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言葉の壁を乗り越えるためのグローバルコミュニケーション
日本人にとって海外企業との交渉戦略における「言語の壁を乗り越えるためのコミュニケーション戦略」
海外企業との交渉では、言語の壁が大きな障害となることがあります。
しかし、語学力の向上と言われても、1年や2年で英語で交渉ができるようになるわけではありません。不断の努力が必要ですね。 考えただけで憂鬱になります。
しかし目的は「流暢に英語を話せるようになること」でしょうか?
私自身と周りを見てきて、普通の人にとっては「それは理想ですが、10年かかるし、仮に30代、40代から本格的な学習を始めた場合、相当な時間を英語学習に割かない限り、または、耳がいい、とか、特別な能力に恵まれない多くの人にとっては一生無理」としか言えません。
しかし、本当に必要なのは流暢な英語力ではないはずです。むしろ『戦略的なコミュニケーション手法』を取り入れることで、効果的な交渉が可能になります。そちらの方が、10倍効果があると言って良いでしょう。
✨戦略的コミュニケーションとは?
戦略的コミュニケーションについて述べようとすれば、1冊の本が書けてしまいます。そういった書籍を参考にされても良いですし、私の投稿をご覧いただいても良いと思いますが、ここでは根本的に何をすべきかについて、説明させていただきたいと思います。
交渉目的とメッセージの明確化
言語関係なく、「交渉の目的は明確ですか?」
次のことをチェックしてください。
言語が異なる環境では、曖昧な表現が誤解を生むリスクが高まります。事前に交渉の目的、重要なメッセージ、譲れないポイント(BATNAやZOPA)を明確に整理することが重要です。
具体的な数値や事実を基にした資料を用意することで、言葉の壁を超えて理解を促進できます。
ビジュアルの活用
言葉を補うものを用意することです。これは諦めでも逃げでもありません。むしろ積極的にビジュアルを活用することが効果的です。綺麗な美しいパワポ資料は必要ありません。あくまで「交渉の目的」に合致した、わかりやすいビジュアル資料です。
図表、グラフ、フローチャートなどの視覚資料は、言語の違いによる理解のギャップを埋める効果があります。特に技術的な交渉では、視覚的な補助資料が極めて有効です。
また、ホワイトボードやメモを活用してリアルタイムで整理することも有効です。
確認と再確認の徹底
英語でのやりとりでは、誤解が生じがちです。ビジネスでの交渉は複雑な内容を話す場面も多いですから、母国語同士でも伝わらないことがあります。まして外国語ですから、理解が正しいかどうか、議論の途中で確認すること、そのために議論の進行を止めることに躊躇してはいけません。むしろ必要なことです。
重要なポイントは『その場で確認』し、誤解を未然に防ぐことが重要です。特に合意事項については、会議の最後にサマリーとして再確認する習慣をつけましょう。
例えば次のフレーズを頭につけて、躊躇なく発言しましょう。"To summarize, we’ve agreed that…"
"Just to confirm, our next steps will be…"
この3点は、ぜひ、覚えていただければ、お役に立てると思います。
一方、海外企業との議論に「通訳を利用すれば良い」と思われるかもしれません。当然です。
議論の内容によっては有効です。しかし、通訳の方を活用する様々な場面を見て来ましたが、例えば技術者同士の議論のような専門的な会話の場合、非常に非効率になります。会議中もそうですが、その事前準備、または通訳の方とのスケジュール調整、費用、等々、面倒なことがたくさんあります。したがって、技術者がある程度、英語で議論できる必要があります。
✨技術者が通訳なしで海外企業と英語で交渉するための戦略と方法
技術的な交渉では、専門用語や複雑な概念の正確な伝達が求められます。
したがって、通訳に頼ることは非常に効率が悪いことがあります。
以下に、英語がペラペラでない技術者でも効果的に交渉を進めるための実践的なアプローチを紹介します。
交渉内容のシナリオ化
交渉の流れを事前にシミュレーションし、想定される質問や議論のパターンを準備します。
FAQ(想定問答集)を作成し、よく使うフレーズや回答例を整理すると安心です。
例えば、“Our current design achieves a maximum efficiency of 85% due to the optimized turbine geometry.” “Could you clarify your concern regarding the material durability under high thermal stress?”
シンプルかつ明確な表現を使う
短い文で話すことを心掛ける
複雑な文は避け、1つの文で1つのアイデアを伝える。複雑な言い方 → “Considering the potential discrepancies in material fatigue due to the varying stress distributions, we believe…”
シンプルな言い方 → “We believe material fatigue may differ because of stress variations.”
わからない場合は率直に聞く勇気
誤解を避けるため、曖昧な部分は積極的に確認します。
“Could you explain that again, please?” “I’m not sure I fully understand. Could you give an example?”
どんなに気をつけて発音しても、一言二言で相手は(特にネイティブの場合)、話し手の英語のレベルを理解します。相手も曖昧なまま議論が進み終盤に蒸し返されるより、途中途中にこのようなフレーズで確認する姿勢を、むしろ喜びます。
✨具体的なフレーズ集
最後に、いくつかのフレーズを紹介します。
意見を述べる:
“In my opinion, this design is more efficient because…”
“I believe this approach minimizes the risk of failure.”
確認する:
“Could you clarify what you mean by ‘performance issue’?”
“Do you mean that the tolerance is too tight?”
反論する:
“I understand your concern, but based on our data, the performance is stable.”
“That’s a valid point, but we need to consider the cost implications.”
提案する:
“How about using an alternative material to reduce the cost?”
“Would it be possible to test both designs under the same conditions?”
ひとつひとつの単語や文法は難しくないものですが、フレーズを知っているかどうかで、議論を効果的に進められるかが決まります。
本屋で分厚い単語集を買うより、日々のフレーズをシンプルな英語でノートにまとめていくのはいかがでしょうか?