【独自研究】MBTIの文字列の意味と性質を掘り下げる回
巷ではMBTIの文字列をベースにした典型例や相性論が多く見られますが、そもそもベースの理解が正しいのか不明なので、ENTPらしく1から検討します。
この記事では、自称ENTPがユングの主張も確認しつつ、MBTIの各文字列の意味と性質、ついでに相性も掘り下げてみます。
なお、単純化のため心理機能の成長は無視し、代替機能はやや使える、劣勢機能は苦手な成人を前提として検討を進めます。
1.MBTIの構造
まずはMBTIの構造を整理します。MBTIの構造は以下のとおりです。
MBTIの元になったユングのタイプ論は、心の働きとして感情、論理、感覚、直観の4機能があり、各機能には外向と内向があるとしました。(①)
タイプ論では優勢-補助を主として説明しており、優勢-補助の外向/内向と判断/知覚が異なることで心の安定が保たれるとしました。その上で、劣勢については感情と論理、感覚と直観を対として説明しました。(②)
その後、様々な発展を経て、MBTIでは代替機能や代替・劣勢の向きの明確化が行われました。(③)
①〜③の構造により、優勢-補助が決まれば代替-劣勢は勝手に決まります。
2.E/I 心理機能の順序を示す
構造も踏まえて、E/Iの意味と性質を検討します。
E/Iを切り替えると、優勢機能と補助機能、代替機能と劣勢機能が入れ替わります。
優勢機能と補助機能はE/I以外の文字列の組み合わせで決まるため、E/Iはその組み合わせのうち、外向と内向のどちらが前かを決めています。
心理機能の外向/内向は各心理機能の関心の方向を示していますが、MBTIにおけるE/Iはそのような意味を持っておらず、ただ心理機能の順番を示しているだけです。
心理機能は向きごとに働きが異なるので、Eは外向が優勢、Iは内向が優勢というE/Iの性質は、大した意味を持たないようにも見えます。
E/Iの意味を検討するには他の文字列の性質を見る必要があるため、相性が良いことを力説している下記の記事だけ紹介し、他の心理機能を検討した後に再検討します。
3.S/N メインで使う知覚機能を示す
次は、MBTIにおけるS/Nの意味と性質を検討します。S/Nはいずれも知覚機能です。
Sは、情報をそのまま知覚する知覚機能が優勢または補助に含まれることを意味します。Nは、情報を抽象化し知覚する知覚機能が優勢または補助に含まれることを意味します。
SとNの違いは情報の知覚方法です。Sは情報をありのまま知覚し、Nは情報を抽象化し知覚します。Sは写実的でディテールも含め知覚するため、正確です。
抽象化とは情報をパターンやモデル、タグ付けのような形に変換する働きです。よく言えば本質的、悪く言えばざっくりです。抽象化することで他の情報との関連性や類似性、傾向を見つけやすくなるという利点があります。
ある情報から直接知覚する情報量はSの方が多いですが、Nは連想や洞察を行うため、知覚に時間がかかります。
運動競技など、抽象化の必要が薄い情報の処理が求められる場面では、Sは早く正確な処理ができます。概念など抽象的な情報については、Nの方が早く正確な処理ができます。
SとNの違いは会話内容に強く表れ、Sが日常や実体験等の現実的な会話を好むのに対し、Nは概念や理論、未来やアイディアのような抽象的な話を好みます。
S/Nでは好む話題や関心、得意分野が合わないことが多いため、S/Nは仲良くなりづらい、と言えるでしょう。
なお、知覚機能が補助機能である場合、心理機能が判断-知覚-知覚-判断と並び、S/Nを使い分けられるため、メインでない知覚機能とも仲良くなれるでしょう。
4.F/T メインで使う判断機能を示す
続いて、MBTIにおけるF/Tの意味と性質を検討します。 F/Tはいずれも判断機能です。
Fは感情を基準にする判断機能が優勢または補助に含まれることを意味し、Tは論理を基準にする判断機能が優勢または補助に含まれることを意味します。
FとTの違いは判断基準です。Fは感情を判断基準にし、Tは論理を判断基準にします。
感情による判断とは、好き嫌い、快不快による判断です。「いい気持ち・楽な気持ちになりたい/させたい」、「嫌な気持ち・辛い気持ちになりたくない/させたくない」などが判断基準になります。
論理による判断とは、理屈や因果関係による判断です。「□□によれば◯◯だから△△だ」などが判断基準になります。
利害や価値観に対立が生じた場合、Fは不快感や他者の辛さなど感情を主張し、Tは合理性や相手の矛盾など論理を根拠として判断の正当性を主張する性質があります。
F/T間の対立は激烈です。Fは感情的な納得が得られれば対立をやめ、Tは根拠や論理に納得すれば対立をやめます。
一方、FはTに根拠や論理を提供することが苦手です。また、Fの感情的な納得は配慮や共感、誠実な姿勢や優しい言葉などの感情的サポートを提供することで得られますが、Tは感情的サポートの提供が苦手です。
このように、F/Tは相互に求める要素の提供を苦手とするため、対立を上手く解消できません。対立自体を避けたとしても、内心では相手を低く評価します。
なお、S/N同様、判断機能が補助機能である場合は、知覚-判断-判断-知覚となりF/T双方の判断機能を使うことができるため、F/T間の対立もうまく解消できるでしょう。
5.P/J 判断機能と知覚機能の向きを示す
P/Jは判断機能と知覚機能の向きを示します。
ユングは心の働きを4つに分けた上で、心の働きには関心や興味を向ける方向、外向/内向があるとし、8つの心理機能を定義しました。また、逆方向の心理機能は抑圧されるとしています。
これを踏まえ、P/Jの性質を一旦以下のように整理します。
Pは外部の情報として、Seなら五感への情報、Neなら抽象化できるあらゆる情報を好みます。Pは情報を求めて行動するため活発です。
Jが好む自己の情報とは、蓄積された知識や経験などの記憶を指します。Siは慣れた行為や思い出を通じて記憶をそのまま知覚することを好みます。Niは記憶を抽象化しパターンや傾向として捉え、物事の未来の着地点や完成図を洞察し知覚することを好みます。Jは総じてPよりも静かで不活発です。
また、Pは今の情報に焦点があり、不安定な状況を楽しめますが、Jは記憶か、記憶の延長にある未来に焦点があるため、予測可能性のない状況には動揺します。
上記より、Pは活動的、臨機応変で、Jは落ち着きがある、安定志向などと言えるでしょう。
判断機能について、Pは自己の基準で決めることに焦点があり、外部の基準に従わないことがあります。
外部の基準はFeでは調和、Teでは客観的評価(結果と効率)です。Jからすれば外部の基準はPにも適用されるため、従わないPに外部の基準に従うことを求めますが、Pから見ると干渉的に映ります。
P/Jの判断機能の違いは無限に書けてしまうので根本的な違いを考えると、自己の基準を優先できず、外部の基準をJ自身とPに当てはめるJは自己もPも抑圧すると言えます。自己の基準は様々なので、Pは多様と言えます。
色々書きましたが、S/NとF/Tが同じという条件の下であればP/Jの相性は悪くありません。
例えば、FeにとってはFiに寄り添うことも調和であり、感情的なサポートの提供も可能です。TeにとってTiは通説に対する有力説になる場合もあり、議論を通じより良い論理で合意する場合もあります。
知覚機能も同様で、Neが連想した幾多の可能性のうちの一つがNiの洞察した可能性であり、Seが好む刺激のどれかはSiにとって慣れた心地の良い刺激です。
上記より、P/JはS/NとF/Tが同じである限り、より良い妥協点を見つけやすい関係と言えるでしょう。
6.E/I バランスする知覚/判断機能を意味する
P/Jで見たように知覚機能と判断機能の外向/内向はかなり別物のはずです。
しかし、例えばEには知覚機能として外の情報を好むというSe/Neの外向性と、判断機能として外の基準で判断するFe/Teの外向性が混在しています。
Se/Neの外向性は、外部の情報を積極的に収集するというもの、Fe/Teの外向性は干渉的、かつ外部の基準に従って振る舞うというものです。
上記を踏まえると、巷で言われる相性論やステレオタイプはE/Iに引っ張られがちですが、知覚機能と判断機能の外向/内向の差を考慮した方が良さそうです。
さて、MBTIがEである場合、Se/Neの外向性はPに、Fe/Teの外向性はJに内包されるため、E自体の特徴はありません。Iである場合も同様です。
E/I単体の意味や性質は、P/Jに応じて変わる知覚機能と判断機能の順序に表れます。
PであればEは知覚-判断-判断-知覚、Iは判断-知覚-知覚-判断を示します。
JであればEは判断-知覚-知覚-判断、Iは知覚-判断-判断-知覚を示します。
補助機能と代替機能には知覚/判断機能のどちらかが揃い、結果として知覚/判断機能の違いによる相性の悪さを緩和することは前記のとおりです。
この話を相性以外にも拡張すると、補助と代替機能に揃う知覚/判断機能はS/NまたはF/Nのバランスが取れていることを意味します。
例えば、ENTPは知覚-判断-判断-知覚なので、Si劣勢により色々ミスりますが、「人の心の痛みが分からないのか…」みたいな主張はしません(多分)。
このことから、EはPのとき判断機能の、Jのとき知覚機能のバランスが取れており、IはPのとき知覚機能の、Jのとき判断機能のバランスが取れているという性質があると言えます。
7.まとめ MBTIの文字列の意味と性質
冒頭に掲げたMBTIの文字列の意味と性質を掘り下げるという目的のもと、MBTIの意味と性質(とついでに相性)は以下のとおり整理しました。
次回以降も、この理解を参考にしながらENTPの俺理論を展開していきたいと思います。
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