出会い … 古書広場
高知に行った時、叔父宅に泊めてもらいました。そして、叔父は「古書広場」をという活動を個人でやっています。本や活字文化への熱い思いを感じます。本人の手記「古書事始め」をもとに、ご紹介します。
古 書 広 場
きっかけ
数百冊ぐらいの本は珍しいことではありません。けれども、千を超え万冊を越えると天井まで届く本棚に四方を囲まれて、部屋の外にもはみだし… 想像しても絶句するような光景です。それを何とかするよと言える叔父さんの勇気に感心します。蔵書は小説、歴史、宗教、思想史、中国.朝鮮半島関係、詩歌、音楽、郷土史など。また、日本古代史への興味が深かったようです。
真新しい図書館
たずねた図書館は著名な建築家による木をふんだんに使った真新しい図書館で、森の中にでもいるような心安らぐ雰囲気でしたが、しだいに妙な異様さを感じてしまいます…
立ち上げ
また、近くの商店街のイベントにも積極的に参加。みかんコンテナ4個分ほどの本を選び展示しテントを張り、なかなかの重労働だったようです。そのうちテントが壊れ、これをきっかけに親類の空き店舗を借り毎週土、日曜日に開く常設の場としました。
始まりが義兄の蔵書処分ですので、古書広場では欲しい人には無料で本を差し上げています。また、ごみ収集の際にかなりの量の書籍類が出されているのを見て、貴重な本の寄贈の呼びかけもしています。(事前にご相談を。)
古本店の思い出
上記の文にはとても昭和の香りがします。(街のそこらにちょっとした隙間があって、それなりに生きていけたような時代… ) このような体験が古本への思いを深くしているのかもしれません。
知的エネルギー
そして、新刊の書店にも大型化の波が押し寄せ、地域の本屋は無くなり、遠くのチェーン店まで車で出かけざるを得なくなった。本を読まなくなった世相だろうか、ネットの軽便な利用が本離れを加速しているのではないかなど、叔父の心配は続きます。けれど、有用性が評価されるITの世界でも、ディスプレイなどで使用されるのは活字様の文字ではないか! そして、熱いメッセージです。
そして、古書広場はそんな知的エネルギーの充満と格闘の場であると夢見ながら、奥さんの協力を得て地域での交流も広がり、叔父は老身で張り切っています。私も3冊ほどもらいましたが、参考書として役立っています。もし本が好きで高知に行かれる方がいたら、こじんまりした広場ですが良ければお立ち寄り下さい。
場 所、時 間
場 所/ 高知県土佐市高岡町
(高知信用金庫の角 川沿い南奥、駐車場なし)
*そばの市役所に駐車場があり、土日はお休みで空いています…
時 間/ 毎週土曜日、日曜日
9:00~15:00
書店ゼロ
下書きが終わってから、こんな見出しの新聞がありました。
「書店ゼロ市町村26%」
出版文化振興財団(JPIC)の調査によると、全国1741市区町村のうち456市町村が書店空白地域になっているのだとか。(2022年12月8日示した)経営難によりここ10年で書店数は3割減。高知県下でも15~30%書店が減っているそうです。やはり数字になると驚きます。
叔父の熱心さには、このような危機感もあったのでしょう。古書広場の活動が共感を呼び、無理のない形で広がっていけばいいなと、改めて思います。
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