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彗星の如く現れ彗星の如く消えた、唯一無二のブランド「CHRISTIAN DADA」
はろーこんにちは。
takiです。
日本のファッションブランド、ドメブラといえば「Sacai」「Kolor」「UNDERCOVER」「John Lawrence Sullivan」「Doublet」etc…と、国内外を問わず、活躍しているブランドが数多く存在します。
そして、私の敬愛するブランド"Christian Dada"も上記の錚々たるブランドに肩を並べるブランドでした。
今回は私の人生を狂わせた元最強ドメブラ、ChristianDadaについて述べようと思います。
1.Christian Dadaとは
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Chrisitian Dadaのデザイナーは森川マサノリ。
2010年設立。
世界中にファンがいる世界規模のブランドです。
比較的新しいブランドなので、知っている方もいるかもしれません。
ブランドコンセプトは「アドレッセンス性(思春期性)を持ったプロダクトアウト」。
単に服を『着る』というだけの概念にとらわれず、各個人のアイデンティティを1つのツールとして表現しています。
ブランド名は神聖な名前である”Christian”と第1次世界大戦中に起きた芸術思想、"Dadaism"から取られています。
ダダイズムについて簡単に説明しますと、WW1(第一次世界大戦)に対する抵抗が根底に存在し、人間の理性そのものを否定する破壊的な思想が特徴です。
便器にサインをしただけの作品などが有名です。
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2011年AWより単独ランウェイ形式にてコレクションを発表しています。
毎シーズン、強いテーマ性のあるコレクションが展開され、ファッションにおける現実と非現実をモードの先進的な概念に置き換え表現する世界観、どこか思春期特有の中高生が憧れるようなデザインと青さが特徴です。
また、デザイナーの森川さんの祖父母が刺繍屋を営んでいたこともあり、美しい刺繍が数々のアイテムに様々な形で入り込んでいます。
モチーフとして使われることはもちろん、時にはメッセージ性のあるリリックとして大胆にあしらわれることもあります。
現代モードに対する否定の提案として、伝統技術は対極に近い位置に存在し、ダダの唯一無二なムード、武器の一つだと私は考えています。
転機となったのは2011年、6月に行われた「MTV AID JAPAN AWARD」にてレディーガガの衣装を手掛け、2012年4月にはアルマーニ以外のブランドでは初となるレディーガガの世界ツアーの衣装を手掛けるデザイナーに。
レディーガガはファッションに対して非常に強いこだわりを持っており、それまで衣装は全てアルマーニに依頼していました。
13AW、14SSのコレクションは非常に評価が高く、特に14ss。
コレクションのテーマは「DEFECTIVE -不完全な美-」。
暴走族の特攻服をデザインインスピレーションとしたこの14SSはアメリカのヘヴィメタルバンド「KISS」とコラボ。
カラーをブラック、ホワイト、ゴールドのみに絞ることでシックにまとめ、繊細かつ迫力のある龍の桐生の刺しゅうなど日本の高いクラフトマンシップを生かすことで、日本の不良文化をモードに昇華させ、海外でも話題を呼ぶほどの”伝説”のコレクションでした。
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この時、デビューして僅か3年。クリスチャン ダダは前月にはブランド初の直営店オープンを果たし、そして14ssの世界的ビッグアーティストのコラボレーション。
そんなスターへの階段を駆け上がるChristian Dadaを服好きたちが見逃すわけが無く。
2012年~2015年頃、当時巻き起こっていたモードドメブラ全盛期と言える時代を「John Lawrence Sullivan」「DRESSEDUNDRESSED」といった名だたるブランドと共に支えていました。
2014年にはシンガポールの企業D'Leagueグループに株式の51%を売却し、傘下企業となることで資金を調達。
15SSには少なくともドメブラでは史上最年少かつ史上最速でパリコレクションの公式スケジュールにてコレクションを発表。
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国内だけではなく、世界中にファンを作っていましたが、2017年ごろからのストリートのムーブメントに飲み込まれやや失速。
2018年頃にはややテイストを変えて試行錯誤していましたがややハマりきれず。
(18AWや19SS、19AWは個人的に好きなアイテムやルックもありましたが、全盛期と比べるとやや失速、形がオーバーでカジュアルなものが多いです)
それでも、"巡礼”を表す「Pilgrimage」をテーマに掲げた20SSパリコレクション。
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個人的な意見ですが、最高でした。
SNS上でも「やっと戻ってきた」「分かってきた」といった声が上がっており期待の持てるシーズンでした。
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しかし、この20SSのコレクションは完全に幻となり、跡形もなく消え去ることになります。
2019年、突如発表されたChristianDadaのブランド休止。
同年、12月に青山店は閉店。
20SSは販売どころか生産すら一切無し。
本当に幻のコレクションとなってしまいました。
しかしながら、ストリートの波に飲まれるも実は売上高は増えており、負債もなく、ファッションブランドとして深刻な状況ではなかったそうです。
しかし、
昨今のファッションビジネスの多様化に「卸主体のビジネスモデルに限界を感じていた」
ディーリーググループに『クリスチャンダダ』の体制からクリエイションまでを全面リブランディングする案が出ていたが一切考えていなかった
と、両者が思い描く売り上げの規模やブランディングの方向性にズレが生じていたこと。
そして、何より25歳で立ち上げた「クリスチャンダダ」を自分自身が「以前よりも着なくなっていた」というクリエイションのギャップがあったこと。
などの理由により、たった2年で時代の頂点を掴んだ最強ドメブラ、クリスチャンダダは彗星の如く現れ、彗星の如く消え去ってしまいました。
現在も複数の企業からクリスチャンダダの復活の声はかかるそうですが、復活の目処やデザイナーの森川マサノリ自身にはその意思は無く、休止の1年後になる2021年3月に新ブランド「BASICS」を立ち上げています。
2.Christian Dadaのスタイリング
2015年10月、Fashion Snap.comにてこんな記事が出ました。
オフ会の実施も「クリスチャン ダダ」ファン通称"ダダラー"が増加中
オフ会…行きたかった…(´TωT`)
モードドメブラ全盛期時代と同時期に起きていたモード全盛期時代に服にハマった、ハマっていたという方にこんな話を聞いたことがあります。
(これはドメブラだけではなく、当時時代の先頭を走っていた
・リカルドティッシの「GIVANCHY」
・クリスヴァンアッシュの「Dior Homme」
・エディスリマンの「Saint Laurent」などのブランドも含める)
クリスチャンダダを着ている人は基本的に
・全身クリスチャンダダもしくはジョンローレンスサリバンなどのモードブランドと混ぜる
・スカジャンやレザー系アイテム+シャツ+スキニーパンツ+シャープな革靴
・全身黒
といったスタイリングを組んでいたそうです。
Saint Laurentに近いと言えばまぁ近いですかね。
ただ、Saint Laurentよりも思春期的(厨二的)で色気のあるようなイメージがあります。
もちろん、全身クリスチャンダダではなく、一部のアイテムでクリスチャンダダを使いゴリゴリモードに落とし込む人やロックな人もカジュアルな人もいらっしゃるのは事実です。
しかし、2020年1月に休止したブランドです。
もうすぐ、5年の時が過ぎます。
実際にクリスチャンダダを着ている人にお会いしたことはありませんし、お店などで「クリスチャンダダを着ているんです!」と言うと「今の時代にダダを着ている人は初めて見た」「ダダ懐かしい」と言われます。
昔は人気だったのは知ってるけど、いつの間にか名前を聞かなくなって休止したことすら知らなかったという人も割といらっしゃるのが現状です。
しょうがないと言えばしょうがないですけどね。
今、2000年代のアーカイブが人気ですが、あと10年すればクリスチャンダダのアーカイブなんて言ってまた脚光を浴びる日が来たりするのかななんて考えています。
3.僕とDADA
ファッションのことを勉強しよう、もっとまともな服を着ようと思ったのは高校卒業直後でした。
私自身、経歴がやや特殊でして高校→専門→大学3年次という学歴で、当時は大学受験全落ち、心の底でバカにしていた専門学校に入学するハメに陥るショックで頭がおかしくなっていた時でした。
本当は慶應第一志望でした。志望するだけなら誰でもできる。
そんな頭のおかしい状態の私はこう思いました。
「専門では友達がいっぱい欲しい」…と。
それまでの私は教室の隅っこでヘッドホンで音楽を聴きながら小説を読んでいる髪の毛ボーボーのいわゆるThe陰キャでした。
友達という友達はマジで1人もできませんでした。
でも、本当は僕は反骨心の塊のような人間で。
それまで生きてきた人生を振り返ったらつまんねぇーって思って、それで真逆の生き方。
自分自身の内なるロックな部分を曝け出してやろうと思ったんです。
そんな小学校から高校までずっと陰キャで友達もいない僕は「見た目をマシにすれば黙ってても勝手に向こうから人は寄ってくるだろうから、その状況を作れば友達が増える確率もおのずと増えるだろう」と本気で考えました。
要するにイケメンになろう。と。
結果的にこれが意外と当たってて。
頑張ってイケメン偏差値を陰キャ時代の最底辺25くらいから50~55ぐらいに上げた結果、マジで勝手に話しかけてくれる人が増えました。
周りが男しかいなくて、オタクかパリピしかいないような所だったのも大きかったと思いますが。
このイケメン偏差値とやらを30上げるためにファッション(と髪質改善)についてコロナ渦で学校に行けなかった3ヶ月間、本気で勉強しました。
これがファッションに沼る最初の一歩でした。
勉強と言っても某有名インフルエンサーの動画を見漁って、ユニクロやGU、レイジブルー、ニコアンドなどに行って
・黒のコート
・無地のトップス(基本パーカー)
・白のタンクトップで5㎝だけレイヤード、
・黒のワイドパンツor黒スキニー、
・ドクターマーチンの3ホールorコンバースのオールスター
というGoogleで「量産型ファッション メンズ」で調べれば真っ先に出てくるような格好ワンパターンをするだけでした。
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※量産型ファッションを否定する気はありません。
詳しくはこちら。
※ついでに申し上げると、よくこういうファッションをオススメする方たちって「絶対モテる!」と言いますが、マジでモテませんでした。
当時はそれで満足でした。
個性の出し方なんてちゃんとは考えていませんでしたし、HAREやCasper Johnなどで売られているユニクロには売ってないようなほんのちょっとだけ変わったデザインの服や柄シャツを着れば他の量産型よりも断然かっこいいし、他人と被らないから個性的、俺が関東平野で1番かっこいいなんて本気で思っていました。
でも、今思うと先程述べた内なるロックな部分を。
ざけんじゃねぇっていう反骨心を全く出し切れていない。
ただ、周りに染まれなかっただけの僕がちょっと周りに染まっただけの人生に切り替えただけで、何も変えることができていなかった、あるいはその方法を知らなかった時期だったんだと思います。
が、たった1着のお洋服が井の中の蛙状態の私の常識をぶち壊しました。
いや、きっと遂にざけんじゃねぇって反骨心が溢れ出るきっかけが訪れたんです。
2020年12月22日。
クリスチャンダダの直営店である青山店が閉店した、ちょうどその1年後。
とあるインフルエンサーブランドの展示会の帰りにたまたまブランド古着も販売しているセレクトショップに入ったんです。
よく見ないと服が置いてあることに気づけないような半地下の上の階、1.5階ぐらいの位置にあったお店。
そこの店員さんがまぁかっこよくて。
ジャケット、シャツ、パンツ、革靴、全部黒なのに明らかに今まで私が買ってきたプチプラでは出せない品の良さ、シルエット、クオリティ、そして雰囲気…。
入店して5秒で「あ、俺が入って良いお店じゃなかったわ」と悟りました。
(後に聞いてみたら靴以外のアイテムはANN DEMEULEEMEESTERで靴がGuidiを着用していたそうです)
「ここはルイヴィトンみたいな学生が着て良いような服は置いてないだろうから服を見るフリだけして帰ろう」と思ったのですが、店内の一番奥のラックの中の一番手前側(伝わりますかね?)、ラックにかかっている服を移動させなくても見える位置に”それ”があったんです。
忘れもしません。
出会ってしまいました。
表参道で見つけた私史上最高の服。
全ての元凶にして運命の1着。
クリスチャンダダ13awのメルトンライダースジャケット。
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一目惚れでした。
それまでユニクロのような低価格の服しか着たことも触ったこともない私でしたが、気付いたら手に持ってて、小さい声で「かっけぇ…」って呟いていました。
でも、買えるわけないなんて思って試着もせず諦めようとしたけど、店員さんには僕のその高揚が伝わってて「運命を変えるかもしれないよ」って言われて。
「買う買わないよりも服って君が知っているよりも、もっと楽しいってことを知ってほしい」と言われてドキドキしながら着たんです。
当然のようにすげぇかっこよかった。
本当にかっこよかった。
完全に惚れてしまった。
価格は古着だったこともあり、30,000円。
(後に店員さんにお気遣い頂いて税抜きの27,000円にしてくれましたが)
3万円…。
頑張れば、買える…。
それからの鬼のような速さで翌日には日勤と夜勤、その翌日も寝ずに朝6時から10時ぐらいまでの単発のアルバイトを入れて、ほぼ全ての貯金を切り崩して、3万円を握りしめて、お店にそのまま向いました。
…仮眠取り過ぎて閉店時間ギリギリだったんですけどね。
そうして、12月24日。
僕が人生で最も惚れたお洋服を購入させて頂きました。
クリスマスイブに独りぼっちの人生だった私が相棒を手に入れたのです。
同時に応募して勤務した郵便局の仕分け作業の短期バイトの給料日(1月末)まで、1ヶ月強の期間は地獄でした…笑
そして本当に運命を変えてしまったんです。
たった1着の服が。
クリスチャンダダは私の運命を180度変えたお洋服を作ったブランドです。
あの日以来、紆余曲折はありましたが、気づいたら完全に服好きの沼に頭の先までドップリ浸かった、酒や女よりも服を求めてしまう、ただの服バカモンスターになっていました。
実際、このお洋服で僕の反骨心を引き出すまでに3年かかりましたが、僕の人生を狂わせたことには変わりありません。
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僕はCHRISTIAN DADAに特別な思い入れがありますが、服好きであればそんなブランドが一つはあるはず。
自分の価値観や考えを打ち崩してくれる"服"が必ず存在するんです。
そう、必ず。
少なくとも僕はそれがダダでした。
4.ダダを使ったスタイリング集
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5.最後に
いかがでしょうか。
同年代ぐらいの方だとクリスチャンダダを知らない方も多かったのでこれを機に興味を持っていただけたらめちゃめちゃ嬉しいです…。
クリスチャンダダの復活は私は半分望んでいますが、もう半分はこのまま伝説のままで良いような気持ちでいます。
なので、復活してくれ!というよりは金のある時に欲しいアイテムが2次流通で出てきてくれ!なんて思っています。
「ダダという船での航海は終わった」
その航海は少なくとも1人の人生を大きく変えるほどの壮大な旅路だったと思います。
最後までありがとうございました。
バイバイ。
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