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誰でも使える簡単な交渉術!

「相手に耳を傾ける」というスキルは、交渉の成功において非常に重要です。ただ相手の話を聞くだけではなく、積極的に相手の言葉や意図を理解しようとする姿勢が求められます。以下に、具体的なポイントを説明します。

1. アクティブリスニング(積極的傾聴)を実践する

アクティブリスニングとは、相手が話している内容に集中し、その背後にある感情や意図を理解しようとする姿勢を指します。以下の要素が含まれます。

  • 視線を合わせる:相手の目を見て話を聞くことで、誠意を示し、相手に安心感を与えます。

  • 相槌を打つ:うなずきや短い返答(「なるほど」「そうなんですね」など)を挟むことで、相手に「聞いている」というメッセージを伝えます。

  • 要約や確認をする:「あなたが言っていることは〇〇ですね」と相手の話を要約したり確認することで、誤解を防ぎ、正確に理解していることを示します。

2. 相手の感情を認識する

相手が話している内容だけでなく、感情にも注意を払いましょう。感情を認識し、共感を示すことは信頼関係を築くために重要です。例えば、相手がストレスや不安を感じている場合、「その状況は確かに大変ですね」と共感を示すと、相手は話しやすくなります。

3. 中立的な姿勢を保つ

相手の話に耳を傾ける際は、批判的な態度を取らず、中立的であることが重要です。相手の意見や価値観に同意しない場合でも、否定的な反応を避けて相手の視点を理解しようと努めることが、信頼関係を損なわないために必要です。

4. 沈黙を活用する

沈黙は重要なツールです。相手が話しているとき、無理に会話を埋めようとせず、相手が考えを整理するための沈黙を許容することが大切です。時には、相手がさらに情報を提供するきっかけになることもあります。

5. オープンエンドの質問を使う

相手に話を促すために、オープンエンドの質問を使うことが効果的です。オープンエンドの質問は「はい」や「いいえ」で答えられるものではなく、相手に説明や考えを引き出すものです。例えば、「この問題についてどのようにお考えですか?」や「その背景についてもう少し詳しく教えていただけますか?」といった質問が有効です。

6. 相手の立場を理解する

相手の立場や関心、ニーズを深く理解することで、交渉の進め方が変わります。相手が何を重視しているのか、どのような懸念を持っているのかを把握することは、合意形成に向けた重要なステップです。そのためには、表面的な発言だけでなく、背後にある意図を読み取る力が必要です。

7. フィードバックを提供する

相手の話をしっかりと理解したことを示すために、適切なフィードバックを返すことが重要です。フィードバックは、相手の発言に対して自分の理解を確認するためのものであり、相手に「話が正しく伝わっている」という安心感を与えることができます。

例えば:

  • 「なるほど、あなたがおっしゃっているのは〇〇という点が重要だということですね」

  • 「〇〇について少し不安を感じていらっしゃるように聞こえますが、他に何か心配な点はありますか?」

8. 非言語的なサインに注意する

相手の言葉だけでなく、身体の動き、表情、声のトーンなどの非言語的なコミュニケーションにも注意を払いましょう。これらは、相手が言葉で伝えていない感情や態度を理解するのに役立ちます。たとえば、相手が緊張している場合、無意識に腕を組んだり、体を後ろに引いたりすることがあります。これに気付いたら、リラックスした雰囲気を作り出すことが求められます。


「相手に耳を傾ける」ことは、単なる会話の受け身ではなく、相手との信頼関係を築き、深い理解に基づいた交渉を進めるための積極的な行動です。


例えば、会社の上司の「聞く姿勢」に問題がある場合、部下とのコミュニケーションがスムーズに進まず、以下のような会話になることはないですか?

部下:

「〇〇プロジェクトについて少し悩んでいて、進捗が遅れてしまいそうなんですが…。」

上司:

「うん、でも他の仕事もあるから、できるだけ早く進めてくれ。何とかしてくれないか?」

部下:

「はい、それも理解しているんですが、特にクライアントとのやりとりが難しくて…。」

上司:

「クライアントのことはとりあえずいいから、もっと効率よく進めてみてよ。細かいことは後で整理すればいいから、時間に追われずに済むようにしよう。」

部下:

「…はい、わかりました。」


上司が具体的な状況を理解しないまま「とにかく早くやれ」といった対応をする場合、部下は本質的な問題を解決する手段を見つけられず、同じ問題が繰り返されることになります。上司が部下の課題を十分に聞き取らないと、対処方法が見つからず、プロジェクトや業務の進行に支障をきたします。

またはこんな感じ。

部下:

「最近、プロジェクトの進行が思ったように進まなくて、クライアントの反応が遅いので対策が必要だと思っているんですが…。」

上司:

「クライアントの反応が遅いのはよくあることだろ?それより、もっと自分でやれることに集中してくれよ。細かいことを気にしすぎると進まないから、気にせずやれ。」

部下:

「…わかりました。」

上司:

「頼むよ、俺も忙しいんだから、もう一度自分で考えて進めてくれ。」

上司の状況もわかるのですが…
しかしこれは、部下の問題を軽視し、「自分で何とかしろ」という姿勢を示しているだけです。これでは、部下は次第に意見を言わなくなり、問題の根本的な解決には至りません。また、部下の気持ちに共感を示さないことは、部下のモチベーションが大きく低下する原因になっているかもしれません。

少々理想的かもしれませんが、傾聴が機能している場合、次のような会話になるのではないでしょうか。

部下:

「すみません、〇〇プロジェクトについて少しお時間いただけますか?少し行き詰まっているところがありまして…。」

上司:

「もちろん、大丈夫だよ。どの部分で行き詰まっているのか教えてくれるかな?」

部下:

「はい。プロジェクトの進捗が予想よりも遅れていて、締め切りに間に合うかどうか心配なんです。特に、クライアントとの細かい仕様のやりとりで時間がかかってしまって…。」

上司:

「なるほど。仕様のやりとりで手間取っているんだね。それは確かに時間がかかることだよね。クライアントとのやりとりがどの辺りで滞っているか、もう少し詳しく教えてくれる?」

部下:

「はい、クライアント側からのフィードバックがすぐに返ってこなくて、その間に次の作業に進めない状況なんです。それで、スケジュール通りに進行できていないことがプレッシャーになっていて…。」

上司:

「なるほど、フィードバック待ちで進めなくなっているんだね。その状況だと、確かにスケジュールが遅れてしまうのは仕方がないかもしれない。プレッシャーを感じているのも理解できるよ。」

部下:

「ありがとうございます。自分でも何とかしようとは思っているんですが、どうしても追いつけなくて…。」

上司:

「君が頑張っているのは分かるよ。クライアントの反応が遅いときは、自分一人で何とかするのは難しいよね。何か他に手を打てる方法があるか、少し一緒に考えてみようか。」

部下:

「はい、それが助かります。例えば、もう少しクライアントに対してフォローアップの頻度を増やすべきでしょうか?」

上司:

「それも一つの方法だね。ただ、クライアントとの信頼関係を崩さないように注意しながら、早めに返事をもらえるようなフォローアップの仕方を工夫してみると良いかもね。例えば、次のステップに進むための明確な期限を提示するのも効果的かもしれない。」

部下:

「そうですね、明確な期限を設けてお願いしてみます。少し自信が持てました。」

上司:

「良かった。君がしっかり状況を把握して動いていることは信じているよ。もし他にもサポートが必要だったら、いつでも相談してくれ。」

部下:

「ありがとうございます。もう少し頑張ってみます!」


この会話では、上司が部下の不安に対して共感を示し、アクティブリスニングの技術を使って具体的な問題点を引き出しています。部下も自分の懸念を率直に話し、上司の助言を受け入れることで前向きな解決策を見つけようとしています。両者が相互理解を深め、共に解決策を考えることで、良好な関係が築かれています。

難しく考えずとも、相手の意見をオープンに傾聴することを頭の隅に入れておくことで、少し会話の内容も変わってくるかもしれませんね。

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