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紗世
2022年5月29日 04:20
私は陰鬱な地獄の空を見上げた。鉛色の空は不安をかき立てる。遠くで神経を逆なでする鬼のバカ笑いの声が響く。河原の水際で川の流れを見た。ひとつ積んでは父の為。もうひとつ積んでは母の為。私は小さな石を握りしめた。父母の為に生きるもんじゃない。私は憤を持て余し、石を川へ放り投げた。私は父に殺されたようなものだった。私の父はおそろしく酒乱で、その日も朝から酒を飲んで散々私に嫌がらせをした後