藤田と焼き魚
食に関する随筆を読んでいて藤田嗣治の絵の食卓について書かれていた。
その絵は藤田自身がモデルで、食後にくつろいでいる様が描かれたもので、食べ散らかした食事の残骸が事細かに書き込まれているそうなのだ。
焼き魚の骨、飯茶碗と汁椀、漬物の小皿、お櫃、日本の庶民が普段食べている、それらがこれでもか、というくらいに細かく描かれているのだそうだ。
私はその絵を見た事がなかったので、図書館で藤田嗣治の「もっと知りたい藤田嗣治 生涯と作品」という本を借りてきてじっくり見てみた。私の見たい絵は「下町の江戸趣味」という題で本当にこれがおフランス帰りの藤田さんですか?というほど日本臭い絵だった。本当に日本家屋の細部に至るまで書き込まれている。
藤田は食後の一服か煙草をくわえ、はだけた着物の懐から猫が顔を出し、
角火鉢、湯呑み、急須、灰皿、煙草、マッチなどは直に畳の上に置かれ、小さな食卓の上には飯茶碗に醤油の小皿を重ねて、汁椀の上に箸が置かれ、漬物の小皿にはきゅうりの切れが残り、毟った魚の残骸、醤油の小瓶、枝豆の皮らしき物が散乱する皿などが本当に細かく描かれてあった。
私はやはり日本人なら飯のおかずは焼き魚だよな。飯、味噌汁、魚、漬物。そして畳にペタリと座って、猫をともにして…と考えた。
鯵の干物に炊きたての飯、みょうがの味噌汁、きゅうりの浅漬けが今日の昼飯かな。
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