多いと思いますが、1948年のイスラエルの建国によって、パレスチナに住んでいたアラブ人の人たちが、移住地を追われ、難民となった日のことです。
私もつい先日まで、そんな日があることすら知らなかった側の人間でした。しかし、あるアニメ映画を観たことをきっかけに、この日の存在を知りました。
今日はそのアニメ映画のレビュー。
レバノンの難民キャンプを描いた『ザ・タワー』のざっくりとした感想
イスラーム映画祭6のプログラムで唯一のアニメーション映画での選出となった『ザ・タワー』を観てきました。
ザ・タワー
制作年:2018年 / 制作国:ノルウェー・フランス・スウェーデン
監督:マッツ・グルードゥ
レバノンの難民キャンプに住む少女が、いく世代にもわたって積み上げられた住居を登りながら、自身のルーツを追い、曾祖父の思いを知る物語。
現在はストップモーション、過去は2Dで描かれるという手法ミックス型の映画です。
本作を観てきた感想をざっくり一言で言うと
ど傑作!
いやぁ......この機会に観れて良かった。
恥ずかしながら、パレスチナ難民の現状や、レバノンの難民キャンプについてあまり知らなかった分、遠い国の昔の出来事がグッと身近に思えるのは物語の強みだと改めて痛感。
難民キャンプは時が経ち、高い建物が並ぶスラム街化してるのだけど、映画を観ていくとちゃんとテント暮らしの“キャンプ”時代があった事が分かるのも驚きです。建物はLvUPしていくのに、リッチにはならない町づくりゲームみたいで、難民キャンプの成長の仕方に衝撃を受けると共に、また一つ己の無知を知る機会となりました。
難民たちが置かれている状況や、求めていること......知らなかったことのいくつもがこの80分弱の物語の中に詰まっていました。
しかもそれでいて、軸となる主人公と祖父のストーリーは素朴で、しっかり共感できる距離感のものになっているのもまた絶妙。もっと広く観られるべき映画じゃないかと思いますよ、これは。
2021年の今、この『ザ・タワー』の舞台となったレバノンといえば、昨年大爆発を起こした国という印象が強いのですが、難民キャンプの建物などはなおさら倒壊しやすそうなので、心配になりますね。
ネタバレ含む『ザ・タワー』のもっとがっつりめの感想を書いていきます。
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