
食べられる野草シリーズ「すべりひゆ」
みなさん、野草を食べたことはありますか?
山菜でもハーブでもなく、雑草とも違う、私たちの身近にひっそりと生きている野草。道端に生えているものを口にするのは、ちょっと抵抗があるかもしれません。
でも最近の災害や経済の悪化で、サバイバル術として野草の魅力に気づいた方も増えてきました。
形が綺麗でも栄養がない野菜が増えてきているなかで
野草は栄養満点で素晴らしい効能があるんです!
さて、野草といっても種類はたくさんあります。これからシリーズとして一つずつ丁寧にご紹介していきますので、楽しみにしていてくださいね。
おすすめの野草「すべりひゆ」!
まず最初にご紹介するのは「すべりひゆ」です。
庭や畑、道端にも生える生命力の強い草で、中国では「五行草」「馬歯莧(ばしけん)」「長寿草」と呼ばれています。
日本でも平安時代の辞書『和名抄』に「うまひゆ」という名で食材として紹介されています。
「五行草」という名前は、葉が青色、茎が赤色、花が黄色、根は白色、種が黒色と、五行学説の色が全て揃っていることから来ています。
中国医学では、食べたりお茶にして飲むことで強力な解毒作用や消炎作用が期待され、「下痢」「皮膚炎(にきび等)」「湿疹」「虫刺され」「肝炎」「膀胱炎」「不正性器出血」などの症状に使われます。
東洋医学的な体質では「湿熱(しつねつ)」という水滞タイプの悪化した状態によく効き、産後や流産に伴う出血時の止血にも役立ちます。
知られざるその素晴らしい効能
すべりひゆはビタミン、ミネラル、タンパク質、オメガ3系脂肪酸などが豊富で、特に「グルタチオン」という強力な抗酸化物質が多く含まれています。この「グルタチオン」の作用で酸化した物質を排出し、肝臓を強くすることで様々な症状に効果があると言われています。
そんな優秀なスーパーフードが道端に生えているなんて、信じられませんよね。欧州では紀元前からサラダとして食べられていたり、日本でも沖縄では「ニンブトゥカー」、山形では「ひょう」という名で食用されています。
ただ、唯一の問題はその強い生命力で農作物に影響を与えること。
安易に畑に蒔こうもんならすべりひゆだらけになるのでご注意ください。
また、すべりひゆの近くには似た形の**毒草「コニシキソウ」**が生えています。コニシキソウの茎からは白い汁が出るので、触れてかぶれないように注意してくださいね。
おすすめ調理法は
栄養豊富なのでそのまま食べたいところですが、ほうれん草のようにシュウ酸という「あく」が強いので下処理が必要です。
柔らかい部分を摘んで、沸騰したお湯にさっと湯がく
冷水にとって、粗熱が取れたら食べやすい大きさに切る
下処理を終えたすべりひゆは、刻むほど粘り気が出てきます。
暑い夏に食欲があるけれど身体に熱がこもっている時は、おくらやとろろ、納豆と共にネバネバ丼にして食べると効果的です。
また、顔が赤く吹き出物がたくさんできていたり、イライラして目が充血している時は、少量のお酢と味噌で酢味噌和えにすると気を整えられます。
個人的には、めんつゆをかけてそのまま食べたり、みそ汁の具にして食べるのもおすすめです♪
おすすめしない体質の方
シュウ酸が多く含まれているので、食べ過ぎると腎臓に負担がかかったり尿路結石の原因になります。きちんと下処理をしてから召し上がってください。
東洋医学的には、熱を冷ます作用が強いので手足の冷えが強かったり、お腹が冷えて下痢をしやすい人は避けてください。
解毒作用が強くても、消化吸収できるお腹がなければ逆に毒となり体調を崩す原因になります。まずはお腹を温めて胃を正常に戻してから食べてくださいね。
いかがでしたか?道端に生えている野草が、あなたの体調を整えるポーション(回復薬)になるかもしれません。
もちろん、何かしら不調が出た場合は、身体に合わなかったと捨ててください。なんせタダですから(笑)
このご時世、何か起こった時のために、平時のうちに野草を採って食べる練習をしたり、採りやすいスポットを確保しておくと安心です。
「すべりひゆ」は7~9月に開花しますので、7月頃から散歩しながら採集してみては。
最後までお付き合い頂きありがとうございました。
次回もお楽しみに!