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文章を「書く」 どうやって?
言葉って難しい
言葉って難しいですよね。日常会話もそうだし、診療でも例えば外来でのやりとりでは常に何かしらの「言葉」を取捨選択していて、まさに『正解が不透明な単語ゲーム』を終わりなく続けているようなもの。ちょっとしたニュアンスの違いで失敗することもあれば、思いの外、すっといい言葉が出てくることもあります。
ライティングもまた難しい
一方で、ライティングについては「何をどう書くか」など事前に考える時間がありますので、咄嗟の失敗というものはありません。ですが、いざ抄録を書いてみようと思ってもなかなか筆が進まなかったり、SNS でつぶやこうとしても結局は消してしまうということはあると思います。電子カルテや、SNS、そしてレポートの考察など日々何かしらの文章を書いてはいるものの、後で読み返すとなんだか恥ずかしい文体になっていますよね。
私自身も過去の原稿を読み返すと目を逸らしたくなるような産物がたくさんあって、当時の苦悩を改めて思い出しました。今でこそ、医学書を執筆できる程度に文書を書くことができるようにはなったのですが、言語化の難しさを痛感する日々です。
そこで今回はライティングについて、これまでに参考とした書籍を紹介したいと思います。
参考書籍の紹介
1. 新しい文章力の教室 苦手を得意に変えるナタリー式トレーニング
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・書くまえに準備すること
・読み直して修正すること
・ブラッシュアップの工夫
・よりスムーズに
これらのステップを通して『読みやすい文章』の作成を練習しながら読み進めることができる書籍でした。
通読もできますし、あれどうだったっけ?と後日改めてチェックするなど、活用できました。どうしても僕たちは「周りくどい表現」になりがちなので、そこはこの本で矯正できたように思います。
2. コピーライティング技術大全
こちらはaudibleで少しかじりました。ビジネスパーソン寄りの内容でしたが
1.判断力:どうすれば情報を正しく判断できるのか
2.思考力:どうすれば自分ならではの価値をつくれるのか
3.表現力:どうすればその価値を必要な相手に伝えられるのか
4.発信力:どうすれば広く遠くまで届けられるのか
これらを意識して文章に緩急がつけられるようになるのも大事ですね
3. 「好き」を言語化する技術: 推しの素晴らしさを語りたいのに「やばい!」しかでてこない
これは最近読んだ本で、SNSやAmazonでの口コミが良かったので試しに読んでみました。1日で通読できます。
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SNSで自分の「推し」をいかにわかりやすく主張し、伝えられるか、その表現力や拡散力が身につく本ですね。アピール力の基本が身につくと思います。私自身は「推し活」的なものがないのであれですが、SNSで記事を書く際の出だしや構成の参考にとてもなりました。
4. まったく新しいアカデミック・ライティングの教科書
こちらは論文など科学的な、つまりアカデミックライティングの本質を学べる書籍になります。本質から考え方を鍛えられまして、大変驚きました。なるほど、そういう概念で考えていけば良いのかと。
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アカデミックライティングではパラグラフライティングが重要であるというのは多くの書籍に書いてあると思いますが。もちろん、こちらの本でもそこは重視されていますが、アーギュメントをいかに設定するか、むしろアーギュメントをいかに「鍛えるか」という観点が本当に斬新でした。書き始める前に論理として鍛えないといけないんですね。詳しくはぜひ読んでみてください。論文のintroductionをより魅力的にするための必読の一冊でしょう。
5. 語学の天才まで1億光年
文才のある書籍に浸るのも効率的なライティング磨きになると思います。枚挙にいとまがないですが、例えば高野さんの文章には本に吸い込まれそうになります。
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6. われ笑う、ゆえにわれあり
土屋先生の文章は真似てできるものではないですが、とりあえず面白いので、ついつい読んでしまいます。ニヤニヤと笑いを堪えてしまうので、いつも妻に変な目で見られますが。
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まとめ:
文章を書くのってしんどいですが、だからこそトレーニングが必要。
インプットとアウトプットを両方性に続けることで、だんだんとライティングが楽しくなるかもしれませんね。
参考までに、ここからは、臨床研究に役立つ医学書を紹介します
主に実際に手にしておすすめできるものをピックアップしていますので、皆さんの研究生活の参考にしていただければと思います
臨床論文の医学書
1. 研究デザイン
臨床研究の道標 第2版〈上巻〉
臨床研究を始める上では研究デザインを学ばなければいけません
その王道の一冊です
筆者は大学院に進む前にこの初版を購入しました
10年以上前の話ですが、著者の福原先生の講演を拝聴する機会があり、ものすごく感銘を受け、すぐに著書を購入したのを覚えています
2. 論文執筆
必ずアクセプトされる医学英語論文 改訂版
とりあえず、この康永先生の本はおすすめ、というか初学者はマスト
大学院生の時はこの初版を購入しましたが、本当に助けられました
そして実際に「必ずアクセプト」されました
実際に持っている人も多いですし、人気書籍ですね↓↓
3. 英語表現
英語論文基礎表現717
古い書籍ですが大学院生の時はこれをよく使っていました。
辞書的に使えて、例文もあって使いやすかったですね。安いしおすすめです。
アクセプト率をグッとアップさせるネイティブ発想の医学英語論文: プロ翻訳家が伝えたい50の基本動詞と読めるのに書けない英語表現
英語は動詞が大事だということを教えてくれた一冊
論文作成では主語に悩むことはあまりないので、動詞のバリエーションをしっかりと掴むことでライティングがだいぶ楽になった気がします
翻訳家の視点で書かれており、それも勉強になった
アカデミック・フレーズバンク そのまま使える!構文200・文例1900 (KS科学一般書)
この1冊もおすすめで、かなり豊富なフレーズが収載されています
ただこの書籍を購入したときには、何も見ずにある程度のライティングが可能になっていたので実際の稼働は少なかったです。
大学院生のときに持っていたら重宝していたでしょうね