卓球をブームからカルチャーへ昇華させるための取り組み
本稿では、まずブームとカルチャーについて論考する。その上で、卓球業界が現在どのような状況に置かれているか、今後どのようなアプローチを取れば良いと考えているかについて書いていく。
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目次・ブームで終わるか、カルチャーとして定着するか・普及の変遷とキャズム・卓球業界の現状・今後取るべきアプローチ・仲間、募集中
ブームで終わるか、カルチャーとして定着するか
ある物事に対する世間の盛り上がりが一過性のものだった場合、人は後から振り返ったときに「あれはブームだった」と言い、盛り上がりが定着した場合は「カルチャー」と位置付けられることになる。
ブームで終わるか、カルチャーとして定着するか、どちらに転ぶかは当事者のキャパシティに依存する。
注目を集める当事者(個人、会社、業界)が、世間からの注目に応えられるだけの能力・キャパシティを有していれば、盛り上がりは冷めずにカルチャーとして定着する道筋が開ける。一方、能力・キャパシティが不足する場合、対応に綻びが生じて次第に飽きられていき、ブームで終わってしまう。
最初の盛り上がり、世間からの注目を集めるためには一点突破力が必要。
一方でカルチャーとして定着させるためには総合的な対応力が必要となる。
※字が汚いのはご容赦ください
ティッピング・ポイント:臨界点、バズるポイント
ブームで終わる物事は、インパクトはあるが中身が薄っぺらくてすぐにボロが出てしまう(芸人の一発屋をイメージすると分かりやすい)。
本当はカルチャーとして根付くだけの能力・キャパシティを有しているのに、一点突破力が不足しているためにカルチャーになりきれない物事もたくさんある。こういった物事の場合、ふとした拍子で盛り上がったときに、チャンスをうまく活かしてカルチャー化することができる。
基本的に勢いだけの盛り上がりは長続きしないので、盛り上がりが生じた時点で能力・キャパシティが不足していた場合、盛り上がってから慌てて対応しても時既に遅し、になりやすい。この場合、機を逃した物事はブームで終わってしまう。
普及の変遷とキャズム
すぐに未来予測ができるようになる62の法則という本で紹介されている服の流行り廃りの説明に当てはめると分かりやすい。
服はモード→ファッション→スタイル→礼服という変遷を辿る。
例えば、スキニーパンツは一部の人だけのモードからスタートしてブームが起きた後に、市民権を得てファッションとして定着した。
最近はスーツでも細身のものが1つのスタイルとして受け入れられてきているので、スキニーパンツはファッションからスタイルへと移行しつつあると言えるだろう。
最終的には冠婚葬祭用の礼服でも細身のものが定着していくことになると予想している。もしスキニーパンツのブームが起きたときに供給過少になっていたら、世間に飽きられてブームはしおれていたかもしれない。
ビジネスで使われる用語に当てはめると、キャズムを超えられるかどうか。
簡単に説明すると、新しい物事が普及する段階の中で、アーリーアダプター層(情報感度が高い層)からアーリーマジョリティ層(情報感度が普通レベルの層)へ普及が広がる際に、キャズムと言われる普及を阻む溝が存在すると言われている。
キャズムを越えられない物事はブームで終わり、キャズムを越えた物事はカルチャーとして定着する。
卓球業界の現状
ここまで論考した内容を今の日本の卓球業界に当てはめるとどうなるのか。
いま卓球業界は間違いなく盛り上がっていて、ブームで終わるかカルチャーとして定着するか、世間から試されている段階なのだと思っている。そして卓球業界はキャズムを越えるための武器として、誰もが羨む武器を3つも持っている。
2018年Tリーグ開幕と2020年東京オリンピック、そして世界選手権で常に上位に入る実力(に伴う露出度の高さ)だ。
ここまで強力な武器が3つも揃っているスポーツは他に無いし、日本卓球の歴史上においても、後にも先にもこんなビッグチャンスはもうやってこないのでは無いだろうか。
しかし既に多くの人が指摘しているように、Tリーグは開幕直前にも関わらず認知度の獲得というミッションを達成しきれておらず、このことに危機感を持った個人が能動的にアクションを起こしているのが現状だ。
今後取るべきアプローチ
卓球はプレイするスポーツ(Doスポーツ)として高い地位を誇っているわけだから、今後は観るスポーツ(Seeスポーツ)、楽しむスポーツ(Funスポーツ)としての卓球の地位をエンターテイメント産業内で高めていくことが重要だ。
卓球がSeeスポーツとして定着するということは、すなわちTリーグがエンターテイメントとして定着することを意味する。また、Funスポーツとしての卓球を盛り上げていく取り組みも重要となる。
仲間、募集中
卓球を確実にカルチャーとして根付かせるためには、もっと協力者が必要だ。しかも数年後では無い。Tリーグも始まり、オリンピックも迫っている今こそ1人でも多い協力者が必要となる。
例えば、コナミスポーツとタクティブが提携して全国のコナミスポーツクラブに卓球プログラムを導入する取り組みを始めた。
コナミ会員は気軽に卓球レッスンを受講することができる。この取り組みにより、確実に専門の卓球スクールに通うよりも卓球に参加するハードルが下がるはずだ。また、コーチスタッフは副業OKのため、卓球業界に新しいワークスタイルが生まれることになる。
複合型卓球施設T4や、オフィス用卓球台であるT4 OFFICEも卓球をカルチャーとして根付かせる一助となるはずだ。
その他、ベンチャー企業対抗卓球大会や、大江戸温泉卓球杯(参加者募集中!)といったFunスポーツとしての卓球イベントも仕掛けている。
もちろん卓球スクールとしてのタクティブは、Doスポーツとしての卓球も盛り上げていく。
我々は今後もカルチャーとしての卓球を多方面から盛り上げる動きを加速していく。タクティブでは、卓球業界を共に盛り上げ、カルチャーとして根付かせるビジョンに共感してくれる人材を募集している。
卓球経験は問いません。スポーツビジネスに興味がある方は是非ご連絡ください。