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会議を見直す

 いつも熱中する組織のnoteをお読みいただきまして、ありがとうございます。今月は壽田が担当致します。
 熱中する組織は「揉める会議」というサービスを提供しています。「揉める」といっても、会議中に激しく言い争ってゴタゴタするということではありません。健全かつ活発に意見を出し合って、議題に取り上げた論点を十分に揉むことができる、という意味の会議です。
 なぜ、このサービスが存在するかというと、多くの企業で、会議が「対話や協議」になっておらず、ほとんど何も生み出していない現状が珍しくないからです。非常に悲しいですね。今回は、「無駄」であるとか「改善の余地がある」と多くの方が疑問を持ちながらも、毎日実施している会議について、その見直すポイントを整理してみたいと思います。

失敗した会議のパターン

 会議のどこを見直すべきかについて考える前に、うまく行かなった会議とはどういうものか、ということを考えてみます。会議がうまく行ったかどうかは見解が分かれがちです。一般に、会議を主催するマネジャー層は会議について一定の評価をしている傾向が強く、会議に参加するメンバーは会議の価値を十分に感じていないことが多いものです。次に挙げる3つの兆候が見られる場合、その会議には多くの改善余地があると言って良いでしょう。

会議の失敗①:偏重
 
これは、影響力の強い個人が立ち回るか、当事者意識が低い人が多く出席している会議でよく起こる失敗で、結局、特定の人が出した意見が結論になる会議です。メンバーのモチベーションに配慮したり、迅速な意思決定のためにフラットな組織構造にしたりする現代では、広く会議に参加させる傾向がありますが、結局、会議で発言する人が偏っていたり、別の作業をしながら会議に臨んでいたりして、活発な話し合いにはなりません。

会議の失敗②:分断
 この失敗は、意見を戦わせるのではなく、違う意見を持つ相手を攻撃することによって、会議が空回りするというものです。上司が部下の意見を上から抑えつけるようにダメ出しをするものが典型的ですが、職位に上下の差がなくても、執拗に反対意見に拘ることで攻撃する場合も少なくありません。攻撃は必ずしも激しい口調や感情を露わにして行われるとは限りませんので、見分けるのは難しいですが、複数の意見が揉まれることなく、または、発言した直後からダメ出しをされることによって、結局、特定の意見がふるいにかけられることも磨かれることもないまま結論になるという点で失敗と言えるでしょう。

会議の失敗③:放浪
 これは、途中から脱線して意図していない話題に移り、しかも、多くの参加者がその話を膨らませたり、同調したりすることで、結論が出ないという失敗です。この場合、会議中には決定に至らず、会議時間の終了によって時間切れとなり、一部の人が宿題として作業を進めることで尻拭いされます。あからさまに脱線した場合には軌道修正されることもありますが、「問題点」が議題であったのに、「解決のアイデア」の話題に移ったような脱線は、そのまま進行することも多く、意図した論点に知恵を結集することはできません。

会議の失敗④:儀式 
 これは、議論が巻き起こらないように事前に根回しを行い、会議では予定された合意事項を承諾するだけというものです。この場合、予定外の結論に至ることを過度に嫌うために、さまざまな意見を出し合うというよりも、いかに前例や想定した結論に落ち着かせるかが優先されます。会議が挑戦につながるような対話を回避するように働いているという意味で失敗と言えるでしょう。

会議を見直すポイント

 会議が失敗してしまうパターンを見てきましたが、これらはいずれも、特定の人の視点でのみ作り上げた答えで、心から合意を形成するには程遠い結果になっています。これでは話し合う必要がないどころか、参加者にかえって会議への不満を募らせる結果になってしまう恐れすらあります。
 本来、会議は対話によって多くの視点から意見を磨き上げて、「これで行こう」と思える答えで合意するための仕掛けです。この次は、どうすれば会議が本来の機能を果たせるのか、見直すポイントについてまとめてみます。

配役は決まっているか
 会議がうまく行かない最大の原因はこれです。物語と同じように、登場人物のキャラや関係性がはっきりしなければ、筋書きも成立しません。問題解決型の会議を前提とすると、原則として、会議では次の配役を設定することをお勧めします。
 ・主催者:意思決定する人
 ・議事進行:ファシリテーター
 ・発表者:議題について見解を述べる人
 ・メンバー:発表者に質問する人/別の見解を述べる人
 発表者は自分が発表する議題でない場合には、メンバーとして会議の成果創出に貢献することが求められます。

論点を1つに絞っているか
 よく「議題は絶対」と言われますが、議題を立てている組織でも、前回の議題がただコピペされ、議題が形骸化しているのが実情です。確かに議題は必須ですが、議題があるからといって会議の成果が上がる訳ではありません。大切なのは、論点(議論の中心になる問題点)を1つに絞り、「質問」の形にして何について答えれば良いのかをはっきりさせることです。議題が壮大なものである場合には、議題をいくつかの問いに分解して、論点を具体的にして話し合うのがポイントです。関連する内容について「答えがない世界で生きるということ」というnoteでも書いておりますので、よろしかったら、そちらもご参照下さい。

展開を考えているか
 会議は確保した時間の分だけ使ってしまうという性質があります。議題ごとに時間を割り当てておかないと、要領を得ない発表や建設的ではない質疑応答等で、気がついたら時間切れということも珍しくありません。また、議題について事前に関係者とすり合わせておくと、意見が出やすい議題なのか、合意形成が難しい議題なのか、ある程度当たりがつくものです。議事進行役の人は、誰に質問を振るか、対案をどこまで広げるかなど、事前に展開を考えて脚本を作っておくことが肝要です。

最後に

いかがでしたでしょうか。経営会議から、上司と部下の1on1ミーティングまで、日頃から多くの会議に同席するなかで気づいたことをまとめてみました。まずは、明日の会議に参加した後に、良い会議であったかどうか、どうあるべきだったのかを見直してみてください。きっと、改善余地の1つや2つは見つかると思います。
 今回も最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。

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