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心因性の発作(PNES):診断と考え方


心因性非てんかん発作(PNES)とは

**心因性非てんかん発作(Psychogenic Nonepileptic Seizure:PNES)**は、「突然発生し、てんかん発作に似た精神的・身体的な症状で、身体的または生理学的な原因が認められないもの」を指します。かつては「偽発作(Pseudoseizure)」と呼ばれることもありましたが、これは「偽物」「本当の病気ではない」といった誤解を招く表現であり、適切ではありません。PNESは、例えば患者が自分をコントロールできなくなった結果として生じる症状であり、基本的には意図的に発作を起こしているわけではありません。よって、患者に責任を問うべきものではありませんし、その発作そのものを否定してはなりません。

PNESの特徴


以下に. PNESを示唆する症候や病歴を示しています。特異度と感度を意識しなければなりませんが。いずれにしても単一でPNESと判定することができるような所見はありません。総合的な判断が必要ですし、最終的にはビデオ脳波での確認が理想的です。

PNESを示唆する発作時の症候
l  発作中の閉眼
l  発作中の首振りや、非同期性の動き、非対称性の動き
l  発作中の泣き出し
l  閉眼したまま反応しない
l  腰を突き出す運動
l  外傷が少ない
PNESを示唆する病歴
l  発作の持続時間が長く、動揺性
l  抗てんかん発作薬を追加すると悪化する
l  医療従事者が発作に遭遇しやすい


PNESの特異性と診断の難しさ

PNESという用語は、てんかん発作の評価・鑑別の視点から成り立つものです。つまりてんかん発作かどうかを判定するプロセスにおいて、「真のてんかん発作に似ており、誤認されやすい発作」としてPNESがポジショニングしています。よって、てんかん発作としての対立候補としてPNESという鑑別が存在することになり、PNESはてんかんミミック(てんかんと間違われやすい発作)と言えるでしょう。

一方で、脳神経内科医にとっては、発作がてんかんではなくPNESと判断された場合、精神科で治療すべき「心因性の病態」として扱われがちですが、果たしてそれは適切でしょうか?



精神科におけるPNESの位置づけ

精神科の観点から見ると、PNESはやや曖昧な位置づけにあります。そもそも、PNESはDSMなどの精神科の診断基準で公式に定義されていません。また、PNESの症状は非常に多様であり、一言で説明することが難しいですが、一般的には転換症状解離症状が近い状況と捉えられています。

多診療科での連携の重要性

一方で実臨床においては、PNESは精神科医のみが対応すべき症状ではありません。というのもPNESはER対応することが多いので、実際には救急医や小児科医、脳神経内科医、脳神経外科医などが初期対応を行うことが多く、各診療科の連携が重要です。PNESに対する理解を深め、多職種での協力が求められています。PNESは多くの医療従事者が関わるため、てんかんとの鑑別や診療科間の連携が不可欠なのです。


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