活版印刷発祥の地 [4. グーテンベルグミュージアム]
ドイツのタイポグラフィ・デザインレポート第4回。今回はマインツのグーテンベルグミュージアムです。
前回の記事「3. Rossmarkt(ロスマルクト広場)のグーテンベルグ像」はこちら
4. グーテンベルグミュージアム
活版印刷を発明したとされるグーテンベルグのミュージアムです。グーテンベルグは教科書にも出てくるので、名前は聞いたことがあるという人も多いのではないでしょうか。
ミュージアム内は残念ながら撮影不可。当然ながら中には「42行聖書」もありました。個人的には「42行聖書」以外は正直あまり見どころもなかったです。凸版印刷の印刷博物館のほうが内容は充実しているかも。
写真を撮り忘れましたが、近くにはライン川という大きな川が流れていて、印刷業をしているところはやはり川の近くなんだなと実感できます。
そしてここにもミュージアム併設の図書館があり、ここがかなり充実しています。
穏やかな光が入って静かな場所です。いろいろと有名なタイポグラフィ関連の本もありましたが、今回いろいろ案内していただいたプロヤンさんが「興味があると思いますよ」と教えてもらった本がこちら。
Incline PressのElisabeth Friedländer(エリザベス・フリードレンダー)の本。2018年に出版されたとても新しい本ですが、全編活版印刷で印刷され、本当にすばらしかった。現代でもこのレベルで本を作っている人がいるのかと感動と嫉妬がいりまじります。本はすでに完売していて、中身は撮影できなかったのですが、出版社のブログで中身が少し紹介されています。あぁ、ほしい。
フリードレンダーはドイツのバウアー活字鋳造所に勤めたあと、ユダヤ人であるためイギリスに亡命、ペンギン・ブックスの仕事などをしています。ちょうどチヒョルトがペンギンで仕事をしていた時期と同じなので、フリードレンダーのオーナメント活字を使って、チヒョルトがアートディレクションという本もあります。
フリードレンダーは日本ではまったく知られていませんが、プロヤンさんいわく「ドイツでもぜんぜん知られていない」そうです。マニアック。
ミュージアムの近くにもグーテンベルグの像がありました。こちらはフランクフルトのRossmarktにあるものとは違い、フストとシェーファーはいません(その後の経緯を考えると、そりゃそうだろうという気もしますが)。
側面には手引印刷機。
こちらが裏面のテキスト。このテキスト量で全部スモールキャップで組まれてる、、、正直組みもなんだか微妙、、、
もう一方の側面。「この1文字ずつ動かすことができる活字で印刷するんだよ」「ほんとに? どうやって?」みたいな会話でしょうか。
----
グーテンベルグミュージアムの場所はこちら
マインツまではフランクフルト中央駅から電車で40分程度。マインツ駅からグーテンベルグミュージアムまでは徒歩10分程度です。グーテンベルグ像はミュージアムから少しだけ離れていて(徒歩3分ほど)大きな劇場の前にあります。
旅の最後は「5. BRAUN コレクション」です。
サポートは特に結構ですので、より多くの方に読んでいただけるようシェア等していただけるとうれしいです。