224.『乱反射~Reflection~』
『乱反射~Reflection~』
たとえ衣食住が十分でも
僕らの暮らしは不十分
物質だけでは満たせない
光なしでは生きられない
真っ暗闇で酔い病み、宵止み
『過去』や『現在』がそうでも
『未来』がどうかはわからない
この穴馬の馬券は捨てられない
なけなしの力で手をのばそう
蚊が鳴くように叫んでみよう
七十億人もいるんだから
誰かには届くはずだろう?
自分の光で誰かを照らそう
たとえ、その誰かが
照りかえさなくても
いつか、乱反射して照らされる
その光で光合成するんだ
生まれたエネルギーが
らせん階段の僕らを押し上げる
そう信じていたい
光化学スモッグのなかで
手垢にまみれた希望は
まだかすかに光っている
2018年10月7日作
ラジオNIKKEI『私の書いたポエム』
2018年11月25日放送分