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コルト45 孤高の天才スナイパー

Colt 45 (2014)

 フランス・ベルギー合作のハードボイルド/サスペンスフルなポリス・アクション映画。1950年の西部劇「拳銃(コルト)45」とは関係ありません。あと、孤高でも天才でもスナイパーでもありません。監督は「変態村」「変態島」「地獄愛」のファブリス・ドゥ・ヴェルツ。主演はイマノル・ペルセという若い俳優ですが、びっくりするぐらい情報がありません。たぶんベルギー人だと思うのですが。共演は「そして友よ、静かに死ね」のジェラール・ランヴァン、「ブルゴーニュで会いましょう」でランヴァンと共演したアリス・タグリオーニ、「007 カジノ・ロワイヤル」「ザ・フォース」のシモン・アブカリアン、ヒップホップ・グループ:NTMのメンバーで「パリ警視庁 未成年保護特別部隊」などにも出演しているジョーイスターほか。

 警察の武器管理係ヴァンサン(ペルセ)は、国際射撃大会で優勝し米軍特殊部隊からもお呼びがかかる凄腕ですが、実戦経験はなく要は単なる銃器オタク。人体へのパワーは通常っぽいけど、ボディアーマーに対して強烈な威力を持つ.45ACP改造弾を開発(おそらく違法)したことを、警察の射撃場で出会ったミロ(ジョーイスター)に自慢してしまう。絡んできたチンピラを射殺してしまったヴァンサンの尻拭いをしてやったミロは、警察の武器庫から銃器を持ち出せと要求し……というストーリー。陰鬱胸糞映画で有名なヴェルツ監督ですが、本作は意外にも真っ当なアクション映画でした。

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 序盤のチンピラの絡み方がずいぶん雑だったり、それをミロに相談したりと、なかなか無理のあるシナリオですが、目をつぶれない程の瑕疵ではありませんし、そうしないと本作を楽しめません。若いヴァンサンが嘘に嘘を重ねることにより、自分がドツボにはまるだけでなく周囲の人たちも失っていく過程、同時に浮かび上がってくる陰謀がサスペンスフルです。自分で事態をコントロールできない主人公ははっきり言ってムカつく奴で、途中までは共感も同情もまったくできないのですが、上司役のランヴァンやタグリオーニ、アブカリアンの演技で何とか救われている感じ。3人とも最終的には死んでしまうのですが、そこに至ってようやく主人公が主人公らしくなり、クライマックスへ突入します。

 序盤の射撃大会でのコンバットシューティングをはじめ、ガンアクションはなかなかの迫力です。中盤の主人公とミロの室内シューティングのシーンには、ちょっとヴェルツ監督の変態性もあらわれてましたかね。フレンチ・フィルム・ノワールを下敷きに、陰謀渦巻くサスペンスとハリウッド調の派手なガンアクションを上手く取り入れつつ、全体的にはヨーロッパ映画らしい情感があります。特にラストは、様々な結末を予想させてくれますよね。

 脚本の弱さ(ろくな実績のない脚本家みたいです)を演出と演技が助けている映画だと思います。粗を気にする向きにはおすすめしないですが、ある程度目をつぶれればそれなりに楽しめるでしょう。

 ジョーイスターのNTMのミュージックビデオ。

 こちらはフレンチポップス・デュオ:ブリジットによるカバー。

 ブリジットのステージにジョーイスターが!


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