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【パリの日々】再び都の暮らし

noteに最後に記事を投稿したのが、早一年も前のことになってしまった。

2023年をフランスの地方都市で送ったのち、初春、私たちはパリへ帰って来た。


欠点のない完璧な町などもちろん存在しないが、やはり大好きなこの都で暮らせること、出社できること、通勤電車で本を読めること――行き帰りのこの時間が私には大切なのだと改めて気付く――、週末美術館やデパートへ行けること、目的なく街をただ歩いて、決して飽きることがないこと、
そして何より――パリの何に私は最も惹かれるのかを考えたら、それは片時も同じ表情で留まっていることのない空だと思う――、見上げればいつもそこにあるこの移ろいの速い空に魅了されるがまま呼吸をすること。

ここで生きる日々から幸せの小さな片鱗を拾って、胸に大事に温める、を繰り返す。


八月も下旬。
オリンピックが無事に終わり、今はパラリンピック開会を待つインターバル期間。パリの人々もまだ大半はバカンスから戻って来ていない印象で、街は閑散としている。

気温が25度を超えることは珍しくなり、朝は12,3度で半袖では肌寒い。
日暮れは日に日に早くなり、道には落ち葉が目立ち始め、涼しい風や丸みを帯びた黄色い太陽光はすでに秋の訪れを感じさせる。


noteにおいては、幽霊部員ならぬ幽霊住民でいた時期もあったが、開けば新しい発見や気づきがあり、読み物から心に雨の滴をもらい、時に知識を、時に検索や探究のきっかけを与えられる。

この場所にまた、旅や読書の残り香や、日常から拾う軽み――と言えたらいい――の感覚を、私も紡いでいけたらと思っている。