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aikoの曲27年分をExcelでリスト化してみたら編曲者の凄さがわかった



はじめに


こんにちは。中学時代の一人称は「あたし」。
aiko好きのエモトモエです。


突然ですが、こちらをご覧ください!


その名も、「aiko編曲者一覧表」!です!!!


これは私が aiko official website の discography から、SINGLE と ALBUM (『まとめI』『まとめII』、『aikoの詩。』を除く)の収録曲の編曲者情報を集めて表にしたものです。

冒頭部分のキャプチャを貼りつけてみましたが、全容はこれの10倍くらいあります。

データの個数はなんと388個!instrumentalを除いても339個もありました。2025年1月現在で、デビューから26年半経っていることを考えても、数が多くないか?aikoってすごい…。

※こちらは編曲者情報を一覧にした表のため、aikoの弾き語り曲など、編曲のクレジットが存在しない曲は掲載していません。

※高校から一人称は"私"に変わっています。その方がしっくりきたから…。14の私、無理すんなよ。



さて、なぜこんな表を作ったのかというと、最近の私はaikoの曲を【編曲者】にも注目して聴くようになったからです。

CDや曲名が一覧で並んでいるのを見ることはあっても、編曲者がズラーッと並んだものって見たことがない。でも、見たい。そんなリストがあったら絶対楽しい。欲しい欲しい!……なら、Excelで作っちゃおう!だって私は!MOS資格を持っているのだから!!!


そんなわけで、aiko好きが高じて始めたこのリスト化。当初は公開するつもりなんて全くなくて、「これがあれば、いくらでも編曲者に注目して曲を楽しめるぞ~!」という完全なる自己満足でスタートした作業でした。

数時間かけてリストを完成させ、眺めてみると、個人的に面白い発見がたくさん!「これ、曲を楽しめるだけじゃなく、この表を見ながら私、何時間でも喋れるわ!」とホクホク状態で夫に見せつけたところ、「どうせならnoteに書いてみたら?」と言われました。

ほほぉ~、noteかぁ。書いたことも読んだこともないけど、名前くらいは聞いたことある!書くべき?書けるかな?いや、むしろこのまま勢いで書いちゃえばいいんじゃない!?

……というわけで、今ここにいます。


この記念すべきnoteデビューの記事では、私の【編曲愛】について存分に語らせていただきます!


編曲ってなんだ?


編曲って、みなさん意識して聴いているものなんでしょうか?私はaikoが好きになった10歳頃から、約13年間ほとんど意識せずに聴いていました。

そもそも、編曲とはなにか。

うまく説明できる気がしないので、ChatGPTに聞いてみました。

編曲(へんきょく)は、既存の楽曲やメロディーを元にして、演奏スタイルや楽器構成、音楽的な雰囲気をアレンジして再構築することだよ!

具体的には:楽器の選択: どの楽器を使うか決める(ピアノだけにするのか、オーケストラにするのか、電子音を加えるのかなど)。
リズムやテンポの変更: 元の曲のリズムやテンポを変えて、違う印象を作り出す。
和声(コード)の変更: 曲のコード進行を変えて、新しい雰囲気を加える。
構成の調整: 曲の長さを変えたり、繰り返しを増やしたり、イントロやエンディングを追加する。

作曲とは違って、メロディー自体を作るわけではなく、そのメロディーをどう表現するかをデザインする役割だよ。

ChatGPT

だそうです。結構長い間知らなかった…。


aikoはメジャーデビュー曲を除いて、すべての楽曲を自身で作詞作曲していますが、CDに入っているほとんどは、他のだれかの手で再構築されたものだということです。

「そんなん知ってるわ!」という方は、私と編曲愛を語り合うつもりで読んでください。

あまり意識したことがなかったという方には、これを読んで編曲者ごとの違いを楽しめるようになってもらえたら嬉しいなと思いながら書いていきます。


このあたりまでで察しているかもしれませんが、私は編曲どころか作曲もできません。音楽的な知識もゼロです。

専門用語を使ってかっこよく分析することもできないし、たぶん間違ったことや変なことを言うかもしれません。

でも!感覚でaikoの曲が大好きなので、このパッションで書き進めます!


温かい目で見守ってくださいね!




それではここから、年代ごとに小分けにした表をもとに、いくつか曲をピックアップしてその編曲の特徴や私の愛情を語っていきたいと思います!

実はこの記事、書くことを勧めてくれた夫が苦笑いするレベルでとても長いです。小分けにして読むもよし、好きな時代の部分だけ読むもよし、もちろん一気読みも大歓迎!!

目次を載せるので好きなペースで読んでみてくださいね。




メジャーデビュー 1998年


1998年の編曲者一覧

表の始まりはもちろんこの年。当時22歳だったaikoがメジャーデビュー曲『あした』をリリースした1998年です。

先ほどちょっとだけ触れましたが、この『あした』は、唯一aiko本人以外が作曲した楽曲なんです。ちなみに作詞はaikoが担当しています。

その作曲者が小森田実さん。そして、編曲も同じ小森田実さんが手掛けています。彼がaikoの曲を編曲するのは、この『あした』が最初で最後。必然でもありますが、特別異色な一曲だと感じます。

なんだかミステリアスで妖艶な雰囲気があり、後のaikoには見られない音がたくさん使われています。特に、サビで入る合唱のようなコーラスが印象的です。aiko本人の声で似たようなコーラスはありますが、合唱隊の声でこのようなコーラスが入るのはこの曲だけの特徴です。

さらに面白いのが、サビ後に現れる「カカカッカカ」という音。ちょっとドキッとする響きですよね。サビで開放的な雰囲気に包まれた後、その空気を間奏やアウトロで少し怖いイメージに切り替える号令のように感じます。役割としては拍子木や一本締めのような感じ。聴いているこちらも気が引き締まります。


ところで、ずいぶん前に父の運転でドライブをしていた時の話。好みだなあと思う曲が流れてきたので「これだれの曲?」と尋ねたら、「コモリタミノルだよ」って言われたんです。

それで、スマホで検索したら…出てきた「小森田実」の文字にビックリ!

『あした』の作曲者として、なんとなく名前に見覚えはあったのですが、当時は深掘りしていなかったので読み方すら知らなくて。「小森」が名字で「実」で終わる、くらいの印象だったせいで、勝手に女性だと思っていたんです。

コモリ、、、コモリタ!? ミノル!?!?!?

あの時の私の脳みそ、きっと繰り返し聴いていたaikoの『あした』の作曲者と同じ波長を感じ取ったんじゃないでしょうか。自分の脳がちょっと好きになった瞬間でした。



1999年 名曲誕生


1999年の編曲者一覧

2nd SINGLE から 4th SINGLE、そしてその間にアルバムが1枚リリースされた1999年。
この年には、今なおカラオケランキングの上位に君臨する『花火』や『カブトムシ』といった名曲が誕生しています。えぇ、四半世紀以上前なの!?名曲すぎる!!!

ちなみに私は1997年生まれなので、その頃はまだ赤ちゃんです。

編曲者一覧を見てみると…おや、ステキなことに気が付きますよねぇ。デビュー曲『あした』を除けば、そこに刻まれるのはすべて島田昌典さんのお名前!

島田さんは現在でもaikoのライブに演奏者として参加されていて、2024年の野外ライブでは、なんとブロック割に【しまだまさのりブロック】が登場して大盛り上がり!「島やん」の愛称でファンからも愛されている存在なんですよ。

『カブトムシ』のイントロで美しく流れるストリングスは、恋の切実感をさらにマシマシにしているし、『花火』の軽快なピアノは、まさに煌めく花火そのもの!

しかも、シングルにはインスト版も収録されているから、私はそれらを繰り返し聴きすぎて、もう音を口で演奏できるレベル。

ロバート秋山の口ギターかよってね。

(「こいつ…aiko好きかつお笑い好きだな?」って思ったそこのあなた、正解でーす)


他の曲ももちろん大好き!例えば2nd SINGLE『ナキ・ムシ』のカップリング曲『赤い靴』は、ビリビリっとしたイントロから始まり、間奏でもギュインギュインとギターがリード。全体的に低い音が重めで、ロックテイストが強いのが特徴。

失恋して、ちょっと投げやりになるような、「別に?」ってツンとした気持ちが音になっているように感じて、何度聴いてもグッときます。

編曲なのか作曲なのか、どこで決められたものなのかわからないのですが、最後のサビの前、「ただ痛いだけの後悔に 情愛もって手をふってみせる」と歌った後に、aikoの「ばいばーい!」という元気なセリフが入るところも好きです。あそこキュンときますよね~。


さらに、この曲は1st ALBUM『小さな丸い好日』にも収録されていますが、同アルバムの6曲目『イジワルな天使よ 世界を笑え!』でも、ラスサビの前に歌詞にはないaikoのセリフが挿入されています。

もっと言うと、1998年5月30日にリリースされたインディーズ2ndアルバム『GIRLIE』に収録されている『犬になる』という曲でも、aikoが「犬は、、、好き、、、」ともじもじした雰囲気で喋り出すパートがあるんです。はぁ~、可愛すぎてこっちまで一緒にもじもじしちゃう。

こうしたセリフパートは、後の楽曲では見られなくなっていくのでaiko初期といえるこの時代の特徴だと感じます。


※aikoはインディーズ時代に3枚のCDをリリースしていますが、それらの曲もすべて島田さんが編曲を担当されています。(『ハチミツ』だけクレジットがありませんでしたが、のちにメジャーで発表された際には「編曲:島田昌典」と記載されていました)


さて、『小さな丸い好日』に戻りますが、セリフ以外の編曲についても、全体的に可愛らしさが際立つポップな楽曲が多い印象です。

たとえば『ナキ・ムシ』はバラード曲ですが、イントロから印象的な「ピャーン」という明るい音色が入っています。「ホーン」みたいな柔らかい音でもいいところを、あえてこういう音色にしている感じが面白いなと思います。この感じ、伝わってる…?


このアルバムではaiko自身の声や歌い方にも幼さを感じられるので、当時は「背の低いかわいい女の子が、パワフルに恋を歌うぞ!」というコンセプトがあったのかもしれません。


そんなところに、『花火』ではピアノやギターでかっこよくリズムを刻み、『カブトムシ』ではギターやストリングスで切なく盛り上げるという楽曲が大ヒットしましたよね。

この成功によって、「こっちの方向性がイケるんじゃないか?」と感じて、方向転換をしたのかもしれません。あくまで私の勝手な想像ですけどね。

これからもどんどん勝手なことを言っていきますので、そのつもりでよろしくお願いしまーす!




さて、ここで執筆を一度中断し、就寝して日を跨いでから再び向き合ったわけだけど、なんと夢に島田昌典さんが登場しました!
といっても私のメール相手としての登場だったのですが。

夢の中では私と島田さんはとても仲が良く、私がアボカド好きだと知っている島田さんは、ゴーヤみたいな形の特大アボカドをアタッシュケースにぎっしり詰めて贈ってくれました。

でも、配送状況が悪かったのか日が経ってしまったからなのか、半分に割ると中身は黒く変色してしまっていて全滅…。

それでも、気持ちだけでも本当に嬉しかった私は、「美味しくいただきました!」と嘘のメールを送信したのでした。

~おしまい~


なんか絵本っぽい話だったね。

気を取り直して、次は一気に2001年まで見ていくよ!



2000~2001年 島田昌典フィーバー


2000~2001年の編曲者一覧

この2年間にタイトルが並ぶ37曲、すべての編曲を島田さんが担当されているという事実…!ゲシュタルトが崩壊しちゃいそう!ボリュームもありすぎて感謝しかない!


5th SINGLE『桜の時』のイントロでは、ポップなピアノと「ギュイーーーン」と響くかっこいいギターが鮮やかに対比し、一気に心を掴まれます。

1コーラスの中で、低音の効いたミステリアスな雰囲気と、小鹿が跳ねるような軽快でハッピーなパートが交互に現れることで、曲全体の引力がさらに強まっています。また、要所要所で「きゅきゅきゅきゅっ」と顔を出すギターの存在感もたまりません。


前章では、1st ALBUMが可愛らしさを強く感じる一枚だと書きましたが、2nd ALBUM『桜の木の下』は一転して、ロックな力強さが際立つアルバムです。口ギターをしたくなるような、かっこいいギターソロがたくさん詰まっていて大好き!

歌い方もガーッと張ることが多く、ビブラートがかかる部分もあり、少しかっこ付けたような印象に変わります。もしかしたらマイクも変えたのかな?聞こえ方がまるで違うんですよね。


1曲目の『愛の病』では、さらさらと鳴っているピアノやアコギよりも、ギターやベース、ドラムの音が前面に押し出されていて、重厚感のある編曲が聴く人の気持ちを熱く揺さぶります。この曲は後のベストアルバムで、さらにテンポを上げて再編曲されるのですが、よりロック感が強まっていてこれも最高なんですよね。


4曲目の『お薬』は、勢いのあるジャズ風のピアノとノリノリなギターが印象的なアップテンポな一曲です。間奏ではピアノとギターがまるで即興でバトルしているような感じがたまらなく魅力的です。

また、「その音に飛ぶの!?」と驚くようなテクニカルなハモりも大好きですが、こういう部分も編曲者さんが手がけているのかな、と気になります。


8th SINGLE『ロージー』では、2Aの「この青い空が黒くなったなら」という部分で、突然音がフリーズしたようになる箇所があります。空が黒くなるバグ現象を音の停止で表現しているようで、まさに鳥肌もの。その瞬間に生まれる浮遊感は、ジェットコースターの落下時のみぞおちがヒュンっとする感覚に近く、一度味わうと癖になります。初めて聞いた時はびっくりしてキョロキョロしたと思う(笑)


そして、3rd ALBUM『夏服』では、前アルバムのロックで元気な要素に、哀愁が加わったような印象を受けます。

個人的に特に大好物なのが1曲目『飛行機』のストリングス。イントロで美しく誘い込んでくれた後は優しくボーカルを引き立てていたストリングスですが、間奏で主役としてバーンと前に出てきます。激しく躍動するその音が最高すぎて、これも口ストリングスで演奏できます。

さらにイントロの「ぽんぽぽん」という木琴のような音、あれもいい~!音階を変えずに繰り返すことで少し不気味さを醸し出しつつも、その音の可愛らしさで怖すぎない絶妙なバランスがたまりません。Aメロでも鳴り続けるその音が、曲全体の不穏な雰囲気を絶妙に支えています。


6曲目の『心日和』は、「てててってって てっててってててん♪」という可愛らしいフレーズが特徴的なイントロで始まります。歌が始まってからも、演奏に耳を傾けると、Aメロやサビでも同じフレーズが登場しているんです。それが違う音色であったり、他の楽器やコーラスで装飾されていたりするのが楽しい部分です。


ちなみに私が人生で初めて買ったCDはこの表に載っている『夏服』です。

そもそも父が持っていた『桜の木の下』を聞かせてもらい興味を持っていたところ、近所のブックオフでaikoの棚を見つけ、小学生のお小遣いで購入しました。確か10歳の頃だったかな。

この2枚が2nd ALBUMと3rd ALBUMだったことを後から知りましたが、私のaiko道の扉は、まさにこの島田昌典フィーバーの真っ只中にあったのです。

デビュー前からプロデューサー・編曲者としてaikoを支えてきた島田さん。繊細さと力強さを併せ持つ編曲は、可愛らしさやロックな一面を見せるaikoの楽曲と抜群にマッチしていると感じています。


9th SINGLE『おやすみなさい』のカップリング曲『ココア』もやばい。曲全体は、ベースやギターの「みょんみょん」とした音が個性的な編曲で、聴いていて楽しいです。

特に好きなのは、楽器が最小限に落ちたCメロです。この部分にはまるで別軸のaikoがいるような感じです。主旋律と変わらないくらいのボリュームで、輪唱のようなタイミングで同じ歌詞を別の旋律で繰り返したり、歌詞のないメロディーを歌い上げたり。最後にはパワフルなハモリで聴き手を圧倒し、その勢いのままストンと落ちサビに着地します。なんという気持ちよさ!

「内緒でキスしよう」と歌う、プライベート感のある曲なので、たくさんの楽器や壮大なストリングスではなく、aiko自身の声で盛り上げるという構成がしっくりきていると感じます。ここの部分が本当に好きで、定期的に聴きたくなる一曲です。



いくらでも書き続けられそうだけど、この辺で切り上げて次に進みましょう!



2002年 島田一強に動きあり!


2002年の編曲者一覧

2002年にはシングル2枚とアルバム1枚がリリースされています。インディーズ時代から長きにわたって続いてきた「島田時代」に新しい風が吹き込まれ始めたのがこの頃。

表を眺めると四文字の合間に三文字が入ってくるのでわかりやすいですね。新たなアレンジャー、その名も吉俣良さんです。

彼についてちょっと調べてみたのですが、この方、主にドラマや映画の音楽を手掛ける作曲家さんだそうです。
aikoと同じレーベル、ポニーキャニオンに所属されているようなので、この起用にはそういったご縁もあったのではないでしょうか。それに、aiko以外にもゆずやチャゲアスの編曲も手掛けたことがある実力派みたい。

吉俣さんが初めてaikoの編曲を担当したのはシングル曲『今度までには』です。こういう時ってまずはカップリングやアルバム曲で様子を見つつ…なんて展開にしそうなものだけど、違うんですね。いきなりシングルのメイン曲からなんて、挑戦的?

波紋のように広がるギターと、盛り上げ上手なストリングスが特徴的な『今度までには』。この曲のサビ部分では、aikoの歌声に寄り添うだけでなく、ストリングスがまるで別のメロディーを歌っているかのような構成になっているのがポイント。インスト版で聴くと、その美しさがよりダイレクトに感じられて、新しい楽しみ方が広がります。


そしてカップリング曲の『あなたの唄』と『愛の世界』については、安定の島田さんが担当。
『あなたの唄』の「ペペェデェ~ン」なんて鼻つまんで真似したくなっちゃうよな。あれ、なんの音なんだろう?こういうところ、島田さんのセンスが光ってて好き。


その後にリリースされた4th ALBUMである『秋 そばにいるよ』では、13曲中5曲を吉俣さんが編曲しています。

均等に分担されているわけではありませんが、このアルバムで初めて「島田:吉俣」の二人体制がとられたんですね。
吉俣さん担当の曲が後半に多いのも興味深い配置。意図的なのかどうなのか。



『クローゼット』の編曲は、確かに今までと違うテイストが感じられます。私はこの曲を聴くと、なぜか「おもちゃのチャチャチャ」を思い出します。ラッパの音や、こぢんまりした空気感がその理由かも。

クローゼットの中にしまわれた色んなものと、おもちゃ箱から飛び出したおもちゃたち。どちらも系統が似ていて、この曲をそんなふうに受け取るのも正解だと思えてきます。


そしてラスト2曲の『木星』と『心に乙女』。これも、ほんと、そうだと思って聞いてみてほしい。全然違うから。言われてみれば確かに、映画っぽい。感動的!

『木星』のイントロは壮大で、「何が始まるの!?」って思わせる迫力です。でももうタイトルが惑星だし、歌詞にも「宇宙」が出てくるから、編曲のスケール感が曲と完璧に合ってる。


続く『心に乙女』の歌いだしも「宇宙の隅に」とあり、なんとなく連作感があります。一転してオルゴール調のイントロでは前曲の壮大さから静かに心を落ち着ける効果があるし、徐々にストリングスで厚みを増していく流れが映画っぽくて感動的…。泣いちゃいそう。これは吉俣さんのことを知らなくても思うよ、きっと。


吉俣さんの登場によって、aikoの楽曲が新たな進化を遂げた期間だったのではないかと感じます。どんどん深掘りしたくなるね。


それでは次いってみよう!



2003~2004年 おおよそ島田、時々吉俣


2003~2004年の編曲者一覧

この2年間、編曲者の名前は前の2年間と変わらないものの、数で言うと島田さんが巻き返してきます(勝手に戦わせるな!)。

また、この期間中にリリースされたシングルのタイトル曲はすべて島田さんが編曲を担当。吉俣さんはアルバム曲1曲とカップリング曲1曲のみ手掛けています。

ああもうどの曲もよくて何をピックアップしようか悩みます。口ストリングス曲、口トランペット曲もいっぱいだし…(もうこの表現で伝わるよね?)。

そんな中でも特色が際立っているのは13th SINGLE『アンドロメダ』のカップリング曲『最後の夏休み』ではないでしょうか。

夏休みをテーマにした楽曲だからなのか、RPGゲームのBGMを思わせるピロピロとした電子音が印象的なイントロで始まります。間奏ではその音が、まるでゲームデータをセーブした時みたいな響きに聞こえるのもユニークです。

さらに、学校のチャイムを連想させる鐘のような音が使われている点も面白く、細かいところまで遊び心が感じられます。

そして、曲の終わりにはリコーダーでサビのメロディーを少しだけ奏でる締め方が、どこかノスタルジックで胸がキュンとする仕掛けになっています。「音の宝石箱や~!」と叫びたくなるような、遊び心溢れる編曲です。


5th ALBUM『暁のラブレター』の1曲目『熱』は、Aメロやサビといった明確な構成を取り払ったような短い曲です。音が少しこもったピアノや柔らかい管楽器が寂しげに響く序盤から、後半に向かって楽器が一斉に加わり、まるで照明が一気に明るくなるような情景が思い浮かびます。

このドラマチックな展開がライブの幕開けをも連想させる、まさにアルバムのスタートにふさわしい一曲だと感じます。

さらに、この曲のアウトロが2曲目『彼の落書き』のイントロへシームレスに繋がっている点も、伝えないわけにはいかない推しポイントです。

爆発的な盛り上がりの余韻に浸っているうちに、気付けば次の曲が始まっているというサプライズ。これも、連続して編曲を担当したからこそ生まれた絶妙な構成だと、改めて実感します。



15th SINGLE『かばん』のカップリング曲『テレビゲーム』は、吉俣さんの編曲。題材が『クローゼット』と似ているような気がしますが、こちらは穏やかでナチュラルな雰囲気です。やわらかいピアノや優しいアコギを中心とした、ほのぼのとした編曲が特徴です。

Bメロからは管楽器や弦楽器が加わり、徐々に奥行きが生まれていく展開が素晴らしい。あの間奏やアウトロの口笛、あれを提案したのはaiko?吉俣さん?それともだれ?なんにせよ、あそこも大好きなポイントです。


似たような題材&雰囲気の曲には、島田さん編曲の『バスタブ』があります。『テレビゲーム』同様にこぢんまりとして穏やかな雰囲気ですが、楽器の入り方が異なります。『バスタブ』では「パッパラ」「きらきら」「ポコポコ」といった音が合間合間に挟まれています。

なんだろう、楽器が増えるという点では『テレビゲーム』と同じなんだけど、それが"展開"というよりは"仲間が増えた"!という感じに聞こえます。


aikoは「一対一」を大切にしていると言っているのを見たことがあります(大勢に向かってではなく、ひとりひとりに曲を届けるという意味として受け取りました)。島田さんの編曲はそのモットーに近い雰囲気を持っていると感じます。

例えば『アンドロメダ』や『天の川』も、銀河をテーマにした”宇宙シリーズ”(勝手に命名!)ではありますが、壮大すぎずリスナーを置いていかない。

その編曲が、歌詞の主人公に自分を重ねて、「これは自分の曲だ!」と没入する気持ちを後押ししてくれるのかなと思います。

まるで自分の恋の背景に流れるBGMのように感じられる。そういうところが好きです。

…お気付きの通り、私は島田昌典さん推しです。島田さんがフィーバーしていた時期にaikoを好きになったことも、この気持ちに大きく影響しているかもしれません。



2005~2006年 第三の編曲者現る!


2005~2006年の編曲者一覧

みてみて!島田さん以外にも四文字があるー!それが根岸孝旨さんです。また、引き続き吉俣さんのお名前もあります。ここで初めて、三人体制が完成しました!

根岸さんは、自らもバンド活動を行うベーシストで、さまざまなアーティストに楽曲提供や編曲の経験を持つ音楽プロデューサー。公式サイトによると、プレイスタイルは「思い切りひっぱたく」系で、様々な弾き方を学ぶも、やはりパワー&動に立ち返る、ロックな方のようです。知って納得。だって根岸さんが編曲した曲って凄くかっこいいもん!


その根岸さんのお名前を初めて見ることができるのは、2005年にリリースされた17th SINGLE『三国駅』のカップリング曲、『小鳥公園』。ジャンプしたくなるテンポ感と、ファルセットを駆使して細かくメロディーを刻むサビが特徴的なロック曲です。

ドキドキするギターのイントロからキーボードが合流する流れが、aikoに馴染んでいるなぁと感じます。ベースもかっこいいし、アウトロでギターが躍動してるのが最高!カラオケで歌うとめちゃくちゃ気持ちいいんだよな〜これが。

このシングルでは、タイトル曲を吉俣さんが編曲しているため、CD一枚の中で島田度が33%と低水準になる珍しい現象が起きていますね。

また、その直後にリリースされる6th ALBUM『夢の中のまっすぐな道』でも1曲、『ビードロの夜』の編曲を根岸さんが担当されています。

こちらもロックな曲で、aikoがすまし顔で歌っている様子が浮かんできます。ロングトーンの多いAメロとサビでは、その裏でかっこよく刻まれているギターやベースの音が際立っています。

根岸さんはストリングスをあまり使わないのが特徴で、バンドサウンド感が強いのも、島田さんとの大きな違いかもしれません。それが、ロックなaikoの曲にフィットしていると感じます。

その後の7th ALBUM『彼女』では、依然として島田さん編曲が多いものの、吉俣さんが1曲に対して根岸さんが3曲と、前アルバムと比べて担当数が逆転しています。


8曲目に収録されている曲も、これはロックではないのですが「島田さんじゃないな」とハッキリわかる根岸さんの編曲です。
ちょっと昭和歌謡のようなムードのあるメロディーを支えるのは、これまた昭和のフォークソングっぽいギター。侘しさ溢れるこの曲のタイトルは『ひとりよがり』…ピッタリじゃんか!


ところで、高校時代、むしゃくしゃした時、一人でカラオケに行くと、私はいつもCoccoを大声で歌っていました。実は彼女の曲も好きなんですよ。

そしてある時、驚きの事実に気が付きました。


「Coccoも、根岸孝旨さんが編曲してる…!」

主に2014年頃までのアルバムを聴いていたのですが、その頃のCoccoにとっての根岸さんって、まるでaikoにとっての島田昌典さんみたいに、ほとんどの曲が根岸さんの編曲だったんです。

「はぇ~、私の好きなアーティスト同士がこういうところで繋がってるなんて…!」と、その不思議な繋がりに、なんだか少し嬉しくなったのでした。


気を取り直して編曲者一覧表に目を向けると、一行だけ編曲者がAIKOになっているのが目につきます。それが18th SINGLE『キラキラ』のカップリング曲、『より道』。

本人が編曲することもあるのね、と思われそうですが、実はこれはピアノの弾き語り楽曲なんです。同様の曲は他にも数曲ありますが、この曲のみ編曲:AIKOの表記があったので、表にも掲載しています。aiko自身による伴奏と歌を純粋に味わう、貴重な時間が過ごせる一曲ですよ。



2007~2008年 島田期再来&根岸


2007~2008年の編曲者一覧

これまでの2年と比べると全体の数は少ないものの、一曲を除くすべてを島田さんが編曲するという、まさに第二期島田フィーバー!

シングルではカップリング含むすべての担当を独占しました(そんな奪い合いじゃなかろうて)。


8th ALBUM『秘密』の1曲目である『You & Me both』は、5th ALBUM『暁のラブレター』で言うと『熱』と同じ立ち位置の曲です。また、同じように島田さんが編曲もしています。


これもオープニングというかファンファーレというか、そんな役割を担っていて、イントロでピアノの音がだんだん近づいてくるのもわくわく感を掻き立てます。間奏では島田サウンドで一気に盛り上げて、「アルバムー!はじまったぞー!!!」という開放的な気持ちにさせてくれる大好きな曲です。


さらにお気付きの方もいるかもしれませんが、この曲も次の曲のイントロとアウトロがシームレスに繋がる構成になっています。

とはいえ、『熱』でその仕掛けを経験していたにもかかわらず、初めてアルバムで通して聴いた時はびっくりしました。なぜなら、2曲目の『二人』はシングル曲だからです。

シングルとしてリリースされたとき、この曲を単体で聴いて「なんっっっていい曲!大好き~!」と思っていたのに、アルバムでは前の曲から自然に繋がる形で始まる。このサプライズには、より大きな驚きと感動がありました。

リリース時期が近いことを考えると、もしかしたらシングル発売時点で2曲を繋げる構成がすでに計画されていたのかもしれませんね。こんな細やかな演出には胸がときめきました。


8曲目、唯一の根岸さん編曲である『星電話』は、ピアノを主体にストリングスも効果的に使われた楽曲です。しかし、さすがの根岸さん、細かく音階を刻むベースがしっかりと曲を引き締めています。

ストリングスよりもギターの音が主張しており、重めでロックなテイストが際立っています。イントロや落ちサビでピアノだけになる部分とのコントラストがとっても印象的で、その変化に引き込まれてしまいます。


島田さん編曲の9曲目の『恋道』は、ドーンと響く低音にのせて、キラキラとしたピアノの旋律が強く耳に残るイントロから始まります。

「ぺっぺっ」と短く入ってくるギターがかわいらしいな~と思いながら聴き進めていくと、Bメロに入った瞬間に襲い来るデジャヴ。なんと、さっきのイントロのピアノは、このBメロのメロディーをなぞったものだったんです。

ファルセットを交えて「ああ..離れて」と繰り返すBメロは、確かに一番耳に残りやすい部分かもしれません。そのフレーズを抜擢して演奏に取り込むセンスが、もうほんとに好き。


他まで触れていくとキリがないから諦めて次にいこう!



2009~2010年 おおよそ島田、時々二人


2009~2010年の編曲者一覧

25th SINGLEでは両A面の『milk/嘆きのキス』がリリースされますが、『milk』が島田さん、そして『嘆きのキス』は吉俣さんの編曲でした。



『milk』は管楽器の主張が特徴的です。アップテンポな「ンッパ、ンッパ」のリズムで思わず身体が動き出しますよね。サビの裏でも、アウトロなどに使われるフレーズと同じものが繰り返されているのが面白いなぁと、インスト版を聴きながら唸ったっけ。

間奏でaikoのスキャットとピアノの旋律がリンクするあたりも萌えます!


対して『嘆きのキス』はスローなバラード。今までは”映画の吉俣さん”だったのに、この曲はだいぶバンドサウンドに寄っているように思うのですがいかがでしょう。

ピアノ(オルガン?)×ギター×ストリングスの組み合わせで、ドラムの音もしっかり聞こえて、なんかちょっと島田さんの編曲に似ている気がしてきます。

Cメロ前の間奏も、口ストリングス欲をかきたてます。これ私的にはすごい誉め言葉なんですよ?

またCメロ後のサビのメロディーを模倣した旋律を小さくピアノが奏でた後にドカンと大サビがくる感じ、あれも心を掴まれますね~。



そして根岸さんのお名前もありますね。9th ALBUM『BABY』の9曲目、『指先』はもちろんロックナンバー!

これは特にベースのかっこよさが際立っているように感じます。間奏ではピアノとギターが同時に印象的なフレーズを奏でるので記憶に残りやすいですし、もちろんそこも素敵な部分なのですが。

そこを除いて一番口でやりたいのはどの音かと考えると、ベースかな。楽器を弾ける人だったら「ベース弾きたい!」ってなるんだろうなぁ。歌しかできないから「口ベースやりたい!」になっちゃうわ。



あと、見て!『指先』の前の曲、8曲目に『より道』があるでしょう、覚えてますかこのタイトル!

唯一編曲がAIKOとなっていた、2005年リリース『キラキラ』のカップリング曲ですよ。あのしっとりとした弾き語り曲を、アルバム収録曲として改めて島田さんが編曲し、なんとややアップテンポな一曲に仕上げているんです!

か細く祈るようだったメロディーも、テンポを変えてギターやドラムでかっこよくアレンジされた今回は力強く歌われます。

両手を胸の前で組んで涙ぐみながらはわぁ~っと聴いていたのが、こうなると足や身体でリズムをとりつつ、なんなら少し頭も振りながらぐぐぐっと眉間に力を入れて噛み締めるように聴いてしまいます。イメージ、イメージね。

同じ曲、同じ歌詞なのに、こんなに異なる印象になるとは、本当に編曲の力ってすごいんだなあと気付くことができます。



ちなみにここからは、私がaikoの新曲をリアルタイムで手に入れる時代に突入します。

それまではブックオフなどの中古CD屋さんで過去のアルバムを手に入れて、愛を深めるのが主な行動でした。

しかし、中学生になりお金を使うことに慣れてきた頃、新星堂でニューリリースのCDをワクワクしながら予約するように。あの時の「手に入れる喜び」は、今でも鮮明に覚えています。

そして2012年になると、高校入学と同時にバイトを始めたことで、お小遣いを使ってカラオケに通う楽しみも増えました。一人で行って好きな曲だけを思い切り歌うのが大好きで、aikoだけで3時間以上歌い続けることも。繰り返し歌うことで「歌って気持ちいい」と感じる編曲が身体に染み込んでいった気がします。

このくらいの年頃に聴いた音楽って、やっぱり特別だよね!



2011~2012年 安定の島田、さよなら根岸


2011~2012年の編曲者一覧

島田昌典島田昌典島田昌典島田昌典島田昌典…吉俣良。
2011年はすべて島田さんが、表の最下行の一曲は吉俣さんが編曲をしています。

実は、根岸さんの編曲はこれ以降もずっとありません。ゴリゴリにかっこよくて好きだったな。ありがとう根岸さん。機会があったらaikoの曲でもまた会えたらいいな。

でも本命の島田さん祭りが続いているから私的にはまだハッピー!


28th SINGLE『恋のスーパーボール/ホーム』も島田さんのアレンジ楽曲です。『恋のスーパーボール』は、曲の可愛らしさがそのまま音に落とし込まれたような編曲になっています。

おそらくトライアングルの「チリンチリン」という音が、その可愛さをさらに引き立てていますよね。イントロやサビ、間奏で鳴る「ぴょぴょーよ」という電子的な音も、とても印象的です。

さらに、ストリングスがイントロと同じ「てててってってれっ♪」というフレーズをサビの裏で奏でているのも推しポイントです。間奏の躍動感も大好きで、聴いていて胸が高鳴ります。インスト版の聴き応えが素晴らしい、いや、バラスーシ!何度でも繰り返し聴きたくなる一曲です。


10th ALBUM『時のシルエット』の3曲目『白い道』はアップテンポな別れの曲です。イントロでピアノが奏でるフレーズは、サビのメロディーをなぞるように構成されていて、これもまた印象的な導入になっています。

2つの音を繰り返すメロディーが特徴的なBメロでは、その背後でストリングスが徐々に音階を上げていくことで、次のサビに向けた高揚感が生まれていて、自然と気持ちが引き込まれます。

さらに2番以降ではストリングスの演奏がより情熱的に展開されていて、切なさが一層際立ちます。

楽器とボーカルが一体となって感情を描き出しているこの感じ、もうトリコなんですけど…!


この『時のシルエット』のアルバムラストには、吉俣さん編曲によるバラードが収録されています。以前アルバム終盤を担当した際の『木星』や『心に乙女』のような壮大なスケール感は控えめで、「一対一」で語りかけるような親密さを感じるアレンジに変化した印象です。

ピアノを主軸に、ギターやストリングスで繊細に装飾された構成は、どこか聴き慣れた島田さん編曲を彷彿とさせます。切なさの中にも、明るさや希望を感じさせる音作りが特徴的で、別れを乗り越えようとする歌詞のテーマにぴったり寄り添っています。

特に最後のアウトロでは、儚げなストリングスの旋律が心に染み入り、別れの余韻を強く残します。胸が詰まるような切ない歌詞の後に、このアウトロが流れると、もう涙がこぼれてしまいそうです。そして、その余韻を抱えたままアルバムが静かに終わっていく…。心に響くぅ…。



2013~2014年5月 島田昌典独走


2013~2014年5月の編曲者一覧

今回のキャプチャは2014年途中の5月まで。それでもシングル2枚とアルバム1枚がここに載っていますが、なんとそのすべてが島田さんの編曲です。わーい!お祭りだー!!!

アルバム全曲を島田さんが編曲するのは2001年リリースの『夏服』からおよそ13年ぶり。今までもずっと島田さんメインだったけど、根岸さんと吉俣さんも何曲か担当されていたのでね。

しかし、なんと編曲:吉俣良の文字もこれ以降見ることができません。『時のシルエット』のトリが最後でした。

いや~ん好きになってたのにぃ~。まあそんなこと言ってもしょうがないか。


でも私は大丈夫、推しの島田さんがいるから!!


30th SINGLE『Loveletter』、この曲も、サビのメロディーをハキハキとなぞるストリングスのイントロが大好きです。

落ちサビでは、ギターとストリングスが「きゅきゅきゅきゅ」と細かく音階を刻みます。他の楽器が消えることで、旋律が一層際立ち、その緻密さに引き込まれます。特に、ストリングスの音階が徐々に高まりながらラスサビに向けて緊張感を高めていく様子は、その後に控える曲の最高潮への効果的な伏線となっていて、最高です。

カップリング曲『何処へでも行く』ではまた『バスタブ』チックな音色でぽやぽやと幻想的な空間に誘ってくれます。


31th SINGLE『君の隣』、ピアノを聴いてもギターを聴いても違った旋律で楽しめるなんて天才すぎるよ、カップリング曲のハードなロック曲『舌打ち』なんて歪んだギター、うあぁもうギターああ。11th ALBUM『泡のような愛だった』2曲目『染まる夢』のAメロの緩急、サイダーの始まり方、遊園地のにぎやかさ、透明ドロップのギターしかないAメロ大切な人の温かく包みこまれる感じ卒業式、の、優しい、、ストリングス…。

息が続かない、言葉にした過ぎる。した過ぎて、逆に言葉にするのがもったいなくなってきた。

曲を聴きながら書いてるんだけど、書くより聴くに集中したくなったんでいったん休憩はさみます!みなさんも、私になんやかんや言われなくても聴けばわかるはず。

根岸さんと吉俣さんの名前が見られなくなっちゃったのは残念だけど、私には島田さんがいるから大丈夫。むしろ島田さんがいてくれるなんて最高だ。ずっとついてく…。




2014年11月~2016年 ???


2014年11月~2016年の編曲者一覧

な゛んでだよ゛おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!

島田さんをどこにやった!

返せ!私の島田昌典を!!!うわああああーーーーー!!!!!




とはなりませんでした、当時は。なぜならこの時はまだ、編曲者という存在を意識していなかったから。

実際の反応がどうだったかは後回しにして、編曲者一覧を見ていきましょう。


びっくりですね。インディーズ時代から、ずっとメインで編曲を担当されてきた島田さんのお名前が、突然消滅します。

代わりに見られるのは、OSTER projectKano Kawashima という文字。そして『May Dream』以降は川島可能、そして川嶋可能という字も見えますが、これは表記が違うだけでKano Kawashimaと同一人物のようです。

それでは恒例の、調べてみたのお時間です。


まずは OSTER project さん。ニコニコ動画やYouTubeで活躍されているボカロPのソロプロジェクトで、ゲームミュージックの提供等幅広く活動されている方だそうです。

でも不思議、編曲を聴いただけではボカロ感やゲーム感は一切感じません。なんでもできるとても器用なんだろうなあ。aikoの編曲ではピアノがメインなことが多い印象があります。


そして川島可能さん。…wikiがない。

そんな時は…

おしえて、ChatGPTーーー!

川嶋可能(かわしま かのう)さんは、1972年5月13日生まれの作詞家・作曲家・編曲家・プロデューサーだよ。多くのCM音楽やドラマのサウンドトラックを手掛けてて、特にドラマ「僕の姉ちゃん」のオリジナルサウンドトラックが有名だね。

ChatGPT

そうなんだあ!確かに当時のナタリーの記事にも、”数々の映画やCM音楽を手がけている川嶋可能”って書いてあるや。

表記はaiko official websiteからコピペしたままの表記を使用してるのですが、アルファベットだったり、”島”と”嶋”の違いだったりは、どの表記でいこうか悩んでたんですかね?でもタワレコのCDページを見てみるとすべて”川嶋可能”となっているので、もしかしたら誤字?なに?なんでもいいか。

とにかく現在は”川嶋可能”さんという表記に落ち着いているようです。

川嶋さんの編曲は、ドキッとするようなメリハリのあるバンドサウンドが多いと感じます。ちょっとロックなほうが好みに近いかな?


そしてさっきの表に目を戻すと、三行目、32nd SINGLE『あたしの向こう』の3曲目『ハレーション』の編曲者に、Ryo Yoshimata という名前もあります。

新しい人…?

いや、リョウ ヨシマタ…ヨシマタリョウ…吉俣良!?

そうです!あの吉俣良さんです!!!

なぜか表記が変わっていますが、ここで最後に吉俣さんの編曲が聴けるのでした!

英語表記が流行ってたのか?


でもここで、吉俣さんの編曲は本当に最後です。


ところで、先ほどChatGPTが川嶋さんの誕生日を教えてくれたので、せっかくだからここまで出てきた編曲者さんたちの生年月日も調べてみました。

島田昌典さん 1961年11月3日
吉俣良さん  1959年9月6日
根岸孝旨さん 1961年9月28日

あら、このお三方はみんな同年代。
そしてこの時代に新しく登場した編曲者さんお二人は、

川嶋可能さん 1972年5月13日
OSTER projectさん 1986年11月24日


!?!?

だいぶ違う!!!

もしかすると2014年、aikoの編曲者若返り政策が執行されたのかもしれません。あれ、なんかちょっと失礼だったかも、ごめんなさい。理由が欲しくて。



ではここで、この2014年後半のaikoを聴いた実際の私の反応がどうだったか振り返ります。



ん?なんか、好きだけど、好きなんだけど、今までほどじゃないかも…?



だいたいこんな感じだったか?


もちろん、わくわくしながら毎回CDを買います。そして、aikoは曲よりも詩を先に作るそうなので、私は聴く前にブックレットを開いて、まず歌詞だけを読むのがルーティーンなんです。

うわぁ、この表現いいわあ

うっひょ~なんつー切なさだぁ~

みたいなお気に入りポイントがまずそこでいくつか見つかるんですね。で、今までは1回聴いて

うわぁこの音!このフレーズ!

ここ、口ギター(だったりストリングスだったり)した~い!!

みたいになって、もう1回!もう1周!と、家族から「気配が消える」と言われるくらい、イヤホンより内側の世界に入り込んでいました。

でも、このあたりから、なんだか第一印象が変わったんですよね。悪いとかじゃないんですけど、個人的に飲み込みにくいというか、うまくのめり込めないというか…。

でも、焦るじゃないですか。ずっと愛してきたものを急に「あれ?」って思っちゃうと、なんだか怖いんです。だから、

私はaikoが好き、私はaikoが好き…

と心の中で唱えながら、この曲いいわ~と思えるようになるまで、何回も繰り返し再生しました。そうすると、少しずつ素直に聴けるようになってきて、

あ、ここイイ、これ好き、お、いいじゃん!と、推しポイントを見つけて、安心する。あ~やっぱり私はaikoが好き。

そんな感じでした。


でも、ずっと少し不安でした。aikoの『ライン』の歌詞を使うと、

”まさかあたしのせいなの あたしが変わってしまったの?”

という感じでした。


本当に好きなのかな。好きなものを好きと感じる力がなくなったんじゃないか。感性が変わっちゃったんじゃないか。もしかして体調悪いのかも。これが大人になっていくってことなのか?

集めてきたCDは、もっとaikoが好きな人に譲ったほうがいいんじゃないか、なんて考えだすくらい、ちょっと思い詰めました。口ギターしたいとか、馬鹿なこと言えるくらい好きだった自分がいなくなったことが悲しくて。

この時、私は20歳にもなっていない年齢。そんな小さな悲しみでも全力で苦しむことのできるお年頃でした。


後から気付くことになりますが、このマイナスな気持ちは、編曲者が突然代わったことに由来していると考えています。

もしかすると私は、初めて見たものを親だと思う鳥みたいに、初めて音楽に触れた時に聴いていた島田さんの編曲を親のように感じていたのかも。



しょぼんとなっちゃったので、次に進みましょうか。



2017~2018年 Oster、川嶋、時々島田


2017~2018年の編曲者一覧

おとうさん、おかえりぃぃぃーーーーーーーーーーー!!!!!


21曲中、14曲がOSTER projcetさん、5曲が川嶋さん、そして2曲が島田さんの編曲です。4年ちょっとぶりに島田さんが戻ってきてる…!

でもこの時期はaikoの新しいCDを聴くたびに、愛情を試されている気分になっちゃっていました。気が気じゃなくて、正直に言うと、当時はあまり曲を曲として聴けていません。時々復活してくれていた島田サウンドにも気が付いていなかったな。

とはいえ2018年後半、13th ALBUMの『湿った夏の始まり』の頃になると、さすがに新しいテイストにも慣れてきて、以前より飲み込みが早くなりましたよ。


OSTER projectさんの編曲でいうと、ひずんだギターが印象的な『ハナガサイタ』はカラオケで飛び跳ねながら歌ったし、美しいピアノとストリングスがメインの『宇宙で恋をして』は夫に出された一瞬イントロドンでも正解できたし。『ドライブモード』のリズミカルなピアノもとてもいい。


中でも、川嶋さんが編曲した『夜空綺麗』にはときめきました。アルバムの中で一番好きだったかもしれない。

イントロなしでAメロの歌から入る曲なのですが、細かい間隔で駆け上がったり駆け下りたり忙しく動くメロディーに、ストリングスが同様のリズムではあるものの控えめに寄り添い、たぶんコントラバスの低音がミステリアスに響いていて、なんだろう、引力が凄まじかった。これもちょっと、宇宙っぽかったです。

全体的にはストリングスが多めのバンドっぽい編曲なのですが、間奏にある主張の強いギターソロと、トントンと刻み続けるストリングスのコラボレーションも、そこから音色が一気に変わって落ちサビになるのも、だいぶ刺さりました。恐る恐るだった胸に。グサッと。


今こうして一覧にして見てみると、アルバムとしては島田さんで始まって島田さんで終わっていたんですね。もしかして私みたいな迷子のための処置だったんでしょうか。混乱のさなかで全く気が付けていなかったけど。

今聴いてみるとストリングスもりもりで私の大好きな島田サウンドなんだけどな。



2020年 新星登場で四人乱舞


2020年の編曲者一覧

2019年はDVDやシングルコレクションである『aikoの詩』のリリースはありましたが、新曲は発表されていませんので、突然2020年の表になります。

この表はシングル2枚分、インスト版を除くと6タイトルが載っているのですが、なななんと、編曲者が4種のよくばりPIZZA。

トオミヨウ:1
OSTER project:2
川嶋可能:2
島田昌典:1

と、短期間でさまざまな味を楽しめる年だったのです。


さて、今回一行目から初めて見るカタカナが!その名もトオミヨウさん。食べても水につけてたらまた伸びそうなお名前。名字と名前で区切るって感じじゃない気がするので、いつもフルネームにさん付けしてしまいます。


さて、トオミヨウさんは自身がシンガーソングライターでもあり、楽曲提供や音楽プロデューサーとしても活躍されている方だそうです。wikiによると担当楽器はキーボードとのこと。島田さんと同じだね。うふ、好きかも(ちょろい)。

ちなみに1980年11月14日生まれとのことで、ご年齢はOSTER projectさんと川嶋さんの中間くらいですね。やはり編曲者若返り政策だったのか?


彼は39th SINGLE『青空』で初めて編曲に参加し、タイトル曲をアレンジされています。

この曲は豊かなピアノがメインなのですが、ギターもずっとテケテケと並走していて、何よりイントロや間奏に使われている…なんじゃこの…「フェフェフェェ」みたいなおもしろい音!これは口(くち)フェフェフェェしたい!

と、改めて再生してみた今は思ったものの、この時点ではまだ違和感を引きずっていて、あまり馬鹿になって聴けていなかったので、実際はここまでじゃなかったです。


しかし。


この2020年、私が大きな成長を遂げます。




「・・・なんか編曲者ってのが曲ごとに違うっぽいんだけど?」



そう!やっとここで気付いたんですよ…!!!


「へ~じゃあ今までどうだったんだ?」


と、初めてその存在を気にし出すのですが、当時はaiko公式ホームページからすべての編曲者を確認できたわけじゃなかったと思います。苦労した記憶があるので。

タワレコのCDページだと、曲ごとに編曲者の名前が表示できる仕様になっていたので、困った時はそこを頼りに情報を集めていました。

そうして、遅ればせながら自分が口ストリングスしていた時期と今では編曲者がガラッと変わっていることを確認したんですよ。


そして思い当たる。


・・・


2014年5月~2016年3月の編曲者一覧


私、島田ロスだったんじゃないか・・・?



私aikoが好きじゃなくなったんではないんじゃない!?

編曲者が代わって違和感を抱いちゃってただけなんじゃない!?


そうだ、そうだったんだー!よかったあああ!!!


え、じゃあ私島田さんが好きなのかも!



と、島田さんが編曲した楽曲を調べまくり、aikoはもちろん他アーティストの楽曲も1つにまとめてプレイリストを作りました。そうして、今回のような記事を書くことにも繋がる「編曲者聴き」への道を歩み始めたのでした。


ちなみにこのプレイリストは随時更新しているので曲の数はどんどん多く、時間は長くなっています。非常~に幸せなことです!ご興味のある方はぜひチェックしてみてください。




2021~2022年 トオミ・島田の新時代へ


2021~2022年の編曲者一覧

アルバム1枚とシングル3枚がリリースされるこの期間、また時代がはっきりと変わった感じがしますね。

14th ALBUM『どうしたって伝えられないから』では、3人の編曲者が参加しています。その内訳はこちら。

トオミヨウ:6
島田昌典:5
OSTER project:2


しばらくの間、アルバムではOSTER projectさんと川嶋可能さんが主に編曲を担当していましたが、なんと今回は島田さんが逆転!さらに2020年に『青空』の編曲で初登場したトオミヨウさんが単独トップに躍り出ました!

島田推しとしてはとても胸が熱くなる展開です。

とはいえ、編曲者という概念を習得した私は、どんな編曲でもウェルカムな姿勢ばっちりです。


アルバムの幕開けを飾るのは、トオミヨウさん編曲の『ばいばーーい』。サビでは「ばいばーい」という一単語を繰り返すのが印象的な失恋の歌です。
 
ピアノ、ギター、ストリングスといったメインの楽器編成は島田さんのアレンジに近いですが、この曲では全体的に柔らかく切なげな響きが特徴的で、恋の儚さとリンクしています。


3曲目の『シャワーとコンセント』は、リズミカルなピアノにかっこいいギターがキリキリっとスパイスを加えるノリノリな曲。OSTER projectさんの編曲で、サビ中やアウトロで聞こえる特徴的な「でーんでけでんでんでんでん」が耳に残り、つい口ギターをしてしまいます。

編曲者を意識するようになったおかげで、馬鹿になれる元気が復活しました。

さらに、この曲を聴くと『あたしの向こう』を思い出すのですが、実は同じ方の編曲なんですね!そりゃ似るわけだ…!!一覧表があるとこんな楽しみ方もできるんです。


アルバムのリード曲(だったよね?)『磁石』はトオミヨウさんの編曲。シングルかと思うほどのクオリティーです。アップテンポでジャジーなピアノ、キャッチーなフレーズを奏でるギター。好みだ…。

さらに動きの多いベースが曲全体を引き締めていて、かっこよさが際立っています。少し根岸さんを思い出させる部分も。

曲の終盤、左耳に小さく震えるようなギターの音が聞こえるのも面白いポイント。聞けば聞くほど新しい発見がある豊かな編曲は、島田さんのそれっぽくもあります。

歴代編曲者の良いとこどりのようですね。アップテンポな曲では島田さんかトオミヨウさんか聞き分けができないこともあります。強い新勢力です。


そしてアルバムの最後を飾るのは、安定の島田さん編曲『いつもいる』。

バラード曲で、序盤やアウトロに聞こえるぽわわんとした鍵盤の音が『バスタブ』を彷彿とさせます。ストリングスが主役の編曲で、島田フィーバー期を思い起こさせるような力強い展開。

この曲には長めの間奏があり、コロコロと表情を変える演奏で心拍数は爆上がりです。力強さを増していくストリングスで、よーし盛り上がったぞ!というところでCメロに入る流れなんてよだれが出そう。

そしてアウトロでは情緒的なギターと美しいストリングスがコラボレーションしています。バラード曲だとやっぱり島田さんの編曲がしっかり好み。刺さるわあ~。


さて、2014年からたくさんの曲を編曲してきたOSTER projectさんは、このアルバムを最後に編曲者一覧表からお名前が消え、その後の3枚のシングルは島田さんとトオミヨウさんのお二人で担当しています。

インスト版を省いて並べてみるとこんな配分。

トオミ、島田、トオミ
トオミ、トオミ、島田
島田、島田、トオミ

ほぼ均等。タイトル曲に焦点を当てても、両A面が1枚あるので仲良く2曲ずつ分け合っています。


トオミヨウさん編曲の41thタイトル曲『食べた愛』は、イントロなどに使われている「をんをん」と母音も子音もなしに喋っているような不思議な音や、Bメロ前半や間奏に聞ける洞窟の中で水滴が滴り落ちるような音、サビでさりげなく「ピパポ」と鳴ってる電子音?など、新しい音との出会いが盛りだくさんな曲です。

それぞれの旋律が印象的で、インスト版の聴き応えがあります。


同じくタイトル曲、『あたしたち』はゆったりとしたテンポで「あたしたちは進みます」と前向きに歌い上げる楽曲です。チェンバロかな?の音とうっとりするようなストリングスが印象的で、島田さんによる繊細な編曲が光ります。

イントロやアウトロでは鐘のような音も聴こえてきて、まるで教会の中にいるかのような雰囲気を感じさせます。もしかして「二人で愛を誓って歩んでいく」っていうことなの?素敵~~~!


もっと喋れるんだけど、終わりにしようきりがないから。



2023~2024年 トオミ・島田・時々川嶋


2023~2024年の編曲者一覧

一覧表がやっと現在に追いつきました。アルバム二枚の間にシングルが二枚リリースされたこの期間、島田さんとトオミヨウさんが編曲を分担している印象です。そしてよく見ると久しぶりの名前も!

その比率はこんな感じ。

トオミヨウ:16
島田昌典:14
川嶋可能:2

45th SINGLE『相思相愛』のカップリング曲で、約3年半ぶりに川嶋可能さんが戻ってきました!

2曲目に収録されている『まさか夢』は、アップテンポで可愛らしさのある曲です。編曲者は異なりますが、裏拍のリズム感や管楽器の音で、少し『雲は白リンゴは赤』を思い出します。思わず身体が動き出しますよね。

Bメロで一度水に潜ったような雰囲気になるところもお気に入りです。全体的に力強い感じがして、聴いているとドキドキわくわくしてきます。


16th ALBUM『残心残暑』の9曲目、『願い事日記』も、管楽器の表情が豊かな編曲です。やはり力強さと歯切れの良さが心地よく、カラオケで歌うと気持ちがいいです。

そういうところが川嶋さんの特色なのかもしれないと思っています。


ところで表には載っていませんが、2025年1月17日にデジタル配信された最新曲『シネマ』も実は川嶋さんが編曲しています。おそらく2025年もいくつかの曲を担当してくれるのではと勝手に予想し、楽しみにしています。


さて、一覧表に目を戻しアルバム単位で見てみると、復活後はアルバムのトリを連続して担当していた島田さんでしたが、ここでトオミヨウさんにその座をバトンタッチしています。代わりにというわけじゃないでしょうけど、どちらのアルバムも島田さんの編曲で始まっていますね。


15th ALBUM『今の二人をお互いが見てる』の1曲目『荒れた唇は恋を失くす』は軽やかなトランペットが主役の編曲。まるでファンファーレ。サビの裏でも印象的な旋律を惜しみなく奏でています。


4曲目の『ぶどうじゅーす』などでも同様にトランペットが際立っていて、aikoの歌うメロディーと掛け合うように構成されているのが楽しい部分です。まるでデュエットしているみたい。口トランペットもしたいなぁ。


トオミヨウさん編曲の3曲目『あとがきリロード』はそんな中で異彩を放っています。ポコポコっとあぶくのような音に始まり、もうほぼ全部の音に初めまして!って感じ。何をどうした音かわからないものが多くてうまく説明もできません。でも好き。


同じくトオミヨウさん編曲の8曲目『のぼせ』は、ほとんどが弦楽器とフルートのような管楽器で構成されている、静かで幻想的な編曲です。壮大!というほどではないのですが、少し映画音楽っぽさを感じられるところが吉俣さんを思い出させます。

歌い出しは「心くらいは宇宙に行けるんだから」…あれ、これも宇宙シリーズじゃん!


柔らかく揺れるような音色のキーボードと明るいストリングスが輝く44th SINGLE『星の降る日に』は島田さん編曲。

Bメロでaikoが歌ったメロディーをキーボードが輪唱のように追いかけるように奏でるところがお気に入りです。メロディーにちなんだ旋律を楽器が奏でる展開は、島田さんが編曲した他の曲にもたくさんあります。なんとなく、aikoの歌が好きな人が編曲してる!という感じがして嬉しくなります。

最新の16th ALBUM『残心残暑』で最もドキッとした編曲は『鮮やかな街』。ブリッジミュート(夫に教えてもらった)っぽいギターと、短く切られたピアノが控えめに奏でる穏やかなイントロは、小さな部屋に一人ぼっちでいるような雰囲気を醸し出しており、「もう忘れてしまってもいいの」と歌う寂しげなこの曲にピッタリです。

最大の特徴はAメロで使われるボコーダー。aikoの楽曲で初めて取り入れられたこの効果は、新鮮なハーモニーで耳を刺激します。編曲者のトオミヨウさんが提案したものだそうで、新しい挑戦でありながら楽曲に違和感なく溶け込んでいるところが見事ですよね。

また、この曲はAメロで終わるのですが、最後の「いいの」というフレーズだけボコーダーが外れる構成が、寂しさを際立たせて最高です。思わずもう一度聴きたくなる仕上がりです。


さあ、終わりの時間が近づいてまいりました。記事としてのまとめに入っていきたいと思います。みなさんは一度画面から目を離して、6メートルくらい遠い場所にあるものを1分ほど見つめて休憩してください。ゴリゴリデスクワーカーからのお願いです。目が疲れちゃうよ!



編曲者別まとめ


年代ごとの表はここまでで全て網羅したので、ここから最終章。編曲者さんごとに絞った表を見ながらまとめていこうと思います。

これを見れば「編曲者聴き」が楽しくなること間違いなし!もし好きな曲がたくさん載っている表を見つけたら、ぜひその編曲者さんに注目してみてください!

個人的な印象も簡単にまとめていくので、参考になれば嬉しいです。



小森田実さん ミステリアスで妖艶なデビュー曲

小森田実さんの編曲一覧

一味違う妖艶なaikoを楽しみたいならこれ一択!オンリーワンの小森田さん編曲です。1998年の表を見ながらだいたいお話ししてしまったので、そちらを参考にしてください。



吉俣良さん 感動的でスケール大な編曲が強み

吉俣良さんの編曲一覧

2002年から2014年までに、シングル曲を含めいくつものタイトルを編曲した吉俣さん。曲の世界観に思いっきりのめり込んでしまいたい方におすすめです。バラード好きならハマるかも?

優しい雰囲気の音が多く、スローテンポな曲の中には涙を誘うような感動的な展開も。ちょっと落ち込んだ時や、逃げ場を求めたい時などの助けになるのではないでしょうか。もちろんうっとりしたい時も。

『今度までには』『三国駅』『嘆きのキス』のインスト版ではストイック編曲聴きも可能です。



根岸孝旨さん 渋みが光るロックチューンで本領発揮

根岸孝旨さんの編曲一覧

カップリングとアルバム収録曲の7曲を編曲した根岸さん。重ためのギターとかっこいいベースが特徴的なので、個人的には、断然腹が立っている時におすすめです!(笑)ロック好きならきっとハマる。

心の中のわだかまりが、ドゥンドゥンした低音で液状化して溶けていくイメージが浮かびます。アップテンポで激しい雰囲気のものも多いので、頭を振って嫌なことを忘れちゃいましょう。カラオケで叫ぶのもいいね!

そしてここに載っている曲が大好き!という方は、2014年以前に発売されたCoccoのCDも聴いてみると好みかも。



川嶋可能さん ハッとするフレーズとキレのある音が持ち味

川嶋可能さんの編曲一覧

2014年から現在に至るまで、シングル曲からアルバム曲まで幅広くアレンジしている川嶋さん。ハキハキとした力強い音色で聴き手を巻き込んでくれる引力があります。

まるで頼りになるリーダーみたい。忘れたいことがある時や、やる気が出ない時など、気分を変えたいタイミングで聴くと切り替えの手助けをしてくれるかも。開放的な気分になりたい時に、カラオケに行ってノリノリで歌うのも最高です!

唯一のインスト版は『恋をしたのは』ですが、川嶋さんの良さが滲み出ている曲はもっとあるのでもどかしいです。



OSTER projectさん ピアノ主体のポップスが映える

OSTER projectさんの編曲一覧

2014年から2021年までの7年間ほどで、7曲のシングルA面を含む数多くの曲を編曲したOSTER projectさん。色んなアレンジがありますが、特に疾走感のあるピアノが輝いているように感じます。

好きな人がいる時、楽しいことがあった時などにおすすめ。ルンルンとした前向きな気分をきっとアシストしてくれます。明るくてポップさが強いものが多いので、可愛いものが好きな人にはハマりやすいのかも。

インスト版が多いので、ストイック編曲聴きがしやすいですよ。



トオミヨウさん 多彩な音で奏でるアップテンポが妙味

トオミヨウさんの編曲一覧

2020年から登場し、直近のアルバムやシングルでは約半分の曲を編曲する新進気鋭のトオミヨウさん。ロックさとポップさを持ち合わせたバランス型です。

劇場版「名探偵コナン 100万ドルの五稜星」の主題歌『相思相愛』でaikoを好きになった方、トオミヨウさんがあなたにとっての親なのかもしれません。この表に載っている曲を選んで聴いてみると違和感なくハマりやすいかも?

新しい音もたくさん盛り込んでくれるので、新しいもの好きな方や楽器好きな方にもおすすめ。おしゃれさを感じることが多いので、照明を落とした部屋でお酒を飲みながら聴くのもアリです!



島田昌典さん すべてが至高、ストリングスの極み


多すぎて表が貼れません…!一覧=上記以外です。aikoといえばの島田昌典さん。

アップテンポでもスローテンポでも、聴き手を効果的に引き込むアレンジを施し、キャッチーなフレーズで曲の印象を強く残してくれます。可愛さもかっこよさも、何だって最高!本当にオールマイティーな編曲者さんです。人世のどんな時にでもaiko×島田さんの曲は私たちに寄り添ってくれます。

夫曰く、「メロトロンとかバイオリンとかの使い方が、ビートルズの特に中期の感じを思い出す」そうなので、レトロ好きな方にもおすすめかも。

2014年5月まではほとんど島田さんが編曲していたので、無意識に編曲者聴きをしている方も多いはず。意識して聴いてみたら、改めてそのすごさがわかると思います。

興味のある方は2020年の章で紹介したSpotifyのプレイリストを、ぜひ聴いてください!!aiko以外のアーティストのアレンジでも「島田さんだ!好きこの曲!!」ってなるんですよ。すごいんだから本当に。



最後に


ここまで読んでくれた方、本当にありがとうございます。これでこの記事は終わりです。私のaiko愛、編曲者愛、伝わりましたでしょうか? 

もし、読んだ後にaikoや編曲者の方々への興味が少しでも増えていたら嬉しいです。私の好きな曲を聴く人がもっと増えるのは素敵なことだと思います。

この記事でも使用したaiko編曲者一覧表を共有するので、みなさんも編曲者聴きを試してみてください。


いやぁ、長かったよね。ごめんなさい。ノリで書き始めたら28000字弱なんてことになっちゃった。愛情が溢れちゃったねえ。


お伝えした通り、私は編曲者の存在を知ることで、aiko離れのピンチを乗り越えることができました。今は、いろんな聴き方ができて、本当に楽しいです!

もし、ずっと好きだったけど、2014~2015年頃にちょっとaikoとの距離を感じるようになったなという覚えがある方がいれば、その方にも編曲者の存在とその変遷を知ってほしいと思っています。

読んでくれたあなたの周りにも心当たりのある方がいたら、「編曲変わったからじゃない?」って言ってみてほしいです。もちろん、全然違うかもしれませんけど、まぁ、そん時はそん時でいいじゃない。


これからも編曲者は色々と代わっていくかもしれませんし、編曲の方向性そのものも変化していくかもしれませんが、これまでと同じように、aikoはずっとaikoだと思います。私の人生にたくさんの彩りや救いを与えてくれたaikoの楽曲を、何にも惑わされることなくずっと愛し続けていきたい!と、この記事を書きながら改めて強く思いました。

…でもやっぱり島田さんの編曲が、できればたくさん聴きたいです。これはもうしょうがないですよね。どうにかなりませんかねぇ…!「aikoの曲全部やって」とかワガママは言わないので、島田さんがこれからもずっと健康で、長く長くたくさんの音楽を作り続けてくれますように。

島田さんの美しいストリングスで締めくくられるアルバムがまた出る日を、私は心待ちにしています。

そしてもちろん、大好きなaikoがずっと曲を作り、歌い続けてくれますように。病気もケガもせず、不幸にもならず、いつまでも元気でいてくれますように。あなたはあたしの一番星よ。

私はこれからもaikoの新曲とその編曲を楽しみに生きていきます。

みなさんも、ぜひ一緒に楽しんでいきましょうね!


おわり









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