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メンバーに教えられるようになるということ
いつも熱中する組織のnoteをお読みいただきありがとうございます。
今週は中島が投稿致します。
さて、マネジャーの方からこんな相談を受けることが少なくありません。メンバーに対して、
「ちゃんと教えているのに、仕事がなかなかできるようにならない」
今まさに同じようなことで悩んでいるマネジャーもいるのではないでしょうか。
そして最近は、メンバーとオンラインでのコミュニケーションとなり、「教えること」そのものがうまくいっていないと感じているマネジャーも多くいるように感じます。
マネジャーにしてみれば、メンバーに「成果を出してもらいたい」「目標達成してもらいたい」という一心で働きかけているのでしょうが、「自分がやる」わけではないのでなかなかうまくいかずにもどかしい思いをしているのではないかと思います。
今回は、このマネジャーのスキルとして欠かすことができない「教える」ということについて、「教える」とはどういうことなのか、「教えられる」ようになるにはどうすればいいのか、について取り上げたいと思います。
教えている“つもり”になっていないか?
前述のような悩みを抱えたマネジャーに対しては、まずは日頃どのようなアプローチをしているのかを聞いたり、メンバーへアドバイスしている場面を観察したりします。
そのようなことをやっているうちに一つのことが見えてきました。
それは、教えている“つもり”になってしまっているということです。そして、それには2つのパターンがあるようです。
●パターン1:できていないことを指摘するだけ
例えば、「スケジュール管理ができていない」「お客様に伝わるプレゼン資料になっていない」「受注をもらえる営業活動になっていない」など、メンバーができていないことを伝えるだけになってしまっているパターンです。
実際にやってしまっているマネジャーにしてみればメンバーにできていないことを指摘したという自覚はほとんどなく、「アドバイスした=教えた」と思っているようでした。そのように悪気なく誤解してしまっているマネジャーは少なくありません。
●パターン2:一般的な知識を言うだけ
例えば、「逆算でスケジュールに落し込むんだよ」「お客様のことを第一に考えるんだよ」「受注をもらうには一つずつステップを踏んでいくんだよ」など、あたかも本で読んだであろうことをそのまま伝えてしまっているパターンです。
マネジャーにしてみれば間違いなく、「アドバイスした=教えた」と思っているでしょう。実際にメンバーにとってアドバイスになる場合もあるので、このパターンにはまってしまっている場合は意外と厄介だったりします。
しかし、いずれにしてもメンバーができるようになっていないようであれば、自身のアプローチについて、どちらかのパターンに陥ってしまっている可能性を疑ってみるといいでしょう。
「教える」ということ
では「教えているつもり」ではなく「教える」とは一体どういうことなのでしょうか。
まず、「教える」ことのゴールは何かというと、相手が成果を出せた状態になることでしょう。つまり、メンバー自身があることができるようになりそれが成果に繋がる、ということです。
そして、それがゴールだとすると、「教える」ということをどう捉えればいいのでしょうか。よく「自分ができる」=「相手に教えられる」と考えがちですが、これら2つのことは全く異なることと考えた方がいいでしょう。というのも「自分ができる」を分解すると、例えば、自分が理解する→自分がやる→自分が成果を出す、というようになります。一方、「相手に教える」を分解すると、相手に理解させる→相手にやらせる→相手に成果を出させる、となります。つまり、「教える」ということはこの一連の流れそのものということになります。
「自分が理解する」のと「相手に理解させる」だけでも、やるべきことは全く異なります。マネジャーになってから自分はやれるのに、メンバーにはうまくやらせられない、なんていうことは日常茶飯事で起こっているのではないでしょうか。
まずは「教える」ことのゴールや定義から理解するようにしてみましょう。
「教えられる」ようになるためには?
では、次にどうすれば「教えられる」ようになるのかということです。
一言で言えば、マネジャー自身が答えを持つということです。
もう少し詳しく説明していきたいと思います。
まず、答えを持つには「答えを考える」ようにします。というのも前述した2つのパターンに陥ってしまうのは、目の前の具体的な事象に対する答えを考えられていないからでしょう。ですから、まずはマネジャーの頭の中にある知見を引っ張り出してみるといいのです。
次に、「その知見を整理し、見える化(体系化)する」ようにします。ここが「教えられる」ようになる肝です。自身の知見を見える化(体系化)する過程で、あいまいだった部分をはっきりさせたり、ヌケモレや矛盾が無いかなどを確認したりします。そうすることで自身が持つ答えがより明確になっていきます。ここまでくると「教えられる」状態になったと考えていいでしょう。
ここで、自身の知見を整理し見える化(体系化)するための4つのステップをご紹介したいと思います。
●「見える化(体系化)する」ための4ステップ
①具体的事象のあるべき姿を描く(≠一般論のあるべき姿)
②あるべき姿に辿り着くためのプロセスを考える
③プロセス毎にやることを洗い出す
④うまくいかせるコツや注意すべきことなどを添える
以下は、①〜④をやってみたときの具体例です。私が省エネ機器を法人向けに販売している営業部隊を率いていたときに作成した受注するための営業プロセスです。
私自身がこのように答えを持ち、営業担当者に営業のしかたを教えていきました。
このプロセスを作成したときのことを解説しますと、それまで物売りだった営業のやり方を見直し、お客様の省エネ(CO2削減)という課題に焦点を当て、その課題を解決するために当社の商品・サービスがある、という営業のやり方を目指しました。最初、ベテランの営業担当者などはこの売り方に抵抗していましたが、このプロセスを見える化(体系化)したことで「まずはやってみよう」という雰囲気になったと記憶しています。
そして、新入社員には特に効果がありました。新入社員はこれまでの営業のやり方を知らないので、新しいやり方を素直に実行してくれました。その結果、どのステップはうまくいき、どのステップでうまくいかないのかが見えてきたのです。そうやってメンバーと一緒にこの営業プロセスを改良していくことができ、新入社員は入社一年目から大きな成果をあげてくれました。
さらに副次的な効果として、課長陣から「営業プロセスを見える化したことでメンバーに教えやすくなった」という声が出ました。先ほどの新入社員の成果創出に課長のサポートがあったということが裏づけられたのでした。
ちなみに誤解しないようして頂きたいのですが、ここでは「“正解”を持とう」とは言っていません。マネジャーなりの「答えを持とう」と言っています。正解は先ほどの具体例のように、メンバーと一緒に作り上げていけばいいのです。
「教える」ことの効果を高める“タイミング”
さて、「教える」ことがいつでもメンバーのためになるのか、というとそうとは限りません。「教えたことを聞いていない」「いつも答えを求めてくる」なんてこともよくあります。
ですから、「教える」ことの効果を高めるには、「教える」タイミングを見極める必要があります。
例えば、できるようになるためのヒントを繰り返し出してもなかなかできないような時やメンバーが悩み、助けを求めている時などは「教える」タイミングと考えるといいでしょう。逆に、メンバー自身がそれほど考えてもいない、トライもしていないのに教えを求める時などは、まだ「教える」タイミングではないかもしれません。このように「教える」ときは相手の状態が深く関わってきます。一方的に、独りよがりで「教える」ことのないよう注意しましょう。
最後に
いかがでしたでしょうか。このように「自分が成果を出す」と「相手に成果を出せる」=「教えられる」の間には大きな隔たりがあるということをお分かり頂けたのではないでしょうか。そして、「教える」ということをどこまで実践できていたでしょうか。
よく「人に教えることは最大の学びである」と言ったりしますが、マネジャー自身の成長こそがメンバーの成長へと繋がっていきます。さらには、チームのエネルギーも高まります。
ですから、是非、「教える」ということから逃げずにマネジャー自身が学び、成長していくようにしましょう。