【イベントレポ】「アニメーションスープ2022アニメーション上映会 おら大阪さ帰った」行ってきたぞ!
2022年4月16日(土)〜17日(日)に大阪・プラネットプラスワンさんで開催された短編アニメーション上映企画「アニメーションスープ2022アニメーション上映会 おら大阪さ帰った」へ行ってきました。
アニメーション作家7名がそれぞれ色々な方とコラボレーションし制作した新作短編や過去作品、さらにはトークゲストとして参加しているコマドリストの竹内泰人さんの作品を上映する企画です。
短編の連続上映って結構体力をゴリゴリ削られるのですが、日本の作家さんの作品集ということもあってか馴染みが良く、短時間に作風の違う体験を存分に浴びれる利点を強く感じられる素敵プログラムでした。
大阪に帰ってきてくれてありがとう!
それぞれの短編の感想を置いておきますね。
はみだせ!レッサーパンダ / 日野馨&やまときょうこ
切り抜きレッサーパンダたちによるコマ撮りかくれんぼ。
かくれんぼなら、はみ出しちゃダメだろ!ってツッコミたくなるけど、見つかった時のリアクション芸がマヌケ可愛いのでやっぱはみ出すべきだ。
どんどんはみだせ!
シチュエーションを変えることでシリーズ化することもできそうです。
本作は日野馨さんとやまときょうこさんの合作。
お互いに仕上がりの調整をしながら制作したそう。
物見遊山 / 永田ナヲミ
漫画家・逆柱いみりさんのイラストを散策していく箱庭的アニメーション。逆柱さんのビジュアルが珍妙で魅力的なので、もっと色んなバージョンや色付き版を観てみたくなった作品でした。キモ可愛い。
ちなみに撮影に使っているキャラクターのパーツはかなり小さいそうです。
クイックオバケさんの作品を思い出しまして、GIFアニメとも相性良さそうです。
極夜 / 渡辺亮介
夜を舞台にした実写ベースのアニメーション。
素朴なんだけどお洒落で、極夜というか午前2時〜午前4時頃特有の都会の静けさが滲み出ていてカッコ良い作品でした。
もし“アーバンアニメーション”みたいな枠組みが存在するとしたら、すごくハマりそうな作品でした。
会場では作中に使われた熊の置物が展示されており、現状扱いに困っていて持って行って良かったそうですが、フィギュアすら買わない人間なので、確実に持て余すのは明白だったので、遠慮しておきました。
食べるリズム Ritm van etten。 / 華廣純子
多国籍食べ物映画。
何語?何語?と思いながら、「あっ微かにビリヤニって言ってる!これビリヤニか!」みたいな海外で未見の食べ物の調理場面に遭遇したような体験。
その中で唯一日本語だけ分かるわけですが、日本枠は「タケノコ」で思いっきり食材だし、入っている音声では「キノコの山」とか「タケノコの里」って明らかに言ってるので、他の国のパートでも、全然遠い話してるものもあるかも。
何かわからない物が形になる体験がままアニメーションと重なって面白いですね。
山火事 / 小川泉
影絵やロトスコープなどを駆使し、江戸時代末期のとある村の出来事を描いた作品。山火事の見せ方の面白さは言わずもがな、ここぞのシーンの見得には気持ちいいぐらいにゾクッとさせられました。脇役に至るまで細かい設定がありそうで、反芻すればするほど重さを増していきます。
山火事が迫ってきたという中で、結果的にある一軒の家だけが燃え尽きるオチには事情はピンと来てなかったのですが、上映後に小川さんがある人物が火をつけたという顛末を明かしてくれて納得がいきました。
不妊ゆえに夫から逃げられてしまった女性の思いと分かると、ゾクッと感じたものの具体性が増して、よりこの作品が鮮烈な体験に思えてきます。
ズボン / ヨシムラエリ
ズボンソングに合わせてズボンを履こうというカラフルで可愛い作品。
いや、一周回って狂気のようなものに片足を突っ込んでいるのが刺激的。
ひたすらズボンという単語とズボン描写が注がれるので、「ズボンとは何か」みたいなものを考えさせられてしまいました。
そういえばそもそも“ズボン”って単語を使わなくなりました。語感の良さを思い出してもっと“ズボン”を使っていきたくなるズボン振興アニメでもありますね。
その他、今回上映された作家さんたちの旧作短編アニメーションも上映されました。どれも初見だったので、すごく楽しく観れました。 「家リンピック2020」の謎競技がエンドロールで“念力合戦”だったことが分かる衝撃や、「ぼろ」のそんなテンションじゃなかったはずなのに、力技で感動の大団円に持っていくやや狂気じみたところなど見所盛りだくさんでした。
そしてトークゲストにzoom参加された竹内泰人さんの以下の二作品も上映されました。
おいしい日本の水 / 竹内泰人
The Entertainer / 竹内泰人
『おいしい日本の水』は一体どうやって作ったんだ!?という水を使ったアニメーションなのですが、メイキング付き版を上映してくれるのが素敵。「こうやって作るんだー」という感心しました。
『The Entertainer』はギター破壊パフォーマンスを題材に、破壊的なあの行動を夢のある作品に見事に描きなおした作品。こんな上品にギター破壊を描けるのか!という絶妙な作品でした。
竹内泰人さんのトークコーナーは、前半はそれぞれの新作短編に対する講評のような形式、そして後半では竹内さんの作品に関する質問に答える形式となっていました。
後半のトークでは、『The Entertainer』の発想に関して、オチでいろんな種類のギターがあるという現在の形に行き着くまでに弦を張り替えるという案などがあったことを語っていました。
また、上映こそなかったのですが、「カムカムエヴリバディ」のOPの話も出て、企画段階では現在のものとは別に二案あったという話もしてくれました。
完成された平面のコマ撮り作品案の他に、立体的な素材のアニメーションと、箱庭的な中でアニメーションが展開していくミニチュア的なものの三案があり、その中で選出されたのが、平面案だったようです。
NHKさんがYouTubeでメイキング動画もアップしてくれてますね。
私はテレビがないし、NHK+にも契約していないので、見れていなかったので、嬉しいです、こういうの。
そんな感じでとても濃密なプログラムとなっていました。
素敵な企画をありがとうございました。
自身は短編アニメーションの連作上映を嫌がりながらも、もっと短編アニメーションの発表の場が増えてもいいのに!とも思っているので、今回のイベントはかなり一般ウケも良さそうなプログラムだったので、どんどん広がってほしいイベントだと思いました。
ということで、引き続き今後の活躍も応援しています!
(マイペースに)頑張ってください!!
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