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多重人格商店街 「火」
◆NEFNEに関わる人たちによる自由連載《汽水域の人々》。雑貨屋&フリースペースのお店「NEFNE」で交わるひとびと。多様な執筆陣がリカバリーストーリーをはじめ、エッセイ、コラム、小説など好きなように書いています。
さあ! 行こうぜ 声荒らげ
くだらぬ街を闊歩する
我らの街だと闊歩する
自由を奪われたこの街から
全てを取り戻すのだと息巻いて
銃を手にした老若男女
子供ですらも手に取って
ああなんたる悲劇かな
惨劇かな
戦わなければ生きられないとは
歌うこと踊ること作ること
話すこと敬うこと想うこと
奪われ生きるとは
奪われ死んだと同じ
勇気のない者の尻を蹴りあげて
叫ぶように歌え
嘆くように踊れ
放水 催涙 警棒に屈さず
戦車 弾丸にさえ怯まず行くのだ
己の明日より子供の明日を考えろ
子供の明日よりまだ生まれてない命を考えろ
遥か先この地に立つ統治者の顔を思い浮かべろ
さあ! 行くぞ 体張って 命張って
未だ見ぬ社会のため
くだらぬ街を行くのだ
ここは我らの地だと全身で叫べ!
奪われたものを奪い返せ!
たとえ己の身が焼け焦げて
不衛生な牢獄に閉じ込められて
男女の形を奪われても
悪人として後世に名を残そうと
最期の景色が暗く赤い炎の中で揺らめく故郷でも
怒れ 進め 壊せ!
【今回の執筆担当者】
青嵐柘榴(あおあらし・ざくろ)/20代。人生の3分の2ほど思い出しだくないけれど、今は人との縁に恵まれました。偏りがすごい。柘榴は誕生石の柘榴石から。尖ったものからネチネチ系、ほのぼの、祈りまで色々書きたいです。本作りたい!