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スコアと葛藤
俺は節約のために、二駅手前で降りるくらいのドケチだから、休みの日は家で過ごす。
だが、頑張った自分にご褒美を与えることも大事だ。たまには外で美味いメシを食ったり、
エロい女と遊んだりするのもいいものだろう。
今月は仕事がきつい。正直、しんどい。
頑張っている自分にご褒美を与えたいと思うが、先日、飲みに行ったばかりだし、
米をまとめ買いしたので、金を使いすぎてしまっている。
だから、今月は我慢して、来月になったら出かけようと思う。何をしようか考えた結果、
低予算で長い時間を潰せるヒトカラに行くことに決めた。
どうせ行くなら、採点ゲームで高得点を狙いたい。だから今、どの曲を歌うか、作戦を練っているところだ。
俺の声は低めで、鳴りやすい。
いわば一般的な声質なので、
才能の壁にぶち当たることが多い。
最近人気のバンドのボーカルは、地声が高くて、まるで女性のような声をしており、声質も柔らかい。それが魅力的だ。
俺もああいう高い声に生まれたかったと思う。
彼らにも嫌な思い出がきっとあるだろうが、
圧倒的な個性を持つ者には憧れてしまうものだ。
昔ヒトカラに行ったとき、世界観がいい某バンドの曲を歌ってみたことがある。
いざ録音した音源を家で聴いてみたら、
そのクオリティの低さに深く絶望した。
自分の「歌ってみた」なのに、
空気に耐えられず、思わずトイレに駆け込みたくなった。
音域的には女性ボーカルの曲と差はないので、
地声が低いおじさんが、頑張って女性の歌を裏声で歌っている感があり、聴いていて苦しいのだ。
昔、バイト先の打ち上げで、泥酔した男性社員が当時流行していたアキバ系グループの曲を歌ったとき、多くの社員が部屋を出てしまい、
ドリンクバーが避難所になった悲しい出来事を思い出した。
当時、そのグループに推しメンがいた俺は、その曲のヲタ芸も打てたはずなのに、彼を裏切りメロンソーダをがぶ飲みしていた。
どうでもいいけど、メロンソーダは世界一美味い飲み物だと思う。俺のことは嫌いになっても、メロンソーダのことは嫌いにならないでほしい。
やはり、ヒトカラに行ったら録音はするべきだ。自分の下手さに気づいていなかったら、
俺もあの男性社員みたいになっていたかもしれない。
ここは、やはり昭和・平成に流行ったロックバラードを歌うのが無難だろう。
低音ならではの色気を出して、
採点マシーンをメロメロにしたいものだ。