粋である、ということ。
唐突ですが、粋な大人で在りたいな、と思う訳です。
ここで、私が知る最も粋な出来事をご紹介します。ちょうど10年前、ニュースにもなっていたので、ご存知の方も多いと思うのですが、鎌倉名物・鳩サブレーでお馴染みの【豊島屋】さんに関する出来事です。
皆さんは、ネーミングライツ(命名権)という言葉をご存知でしょうか。
企業側が命名権を購入して、野球の試合会場の〇〇ドームとか、ライブ会場の××ホールとか、会場の名前に企業名が入ったりするアレです。よく分からないな?という方は、ここで一旦wikiあたりに飛んでおきましょう。
ちなみに、私の中で気付いたらすっごい名前変わってるな?!というネーミングライツの代表格は、渋谷公会堂です。
渋谷公会堂
→ 渋谷C.C.Lemonホール
→ LINE CUBE SHIBUYA
なんとなく聞き覚えのある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
さて、時は遡って10年前、2013年のこと。神奈川県鎌倉市は「由比ガ浜海水浴場」「材木座海水浴場」「腰越海水浴場」の3つの海水浴場の維持管理費を捻出するため、ネーミングライツ(命名権)を設定しました。それを購入したのが豊島屋さんです。
その額、年間1200万円。しかも、10年間のネーミングライツの権利を獲得。
さらに「名前を変えないでほしい」という地元市民の声が大多数だったため、それぞれの名称を「由比ガ浜海水浴場」「材木座海水浴場」「腰越海水浴場」と、元の海水浴場と全く同じ名前を付け直したそうです。(そもそも、別の企業に買われて名称が変わるのを避けるために購入した、という説もアリ)
……粋、すぎません?
「鳩サブレー海水浴場」とか「豊島屋海水浴場」とか、いくらでも好きに名前を付けられたのに。
私はもう、完全に痺れました。
このニュースをリアルタイムで知ってからというもの、私は鎌倉に用事がある度に鳩サブレーを購入する事にしていますし、時間があれば八十小路という喫茶室にも寄る事にしています。
ちなみにこの契約満了を迎える前に、鎌倉市は「名称変更については市民の反対の声が強かったことなどを考慮し、今後は命名権を廃止することを決めた」そうです。市政の方向性まで動かす粋っぷり。痺れちゃいますね。
さて、ここからは余談ですが、豊島屋さんには恐らく天才コピーライターもしくは広報宣伝部の方がいらっしゃると思われまして。駅から少し離れた本店でしか買えないオリジナルグッズのネーミングセンスが最高なので、皆様も是非ご覧下さい。
上から順にタップしてネーミングを確認して頂くと、途中から様子がおかしくなってきますので、あとは己との闘いになります。私は何度見ても、ハンカチに辿り着く頃には笑い転げています。
いつか、お仕事でご一緒してみたい企業さんのひとつです。