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誰でも使える交渉術! 『ビジネス上の信頼関係とは?』
まず、次の会話を見てみましょう。
取引先のA社(顧客)である斉藤さんと、サプライヤーであるB社の滝田さんが交渉を進めている場面です。すでに1時間近くが経って、あらゆる点について議論したものの合意が得られず、交渉は難航している状況です。
滝田さん(B社の担当者)は、個人の意見は別にありますが、もちろん会社の方針に従って対応しています。斉藤さん(A社)も合意が得られないため焦っているのか、やや高圧的になってきました。
会話
斉藤さん(A社):
「滝田さん、正直言って、今回の提案は私たちの期待には全く届いていません。この条件では到底合意できませんよ。もし本当にこれがB社の最終決定だというなら、もう明日にも上司の方を連れてきてください。あなたでは話にならない。」
滝田さん(B社):
「斉藤さん、厳しいご意見ありがとうございます。おっしゃる通り、今回の提案は貴社のご期待に沿えていないかもしれません。ただ、私もこの案件の担当者として責任を持って交渉に臨んでおりますので、もう少しお話をさせていただけませんでしょうか?」
斉藤さん:
「でも、あなたには会社の方針を変える権限はないでしょう?上司の方と話をしない限り、進展は期待できません。」
滝田さん:
「その点は理解しております。確かに私一人では最終決定はできませんが、貴重なご意見を社内にフィードバックし、再度上司と協議させていただきます。ただ、今すぐに上司をお呼びするのは難しいため、私からきちんと調整を行わせてください。」
斉藤さん:
「調整が必要だというのはわかります。ただ、こちらとしても時間が限られているので、迅速に対応してほしいですね。」
滝田さん:
「承知しました。今回のご懸念は、しっかりと社内で共有し、〇〇日までに新たなご提案をお持ちできるよう努めます。本日は合意には至りませんでしたが、斉藤さんからいただいたフィードバックは非常に参考になりました。この情報を元に、もう一度改善策を検討させていただきます。」
斉藤さん:
「わかりました。それでは、再提案を待っています。ただし、次回は本当に合意できるような案を持ってきてください。これ以上の時間はかけられませんからね。」
滝田さん:
「ご期待に添えるよう準備を進めます。本日は貴重なお時間をいただき、ありがとうございました。いただいたご意見を真摯に受け止め、次回、提案を持って参ります。引き続きよろしくお願いいたします。」
斉藤さん:
「それでは、今日はここで終了としましょう。よろしく頼みますよ。」
さて、どう感じられましたか?
問題の先延ばしに過ぎない、と思われたかもしれません。しかし散々議論してもどうしても結論に至れないこともあります。
滝田さんは少なくとも何を守らなければならなかったのでしょうか?
もちろん、会社の方針ですね。さらに、”滝田さん個人の信頼”は何より守らなければならないのではないでしょうか?
今は一つの企業に定年まで勤めることが当たり前ではなくなっています。
他の企業に転職したとしても、同じ業界なら、またA社と、斉藤さんとお付き合いをすることは十分あり得ますよね。
ー では、具体的に良かった点を一般化して整理してみます。 ー
もし会議の場で交渉が行き詰まり、まとまる見込みがなくなった場合でも、適切にクロージングを行うことが重要です。
交渉がまとまらない状況でも、感情的に終わらせず、次のステップに繋がるようなクロージングを行うことで、関係を維持し、将来の可能性を残すことができるでしょう。
1. 進展がなかったことは認めつつ、前向きな姿勢を示す
現時点で合意が得られなかったことを素直に認め、相手の時間と意見に感謝を示します。相手が時間を割いて話し合いに応じてくれたことを評価しつつ、今後の可能性に触れる言葉を添えると良いです。
例: 「本日はお忙しい中、貴重なお時間をいただきありがとうございました。残念ながら、本日中に合意に至ることはできませんでしたが、いただいたご意見を真摯に受け止め、再度検討させていただきます。」
2. 次のステップを提案する
会議が終わった後に何を行うか、次のアクションを明確にすることで、無駄な会議にならないようにします。フィードバックや再検討の約束、次回の会議設定など、具体的なステップを示すことで、前進する姿勢を伝えます。
例: 「本日の議論を踏まえて、社内で再度検討し、改めてこちらからご提案させていただきます。〇〇日までにフィードバックをお届けするよう努めますので、どうぞよろしくお願いいたします。」
3. ポジティブな要素を強調する
議論がまとまらなかった場合でも、何かしらの前進や学びがあった点を強調します。これにより、会議が無駄だったという印象を和らげ、双方が建設的な感覚で終われるようにします。
例: 「本日は合意には至りませんでしたが、貴社の考えや視点を深く理解する貴重な機会となりました。この情報を元に、さらに具体的でより良い提案ができるよう準備して参ります。」
4. 謝意を示し、関係を大切にする姿勢を伝える
合意に至らなかった場合でも、相手との関係は維持することが重要です。お互いの関係を大切にする姿勢を示すことで、将来的な協力の可能性を残せます。
例: 「貴重なご意見やフィードバックをいただき、心より感謝申し上げます。今回の結果は残念ですが、貴社との関係を大切にし、引き続き協力できるよう努力してまいります。」
5. フォローアップの約束を明確にする
フォローアップの時期や方法を具体的に伝えることで、会議後の対応に信頼感を与えます。具体的な日程やアクションを示すと、相手も安心して次のステップを待つことができます。
例: 「今回の議論を元に、社内で再検討した上で、〇〇日までにメールでご連絡いたします。また、必要であれば次回のミーティングを設定させていただきます。」
6. 会議の記録や議事メモの共有を約束する
会議が行き詰まった場合でも、議事メモや記録を共有することで、相手にプロフェッショナリズムを示すことができます。議論の内容が整理され、双方が次に進むための土台を確認できます。
例: 「本日の議事メモをまとめて、改めて共有させていただきますので、内容にご確認いただければ幸いです。ご意見や追加のフィードバックがあれば、どうぞお知らせください。」
7. 相手の期待に応えられなかった場合、謝意と再挑戦の意志を示す
相手が明らかに不満を抱いている場合、その不満に対して謝意を示し、次回の改善を約束することが大切です。これにより、誠実な姿勢が伝わります。
例: 「本日はご期待に添える結果をお届けできず、申し訳ありません。ただ、いただいたご意見をしっかりと受け止め、次回にはより具体的な提案ができるよう努めてまいります。」
感謝の気持ちと前向きな姿勢を示す。
次のステップを具体的に提案する。
ポジティブな要素を強調し、前進を感じさせる。
関係を大切にし、謝意を示す。
フォローアップの時期や内容を明確にする。
議事メモの共有やフィードバックの約束を行う。
相手の不満に適切に対処し、謝意と再挑戦の意志を示す。
ひとつひとつが基本的で覚えておくと良い対応策です。
本当は毎回スキっと終わらせたいものの、満足に終われる会議ばかりではなく、モヤモヤしたまま、積み残したまま、という経験は誰しも多くあると思います。むしろそちらの方が多いかもしれませんね。
でも、それも日常と思い、個人の信頼に傷をつけないための簡単な良策は使ってみて損はないでしょう。
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