はじめに 日本の歴史を紐解くと、古墳時代と呼ばれる時代が存在します。3世紀中頃から7世紀頃にかけて、日本列島各地に巨大な墳墓「古墳」が築造されました。その中でも、仁徳天皇陵古墳に代表される巨大な前方後円墳は、当時の社会構造、権力、そして死生観を反映したモニュメントとして、現代の私たちに多くの謎を投げかけています。 本稿では、巨大古墳の出現とその背景、築造に必要とされた技術、そして巨大古墳が象徴するものについて考察することで、古墳時代に秘められた古代人の思想や社会の姿に迫
本居宣長の「和魂」 和魂とは何か 本居宣長が提唱した「和魂」とは、日本古来の精神、感性、美意識などを包括する概念です。それは、日本人が古来より大切にしてきた自然との調和、他者への思いやり、優しさ、繊細さ、そして無常観といった要素を含んでいます。宣長は、この「和魂」こそが日本文化の根幹を成すものであり、それを再発見し、尊重することが日本人のあるべき姿であると主張しました。 和魂の背景 宣長の生きた江戸時代中期は、儒教や仏教といった外来思想が広く浸透し、日本古来の文化や価
本居宣長と邪馬台国:国学者の見た古代史の謎日本古代史最大の謎と言っても過言ではない邪馬台国。その所在地をめぐる論争は、江戸時代から現代に至るまで多くの学者や研究者を魅了し続けています。国学の祖として知られる本居宣長もまた、この謎に挑んだ一人でした。彼の邪馬台国論は、国学の視点から独自の解釈を展開しており、現代の論争にも示唆を与えるものです。 宣長の邪馬台国論:『魏志倭人伝』への批判的考察 宣長は、邪馬台国の所在地を巡る論争において、中国の歴史書『魏志倭人伝』の記述を批判的
幻の島国、倭国――山海経が照らす古代の光歴史の闇に閉ざされた古代の日本、その姿を現す手がかりは、国内の史書だけではない。遠く中国大陸に編纂された古の地理書『山海経』が、幻の島国「倭国」の姿をぼんやりと浮かび上がらせる。それは、教科書で習った歴史像とは全く異なる、ダイナミックで壮大な物語の幕開けを予感させる。 海を渡る倭人たち:大陸との絆 山海経が描く倭国の姿は、驚くべきものだ。それは、現在の朝鮮半島付近にあったとされる「蓋国」の南、そして強大な古代中国国家「燕」の北に位置