ザ・ロスト 失われた黒い夏
私の好きな作家、ジャック・ケッチャムの「黒い夏」を原作とするサイコ・スリラー映画。ケッチャム自身、バーテンダー役で出演しています。
彼の小説はいくつか映画化されていて、「隣の家の少女」「襲撃者の夜」「ザ・ウーマン 飼育された女」は見ていますが、個人的には本作が一番好きです。小説・映画ともに「隣の家の少女」の評価が高いですね。私としては、小説は確かに最高傑作だと思いますが、映画はルース・チャンドラーの配役があまり気に入っていません。(ブランチ・ベイカーが嫌いなわけではないです)
あまり有名な俳優は出ていないのですが、若い女の子と恋仲の元警官を演じているのは、チャールズ・ブロンソンの「スーパー・マグナム」に出演しているエド・ローター。原作では、自分の孫でもおかしくないぐらいのコと付き合っていることにもっと葛藤していた気もするんですが、まあ本筋にはあんまり関係ないんでスルーできます。
尊大で暴力的で幼稚で間抜け、どこか憎めないところもあるんだけど、間違いなく近寄ってはいけない人物=サイコパス/ソシオパスの主人公:レイ・パイは小説のイメージそのままで、個人的な評価ポイントはそこ。
改めて見ると、あ~こういう、いちいち人を支配したがる奴いるよなあ……と胸が暗くなります。
「襲撃者の夜」も「隣の家の少女」もモデルとなる実話がありますが、レイのモデルとなったのは60年代に3件の殺人で終身刑となった『ツーソンのパイドパイパー』チャールズ・ハワード・シュミット。シュミットも底上げブーツを履き、左頬にほくろを描くメイクをしていました。
マリファナパーティーのシーンで使われている曲が日本語で歌われているので「!」となり、エンドロールを凝視したところ、日本のトリオ・バンドBorisの曲でした。気づかなかった!