読書日記・入院編。『木曜日にはココアを』青山美智子著
昔から “お店もの” の小説は多い。
喫茶店、食堂、(古)書店…。そこにミステリアスだったり、切れ者だったり、癒し系だったりする店主がいて、超常現象的な何かを起こしたり、客の問題を探偵さながらに解決したり、人情で温かな結末に導いたり…。
多くの人は、 “拠り所” を求める気持ちを心の隅に持っていると思う。何かあった時、心がざわつく時、自分にご褒美をあげたい時…などに、「これを食べる」「ここに行く」「これをする」「この人に会う」と、「ほっとする」「リセットされる」「元気になれる」感じがして、救われる。
自宅ではない。家族でも親しい友人でもない。特別すぎる贅沢品ではい。ほどよい距離感。構えず向かえる気楽さ。一杯の飲み物をゆっくり味わえるゆとり。喫茶店やカフェは格好のロケーション。
この小説の舞台になっているカフェの吸引力は、なんといっても雇われ店主の青年。正体不明のオーナーも魅力的だけど。
話は逸れるけれど、わたしが推す藤井風くんのご実家は喫茶店で、デビュー前は彼もお店を手伝っていたらしい(コーヒーが飲めない喫茶店の息子ってユニークw。あ、りんごが苦手なりんご農家さんを知っている。個人的には積極的に食べないけれど、味はちゃんとわかるから栽培には支障がないと言っていた。そんなものなのかもね)。
するすると読めて、さらさらと流れて、ゆるゆると解き、もやもやを浄化し、ほわほわと温める。読み終えると心が平らかになっていて、自分が少しいい人になった気がするw。青山さんの作品は心が疲れた時に読むといい。
時々、不意に藤井風的フレーズが登場して、キュンッとする。てへ。