【パリの日々】Flâner
八月の真ん中。
響きが連想させるよりパリの11時はずっと涼しく、大使館から一歩出た瞬間の日差しの弱さで、私は帰路に就くよりこのまま散歩を続けることに決めた。
オリンピック期間中、選手やその家族、関係者の滞在先となっていたホテルが位置するクルセル通り。通行止めのフェンスは除かれ、一人の警官もいなければ一台の五輪専用車も停まっていない。
リスボン通りとの交差点にあるカフェに客はおらず、一人で歩くには広すぎる通りを私は下る。オスマン大通りを過ぎる車さえ疎らだ。人のいない、放ってお