奄美大島にいる“ノネコ”はどうなる?今、私たちにできることとは
奄美大島に“ノネコ”と呼ばれる猫がいるのをご存じでしょうか?
ノネコは簡単にいうと「野生化した猫」のことを指します。「猫」ではありますが、有害鳥獣駆除の対象とされ、増えすぎたノネコが捕獲されているのです。
今回は、奄美大島のノネコを巡る現状についてご紹介します。ノネコのために私たちができることを、一緒に考えていきましょう。
奄美大島の“ノネコ”を取り巻く現状とは?
鹿児島県の奄美大島で、2018年7月より『奄美大島における生態系保全のためのノネコ管理計画』がスタートしました。まず“ノネコ”とは、元々はペットだったが捨てられたり、逃げ出したりして人里離れた場所で野生化した猫のことを指します。一方で野良猫は、飼い主はいませんが、人に餌を貰いながら外で暮らしている猫を意味します。
奄美大島ではノネコは外来種と定義され、アマミノクロウサギやケナガネズミなどの固有種を捕食しているとして、希少動物を守るために捕獲する計画が始まっています。計画は「2018年から2027年までの10年間ノネコを捕獲する」というもので4億円を超える税金が使われる予定です。
捕獲された猫たちは『奄美ノネコセンター』に収容され、1週間で引き取られなければ殺処分されてしまいます。野良猫は動物愛護法によって守られていますが、ノネコは鳥獣保護法の有害鳥獣駆除の対象として捕獲・駆除が許されているのが現状です。
ノネコも野良猫も住む場所が違うだけで同じ猫であり、人の行動によって生み出されているため、捕獲計画の是非については議論の余地があります。
奄美大島のノネコは本当に捕獲するべきなのか?
奄美大島にいるノネコは、本当に捕獲するべきなのでしょうか。ノネコによる被害が大きいとされているアマミノクロウサギの死因を環境省が調査したところ、最も多かったのは交通事故によるものだとわかりました。
さらにノネコ管理計画で、捕まえられたノネコの数は下記のとおりとなっております。
2018年:43匹
2019年:125匹
2020年:27匹
2021年:124匹(うち20匹以上はさくら猫※)
2022年:101匹
その影響もあるのか、アマミノクロウサギの2021年の推定生息数が1万1,549から3万9,162匹と、2003年の推定個体数と比べて5〜7倍に増えているようです。
民間団体の決死の努力により“殺処分ゼロ”が続く
奄美大島のノネコは捕獲から原則1週間で殺処分にされる決まりですが、2022年時点ではノネコの殺処分数はゼロの状態です。つまり、一度も奄美大島でノネコの殺処分が行われていません。
その理由は、民間の保護団体による決死の救出があるからです。奄美市のホームページ「ネコ対策のこれまでの成果」を見ると、ノネコの捕獲頭数と譲渡頭数が同じであることがわかります。(収容中の死亡を除き)
政府や法律では守れない奄美大島のノネコは、現状では保護団体によって命がつながれている状況なのです。
あなたの行動で奄美大島の猫に幸せへの切符を渡そう
殺処分ゼロといっても、保護団体が受け入れられる猫の数には限りがあります。そのため私たち個人でも、ノネコのためにできる取り組みを行うことが大切です。
個人で今からでも、ノネコのためにできることをまとめました。
ノネコを引き取る
預かりボランティアをする
情報発信をする
奄美大島から猫を運ぶバゲージボランティアをする
車で猫を運ぶ手伝いをする(例:羽田空港にお迎え、譲渡会などへの搬送)
ノネコの収容期限は原則1週間です。その間に譲渡希望者が見つからなければ、殺処分されてしまいます。猫を家族に迎えたいと考えている方は、ノネコの引き取りも検討してみてください。
奄美市のホームページにノネコの譲渡方法や申請方法が記載されているので、ぜひチェックしてみてくださいね。
また、ノネコを引き取っている保護団体に「預かりボランティアをしたい」と連絡してみてもいいでしょう。預かりボランティア(フォスター)については、下記の記事で詳しく解説しているので気になる方はご覧ください。