あれこれ … 陶器、磁器
前の記事(「茶托、小皿で遊ぶ 秋」)を書いている時、ちょっと気になることがありました。これは陶器に合うとか、磁器向きとか説明を書きましたが、この区別があやふやな人もいるのかもしれない。
というのも、かつて私自身があいまいだったからです。陶磁器とは総称であり、陶器と磁器は共通点はありながらも異なる物です。料理人や器好きの方はご存知でしょうが、老爺心ながら少しご説明したいと思います。
陶磁器は焼き物とも呼ばれるように、産業的に分類すれば窯業となります。それは粘土など鉱物原料を高熱の窯に入れて焼処理する幅広い仕事を意味します。では、焼成温度や使い方などから見ていきましょう。(ささやかながら、我が家の食器を一例とします。)
陶 器
形 状
陶器の焼成温度は、約800~1200度です。ガラス質の上薬はかかっていますが、生地にはやや吸水性があり、叩くと鈍い音がします。見た目はやや分厚く、持つと重い。
使 い 方
陶芸家の作品、趣味の焼き物、骨董品とかでなければ、陶器は家庭であまり使われないような気がします。湿気が残りやすいので、乾燥などには気を付けた方がいいかもしれません。けれど、独特の骨太な雰囲気があるので、食卓に取り入れても面白いかと思います。
磁 器
形 状
磁器の焼成温度は、約1200~1400度です。温度が高いのは、磁器の粘土には高温でないと溶けない鉱物が含まれるためです。焼き締まって生地には吸水性がなく、叩くと澄んだ音がします。見た目は薄手で、持つと軽い。
使 い 方
家庭ではよく使われます。生地がよく締まっているので、液体などがしみる心配もなく乾燥を気にする必要もありません。お手入れが楽で、盛り付けもしやすい食器です。とはいえ特に薄手の磁器は欠けやすいので、洗い桶で他の食器と一緒に洗うような事は避けましょう。
作者失念の方、申し訳ありません。
終わりに
補足すると、土器もあります。土器の焼成温度は低く、上薬もかかっていません。焼き物のご先祖様のような存在で、今では神社の行事で見かけるか、作家物*あるいは植木鉢くらいでしょうか。
*工芸家の販売されている作品のこと。
その他にも半磁器.炻器.焼き締め.ボーンチャイナなどがあり、それぞれに異なった魅力があります。けれど、陶器と磁器を基礎として焼き物の見方を抑えておけば、後は応用なのだろうと、私は思います。
以上、陶器と磁器についてざっくりした説明でした。その特徴を理解し、おおよその雰囲気をつかんでもらえれば十分だろうと思います。
料理を器に盛り付けるには、バランスや調和などが大切になってきます。器の取り合わせも同様でしょう。そして、食卓のコーデネイトを考えられる時に、いくらかでも参考なれば幸いです。
お知らせなど
根来塗 大藏達雄 漆芸展
2022年10月1日(土)ー10月6日(木) 午前11時ー午後7時 なお、3日(月曜日)は定休日
会期中はなるべく在廊しています
黒田陶苑 銀座 アネックス
中央区銀座6丁目12-14 銀緑館2F
おわび
気になることがあり過去のメールを調べていたら、青ざめてしまいました。「秋になりましたら案内状をお送りします」とお返事しただけの方を、何人か発見したのです。請求したのに案内状が届かなかった方、どうかお許しください。(もし、これを読んでいてもらえるのなら…)
努力していますが、事務処理能力は低いようです。また、対人能力もあまり高くありません。
次の記事投稿は11月になる予定です。